《神話は続く 1/2》日産 GT-R NISMO


 GT-Rはスゴイ。しかも超絶スゴイ。では何がそんなにスゴイのか。最高速? 馬力? そんなことも知らずに、やれ600PSでもラクショードライブっすよ、とか滑っても鼻歌ドライブっすよ、などと言ってる人の何と多いことか。そんなことでは永遠の5歳児に叱られてしまう。そんなわけでGT-Rの何がスゴイのかを調べてみた。
 GT-Rといえば名車、スカイラインのカッ飛び系スポーツグレードでもある。歴史にその名が刻まれたのは1969年。ポルシェ906を抑えて第3回日本グランプリを制するなど輝かしい記録を持つプロトタイプレーシングカー、R380の直6エンジンをベースにしたモノを3代目スカイラインに搭載、このモデルこそGT-Rの始まりだった。いわゆる「ハコスカGT-R」って奴だ。

その後70年10月にはハードトップのKPGC10型にGT-Rのバトンは渡され、サーキットでは次々にコースレコードを更新、50勝の金字塔を打ち立てた。その記録のすぐ後の1972年、フルモデルチェンジ、「ケンとメリーのスカイライン」である4代目スカイラインへ。もちろんイメージリーダーであるGT-Rも用意されていた。

メカニズムはボディ形状が違うため、エキマニやインテーク側のエアダクトの形状が違うものの基本は初代GT-Rのメカニズムを踏襲していた。しかし排ガス規制の壁に阻まれて197台のみが生産され、こちらはコレクターズアイテムとなっている。この代でしばらくGT-Rのネーミングは途切れてることに。
 GT-Rが復活したのは16年後の1989年にデビューした8代目スカイライン。そう、R32型である。

このR32型は電子制御トルクスプリット4WDの「アテーサE-TS」を搭載。これは乱暴な表現をすればフツーは後輪駆動、時々4WDというハイテク装備。R32型は企画段階からグループAのレース参戦を視野に入れており、90年3月にはホモロゲーションモデル、GT-Rニスモをリリース。このモデルは500台限定でレースに必要のないエアコンやリアワイパー、ABSを省かれているのが特長。とにかくR32型はレースでめっぽう強かった。

 99年1月にスカイラインの名を持つ最後のGT-Rが登場。10代目に設定されたそれは通常モデルから1年遅れで登場した。

 リアスポイラーは2枚翼の角度調整機能付き。加えてダウンフォースを生み出すフロント&リアのカーボンディフューザーのアドバンスドエアロシステムなどレーシングカーの空力技術を用いてエアロダイナミクスを磨いたのもこのクルマの特長だ。

 その後GT-Rはしばらく表舞台から姿を消すことに。そのモデルが再び表舞台に帰ってきたのは2005年の東京モーターショー。「スカイライン」のネーミングが外れ、国産スーパースポーツとしてプロトタイプモデルが発表されたのだ。

それから2年後の2007年に現行GT-Rがデビュー。

このGT-Rは第3世代(ハコスカ時代が第1、R32からが第2世代)で過去のモデル同様に総合性能が重視されているのだ。またこの第3世代はGT-Rとしては初の世界戦略車として位置づけられた。エンジンは480PSを発揮する3.8リッターのV6ツインターボ。エントリーモデルの価格は777万円。これは当時のポルシェケイマンと同等の価格で911ターボの馬力を買えるほど。超ド級の性能ながらもリーズナブルな価格設定だったのだ。 

〜後編へ続く〜

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  • 自動車ライター。専門誌を経て明日をも知れぬフリーランスに転身。華麗な転身のはずが気がつけば加齢な転身で絶えず背水の陣な日々を送る。国内A級ライセンスや1級小型船舶操縦士と遊び以外にほぼ使わない資格保持者。

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