日本初導入のPHEV BYD シーライオン6で700km走ってみた!

セイウチじゃないのアシカなの

2025年にはテスラを抜いて世界のEV販売台数トップを快走する「ありかも!」のCFでお馴染みのBYD。完全EVのイメージが強い同ブランドが次に日本市場へ導入したのはPHEVモデルのシーライオン6だ。ジツはBYD、世界で先駆けてPHEVシステムを量産車に搭載したメーカーでもある。なお先にデビューしたシーライオン7を名乗る方は完全な電気自動車。

車名はアシカを意味するシーライオンから。確かにフロントフェイスはアシカっぽい凛々しさの中にも愛嬌を感じてしまう。そして見た目は意外にデカい! その足元を支えるのはインドネシア、Giti(ジーティー)製の19インチタイヤ。インドネシアらしくタイヤには象のロゴが(インドネシアには固有種のスマトラ象がいる)。これはPHEVの動物園や〜〜。

なおフロントバンパーのシルバーの加飾がヒゲっぽくてアシカらしいのだけれど、7の方は加飾がないのでオタリアでもいいかも、と勝手に想像。

BYDは海洋生物のネーミングを持つモデルをシリーズ化している。もしかするとそのうちセイウチやオットセイ、トドとか詳しくないと見分けがつかないラインナップとか出てしまうかもしれない。

ファストフードもびっくりな価格

さてシーライオン6、お値段はなんと400万円を下回る398万2000円。しかも今なら(2026年3月現在)国の補助金が35万円ほど受けられるので、363万円台に。加えて車両購入の補助金を出している自治体ならばもっとお安くなってしまう。プライスボードを2度見してしまうのはほぼ確実なのだ。切り込み隊長として先に日本上陸を果たした同ブランドのアット3(418万円から)よりもクルマのサイズは大きいうえ、お得感が強い。

比較自体間違っているのは重々承知だが、お求めやすいイメージの軽自動車が今や300万円のプライスを掲げるこのご時世に、生粋の3ナンバーサイズ、しかもPHEVのクルマが「新車」でお得に買えてしまうのだ!

価格でボディブローをまともに浴びた筆者はヒガミ根性で粗探しをしてみるが、少なくとも見た目や装備ではまったく見つからない。前席は電動調整式だし、シートヒーター/ベンチレーション機能、ステアリングヒーターは標準装備。広々な後席はシートヒーターはつかないけれどリクライニング可能。さらに「上を見上げりゃァお星さま」的な大型パノラミックサンルーフ(もちろん開閉可能)とバーガーにポテト、ドリンクをセットでお値段そのまま! 的お得セットもびっくりな充実装備を誇る。

それだけではない。クリアで繊細な高音域が特長といわれるアメリカのインフィニティ製の10スピーカーオーディオシステムまで標準装備なのだ。これはもうバーガーに牛丼でもつけちゃう?! 的に大バーゲンプライス。スタジオでは台本持ったADが「拍手!!」と手を振り回すイキオイ。しかもコレらの装備はすべて標準装備なのだ。

運転席に陣取るとピアノブラックのインパネがメルセデスっぽい印象を受けたが、インテリアデザイナーはメルセデス出身というから納得。シートも本革と言われれば信じそうな合皮製。同価格帯のクルマ以上の質感は間違いなくある。

またBYDの特長でもある縦位置にも横位置にもなるディスプレイはシーライオン6は横位置で固定されている。まあ15.6インチサイズと大型なので動くと前方視界に影響しそうなので固定式はアリかも! と筆者は思う。

ミサイルに負けないアシカ?

試乗車はFWDモデル。駆動用のバッテリー容量は18.3kWh。駆動するモーターは145kW(約197PS)、300Nmスペックで約100kmのEV走行が可能という。そこに組み合わされるエンジンは72kW、122Nmを発揮する1.5リッターの直4。このパワーユニットは効率を考えて圧縮比を低く抑えるアトキンソンサイクルのエンジンだ。

メーカー発表値でシーライオン6は満タン、満充電ならば最大航続距離は約1200km。確かに撮影車両を借り受けた時にメーターに表示の航続距離は1150kmとなっていた。少なく見積もったとしても1000kmは行けそうだ。1000kmといえば東京から直線距離で札幌(約830km)や佐賀(約940km)は挑戦可能。1200kmならば宮崎(約1140km)や韓国のソウル(約1150km)にも及ぶ。コレだけの長距離ならば「それ行け! 日本長距離友の会」や「遠出ドライブ研究会」といった団体からの熱いオファーは想像に難しくない。1000kmとなるともはや航続距離というよりも射程距離な印象か。ちなみに短距離弾道ミサイルは射程が約1000km以下といわれている。シーライオン6、お主はミサイルか!

電気予報は走り時々充電

シーライオン6はFWDとAWDがラインナップされ、試乗車はFWDモデル。シフトセレクター脇には各種スイッチが。

ドライブモードはスポーツ、ノーマル、エコ、スノーの4つ。そこに加えてEV(モーターによる電動走行)かHEV(エンジンとモーターの二刀流)も選択可能。BYDはEVのイメージが強いのでせっかくのPHEV、行程はすべてHEVを選択。ドライブモードはデフォルトのノーマルのまま。

優しいクリープ現象からスタート。前述のようにモーターのスペックがエンジンを上回っているのでバッテリー残量に余裕のある時は基本的にEV走行のようだ。なおモーターのみの走行でも160km/hまで対応できるという。

エンジンはクルマが必要と判断すれば随時介入する。しかしながら基本的にはEV状態ならばバッテリー残量が25%以下で充電のためエンジンがかかる。HEVではエンジンによる充電をバッテリー残量を25%から70%の範囲で任意に設定できるバッテリーセーブ機能がある。またエンジンが入った場合でも信号待ちや発進時はよほどのことがない限りエンジンは止まったまま。

走りは終始穏やかな挙動が印象に残った。高速などの全開加速を試してみてもシートに体が吸い込まれるような加速ではない。回生ブレーキはセンタースクリーンからの操作でスタンダードとハイの2つを選択できるが走行中に何回か画面をタッチして、となるのであらかじめ選択する方がベター。

今回の試乗でエンジンが駆動面を助太刀する場面は、意外にも高速道路をパーシャルスロットルで定速巡行している時だった。そうすると燃費自体が結構な速度で悪化(約1〜2km/L程度)する。しかし筆者、裏技を発見せり。バッテリーセーブモードをオンにしておくと駆動にはエンジンパワーが使われないようで、この方が燃費を稼げた。エンジン音は確かにかかっているな程度。エンジンが駆動用になると車重を考えると1.5リッター、約98PSだとなかなか燃費は伸びないのかもしれない。未試乗だがAWDモデルの方も同じかもしれない。ただしAWDの方はターボユニットで加速やAWDによるコーナリングといったドライビングプレジャーに重点を置いているのだと思う。

また充電に関しては普通と急速に対応。今回は2回ほど急速充電を試してみた。最初は20kW/50A規格の充電器。充電開始時はバッテリー残量は53%、30分で92%に。その後の走行ではバッテリー残量が70%を超えるとEVモードに変わってしまったので再びHEVモードで走行。それでもエンジンは介入しないけれど。

2度目の充電は急速充電を謳いながらも6kW/30A出力で30分で50%から65%だった。なお賢い消費者を目指す筆者は時間制課金での急速充電だとヒザを叩くほどのメリットはないと感じた。もし出先でどうしても充電の必要ができたならば「時間課金」よりも「kWh課金」の料金を謳う急速充電器の方がお得感があるはず。「まぁ燃料さえ入っていれば走れるし」の心理的余裕はかなり大きい。そして他のクルマの充電待ちをすることもないのはポイントが高いはず。

今回は高速4割、街中3割、渋滞2割、山道1割で約750kmを走破。燃費は満タン法で20.6km/L。カタログ燃費の22.4km/Lには惜しくも届かなかったがレギュラーガソリンで済むのはポイントが高い。

「ありかも」は確かにありかも

乗るたびにクルマの進歩に驚くBYD。粗探しをするのならば、段差を超えた時に揺れが1回で収まらない場面もあるけれど間違いなく同価格帯のクルマと遜色ないどころか充実装備や最新のADASなどは大きな魅力。シートヒーターやベンチレーターの操作が何回か画面を操作しないと辿り着けないことだって、声でクルマにお願いすればいいだけ。夜間歩行者に道を譲るときに車幅灯にしたら、画面の中国語の案内がわからなくても(筆者の学が低いだけ)走ることに問題はない。

このあたりは市役所の「すぐやる課」なみに対応が早い同ブランドだから、何かしらのアップデートのおりに改善されるはず。

ウィンカーも日本車同様右側。その昔クライスラー・ネオンがアメ車としてはレアな右ハンドルを標準仕様として日本車キラーと謳った時よりもずっと日本市場を意識している。

災害時やアウトドアで役にたつV2HやV2Lにも対応するのもポイントが高いし、図体の割に取り回しがいいのも運転しやすい。乗るたびに「ありかも」と思うのがBYDなのだ。

シーライオン6

価格398万2000円から
全長 × 全幅 × 全高4775 × 1890 × 1670(mm)
エンジン1498cc直列4気筒
エンジン最高出力72kW/6000rpm
エンジン最大トルク122Nm/4000-4500rpm
モーター最高出力145kW
モーター最大トルク300Nm
WLTCモード燃費22.4km/L

BYD
シーライオン6
問 BYD 0120-807-551

海野大介(daisuke unno)
  • 自動車ライター。専門誌を経て明日をも知れぬフリーランスに転身。華麗な転身のはずが気がつけば加齢な転身で絶えず背水の陣な日々を送る。国内A級ライセンスや1級小型船舶操縦士と遊び以外にほぼ使わない資格保持者。

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