新型登場だ、うぇ〜い!
三菱の燻し銀ともいえるデリカのネーミングと愛らしいイデタチで人気を博したデリカミニの新型がデビュー! とここまでは以前お伝えしたとおり。前回はエンジンの詳細などは未発表だったのでありますが、今回はちょこっと試乗してしまう機会をゲット。その結論はというと、楽しいクルマだった! のであります!!


デリ丸。がグレード名になったゾ!
デザインは見た目まんまやん的にキープコンセプト。特長的な愛らしいヘッドライトは健在。エンジンはNAとターボの2つ。グレード名でいうとG系はNA、T系はターボになる。いずれもマイルドハイブリッドも装備しない純内燃機関車だ。しかも旧モデルのマイルドハイブリッド搭載車よりもカタログ燃費は、17.5km/Lから17.8km/L(4WDのトップグレード)へと伸びている。「今のご時世『ハイブリッド』の文字がないとダメでしょう」的同調圧力にイヤイヤイヤ、と数字を持って答えた三菱エンジニアの底力なのだ。駆動方式は従来同様のFFと4WDの2つ。もちろんFFだから、4WDだからとなっても装備自体には大きな差はない。
車両価格帯は196万4600円から。驚くことに4WDターボの最上級グレードは290万7300円から、と300万円に迫る。いや、テンコ盛りのオプションをオーダーすれば確実に乗り出しが350万を超えてしまう。軽自動車なのに。きっと軽で300マンエン! とヒルみつつそれは高い! と思ってしまうのは、軽自動車という言葉の響きに惑わされているだけなのかもしれない。もはや軽自動車規格のクルマで、ひとつの商品としてのクルマなのだ、うん。
さて、試乗車は売れ筋という4WDのTプレミアム デリマルパッケージ。なおユーザーが選ぶデリカミニの4WD比率は50%を超えるなど軽自動車としてはかなり高い。すでに受注した1万台(!)のうち全体の39%が4WDの最上級グレードというからビックリ。
ドアを開けると「いいモノ」的雰囲気な室内が迎えてくれる。特に運転席からセンターまでシームレスに繋がるディスプレイは内装での大きなアクセント。シートも合成皮革とファブリックのコンビがおしゃれサンで、もちろんアウトドアユースを考えて撥水処理になっているもポイントだ。

インパネセンターには新型の目玉ともいえるドライブモードセレクターのダイヤル。国内三菱のフラッグシップ、アウトランダーに通じるモノで、パワー、エコ、ノーマル、グラベル、スノーの5つのモードが用意される。各モードごとにエンジンやミッション、トラクションコントロールの介入タイミングや度合いが制御される。何よりグラベルがあるのは「悪路の三菱」といったところ。

このダイヤル状のセレクターはデリカミニ専用。ベースを同じくするekシリーズには装備されない。なお「デリ丸。」のネーミングが付くモデルは試乗車の12.3インチディスプレイにGoogleが搭載されたインフォテイメントシステム、3Dマルチアラウンドモニター、デジタルルームミラー、ドライブレコーダー、ETC2.0、セキュリティアラームなどが標準装備。これらすべて装備されて通常モデルの52万3000円高になるが、中身を考えると超お買い得になっている。そう考えると価格も納得なのだ。
そしてアウトドアユースに主眼を置いてのクルマだけあって、前席のシートヒーター、ステアリングヒーターは全グレードに標準装備だし、クルマのイメージのコアとなるようなヒルディセントコントロール(4〜30km/hまで対応)、グリップコントロール、撥水仕様のシート生地も同様にすべてのグレードに備わる。
フルフラットにするような使い方もより磨きがかかり、シート位置が改良。フラットにした時の段差も先代よりも平らに。シートのサイドサポートは鈍感な筆者ゆえ大きな変わりは感じられなかった。後席の広さもセールスポイント。左右独立で調整可能だし、シートアレンジも使い方次第で27インチサイズの自転車も積載可能だ。


頼れるけれど運転も楽しいゾ
走り出して最初に感じたのは、見切りがいい! ってこと。試乗会の会場から一般道に出る時に狭い橋を通るのだが、ボンクラな筆者は侵入角度を誤って切り返しを、と考えたのだけれど、クルマの端っこがわかりやすいので曲がれてしまった。小回りももちろんだけれどクルマの端を把握しやすいし、3Dアラウンドモニターでどのくらい寄れているか、も目視で確認できるのは便利だ。従来モデルに対してAピラーの位置を10cmも前に出した恩恵を開放感以外に早くも体感してしまった。

一般道に出るとアクセル開度とエンジンの付きの良さが自分の感覚に近い。CVTなのにダイレクトにエンジンが反応してくれる印象。必要以上に意識して踏み込まなくていいのだ。
エンジンはターボ付きの64PS。トルクは100Nm。特にトルクは軽自動車で一番使うであろう2400-4000rpmで発生するのでより走りやすいし、感覚的にも余裕がある。

室内は特殊遮音フィルムガラスや二層遮音シート、ドア下端シーリングなど軽スーパーハイトワゴンとしては初採用のアイテムで、乗っていても車内はかなり静か。またカヤバ製の『プロスムーズ』ダンパーは優しく路面をいなしてくれ、すこぶる乗り心地がいい。カヤバ製と聞くと「純正よりも乗り心地やコーナリングの感覚に秀でていて、ランエボやレグナムで試したけど良かったなァ」と思い出の1ページ、といったユーザーも多いはず。
クネッた道に入ると前出のダンパーがいい仕事をしてくれる印象。旋回時のロールスピードがゆっくりなので運転していて楽しいし、必要以上に上が振られないから安心感がある。特に後者の方が強く、背の高い(アイポイントも高い)スーパーハイトワゴンながらも気持ちよくコーナーをクリアしていける。これだけ気持ちいいとパドルシフトが欲しいくらいだが、そうするとクルマのキャラが変わってしまうのだろう。

続いてドライブモードを試したが、ボンクラな筆者でもわかりやすかったのはパワーモード。まずエンジン回転が高めに設定されるので、どの速度域でも加速してくれる。特に一度アクセルを緩めてからの再加速でもパワー感抜群だった。グラベルモードはゼロ発進の時に深くアクセルを踏み込まなくても進むので、微速域でのコントロールも楽だと思う。段差のある車庫入れにも使えそうだ。エコモードはかなりパワーを抑えているフィーリング。高速などで定速巡航時に選択すると燃費が稼げるのかもしれない。
残念ながら未舗装路は走っていない。試乗会では十勝のテストコースの未舗装路を走る動画が流れたのだが、こんな悪路でも? といシチュエーションでも安定した走りが印象に残った。その悪路走行、タイヤは市販車と同じエナセーブというから恐れ入る。
そんな悪路走行での映像を見れば河原BBQやキャンプ場とはいえ、かなり悪路を進むようなテントエリアでもデリカミニなら大丈夫と思える。
愛らしいデザインも魅力だけれど、マルチに使えるギアとしてもデリカミニは活躍するのだ。

デリカミニ
Tプレミアム デリマルパッケージ 4WD
| 価格 | 290万7300円〜 |
| 全長 × 全幅 × 全高 | 3395 × 1475 × 1815(mm) |
| エンジン | 659cc直列3気筒ターボ |
| 最高出力 | 64PS/5600rpm |
| 最大トルク | 100Nm/2400-4000rpm |
| WLTCモード燃費 | 17.8km/L |


































