三菱人気ハイトワゴン デリカミニ&ekスペースがフルモデルチェンジ!

つぶらな瞳は健在!

巷で流行るのはSUVと軽自動車となっているが、その軽自動車市場にあって天井の高いスーパーハイトワゴンは全体の4割を占める一大勢力。そしてメーカーにとっては一大(台)激戦区。そんな令和の旅順要塞攻略で個性を光らせる三菱のデリカミニとekスペースがフルモデルチェンジ! ここでは自他ともに個性派と支持されるデリカミニをメーンにご紹介。

キャンディーズのヒット曲「年下の男の子」のリズムにのって「うぇーい!」の決め台詞でお馴染みのデリカミニが2023年のデビューから2年で新型にバトンタッチ。

え? もう? と思うのだが、ジツは最初のデリカミニはekクロススペースのネーミング変更も含めたビッグマイナーチェンジという立ち位置。そこで晴れてデリカミニとして満を持しての登場になった。

外装は保守派も頷く超キープコンセプトデザイン。しかしよくよく見ると細部までブランニューなエクテリアになっている。例えばチャームポイントでもある「つぶらな瞳」のヘッドライトは大型化されつつも「やんちゃかわいい」雰囲気は健在。タフなイメージを印象付ける前後のスキッドプレート(アンダープロテクター)も大型化し、ボディサイドのプレスラインを強調することでよりアウトドアでの活躍が想像できそう。

また同じ骨格で作られるekスペースも同時にフルモデルチェンジ。

スクエア基調のアイコニックな造形で取りまとめられたシンプルなデザインはクルマの品の良さを印象付けるスタイルに。

ご存じの方も多いけれど、ジツはデリカミニもekスペースも日産と三菱の合弁会社、NMKV(日産、三菱、軽、ビークルの略)が手がける。ちょっとオトナの話になってしまうと日産のルークスも同じ場所で作られ、可能な限り同じパーツを使った方が効率面ではいいはず。確かにデリカミニとekスペースとドア周りは同じように見える。

しかしデリカミニは贅沢にも専用品を使う、何とも贅沢な作りになっているのだ。フロントフェンダーやボンネットなどフロント周りはすべて専用品。

待望の新インテリア

今までのデリカミニの内装はそのままekクロススペースやん! だったから今回のフルモデルチェンジ版ではそこも大きく刷新された。それはクルマのキャラクターでもあるギア感と大きなディスプレイなどの先進性が同居するモノに。ドアを開けると大きなディスプレイがまず目を引くはず。高級車なら今や違和感のないアイテムだけれど、コチラは軽自動車である。そのディスプレイは12.3インチのセンターからメーターの7インチまでモノリスに繋がる。

初老といわれる歳を超えた筆者でも「あ!」っとトキメいてしまったのが、エンジン始動時のディスプレイの演出。この軽自動車としては大きめなモニターにクルマの化身でもある「デリ丸。」の目玉が現れてキョロキョロするのだ! 昭和の女子大生風にカワイイー! と叫んでしまいそうなくらい。ファミリー層がターゲットなクルマでもあるので乗るたびにワクワク感や癒しを感じられるかも、なのだ。

さらにコレはスマホなしでも動くグーグル機能を持っている。また音声操作でナビやエアコンの温度設定、オーディオの操作も可能だ。登録車やミニバンからの乗り換え組も納得な装備品でもある。

使い勝手の面では収納スペースも増えており、筆者がコレは! と唸ったのがインパネ下に設えてあるカップ&スマホホルダー。スマホを立てて置くのだがホルダー下部に充電ケーブル用の穴が空いており、そのまま下に持っていくとキチンとUSBに行き当たるように設計されている。

また視覚的な広々感は間違いなく感じるはず。よくよく聞くとボディサイズに制限のある軽自動車にあって新しいデリカミニは先代に対して10cmもAピラーを前に移動させ、その角度も起こしているという。そんなにAピラーの位置を変更させているのにキープコンセプト的に見せるデザイン力もスゴイがクルマ、特に軽自動車の10cmはかなり大きい。デザインのバランスを取る意味でも前後のガラスは拡大したという。

一方、ekスペースのインテリアデザインもデリカミニとほぼほぼ共通で、Aピラーの角度が変更されることで前方の視認性を向上している。

こだわりの悪路性能

先代のデリカミニはスーパーハイトワゴン系ながらも未舗装路での走りには定評があった。特に4WD車は専用セッティングを持つなど競合他者よりも一線を設けていた。そんな魅力に新型はさらに磨きをかけ、悪路の三菱の異名を欲しいままにしそうな雰囲気になっているのだ。例えばインパにしつらえられたダイヤル。

コレはアウトランダーなどに採用されるドライブモードセレクターで、パワー、エコ、ノーマル、グラベル、スノー(グラベルとスノーは4WD車のみ)の5つが用意され、それぞれのシチュエーションで最高のパフォーマンスを発揮できるようにエンジンやミッション、駆動系が最適化される。キチンとした試乗ではないが、撮影のためクルマを移動させるときに芝生のブッシュを超えるのだが、ノーマルモードに対しグラベルモードにするとアクセルの踏み込む量があからさまに減ったので、実際の未舗装路走行時には心強い武器になるはず。

また運転して意外に便利と感じたのはステアリングに設置されたダイヤルスイッチ。微妙に傾いていて自然にダイル操作ができた。

ちなみにekスペースではドライブモード選択はダイヤル式ではなく別形状のモノになっている。

事前撮影会なので5km/h以上の速度は未体験だが、先代同様専用チューニングが施されている。ショックアブソーバーはクラウンやレクサスといった高級車に使われる構造を持つデリカミニ専用セッティングのカヤバ製のモノ。悪路はもちろん舗装路でもよりスムースな乗り心地というし、背の高いクルマの宿命ともいえる高速などでのふらつきを抑えるためリアサスのブッシュ位置を決めているという。

そして実用的と思えるのは体の振られを軽減するサイドサポートを設けられたシート形状を採用したこと。軽自動車は日常の下駄に使われることが多く、そんな使い方でも疲れにくいシート形状は大きなポイントでもある。しかも前席にはシートヒーターが装備され寒い時期にありがたいステアリングヒーターまで装備するというからまさに軽自動車を超えたアイテムを持つのだ。

使い勝手も進化!

普段は奥方が運転することも多いクルマということで、運転のしやすさにもこだわっている。狭い道や駐車時に威力を発揮する三菱初の周囲を立体的に確認可能な3Dマルチアラウンドモニターを装備。また車両下部の路面を確認できるフロントアンダーフロアビューは未舗装路だけでなくパレット式のパーキングにも便利。

エンジンの基本スペックや詳細情報は8月22日現在未発表。しかし事前撮影会の話だと基本的には従来モデルと同様だが、ピストンの抵抗を軽減することで燃費向上を図り、またCVTもドライバーの意思に自然な反応を実現しているという。

デリカミニといえば愛らしさの中にアウトドアでも使えるタフさを織り交ぜたまさにミニバンデリカD:5のミニ「版」的雰囲気を持つ。先進機能や運転のしやすさ、室内空間などデリカミニと同様のekスペースはシンプルで上品さが魅力。価格帯はデリカミニが195〜295万円、ekスペースが175〜195万円となっている。

三菱自動車
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問 三菱自動車お客様相談センター 0120-324-860

  • 自動車ライター。専門誌を経て明日をも知れぬフリーランスに転身。華麗な転身のはずが気がつけば加齢な転身で絶えず背水の陣な日々を送る。国内A級ライセンスや1級小型船舶操縦士と遊び以外にほぼ使わない資格保持者。

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