#407 「お心当たりの方、」

写真/サク☆ライダー(モノ・マガジン編集部)日産自動車 文/サク☆ライダー(モノ・マガジン編集部)

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407 「お心当たりの方、」

いやですね、雨の中の渋滞。ふぁー、小林克也のラジオがなきゃ居眠ってたなこりゃ。金曜日でよかったわ。とその時!左側車線を走る一台のクルマに絶叫。あれは、初代日産「プレーリー」さんではありませんか!

50代以上のヒトでないと分からないでしょうが、このクルマなんと世界初のミニバンなのです。一般的にはセダン風の顔にバンスタイルの居住スペースをくっつけた5人以上のピープルムーバーというのがミニバンの定義。

アメ車の「クライスラー・ボイジャー」が世界初のミニバンであるとアナウンスしておりますが、あちらは83年デビュー。プレーリーはその1年前の82年に登場してるんでね。ちなみに日本でミニバンといえば、佐藤可士和さんが広告を手掛けた「ホンダ・ステップワゴン(96年~)」が有名ですが、そちらと比べても14年も先輩。

とまぁ、自動車業界の歴史はさておき。見てくださいこのカクカクしたボディ。まるで共産圏の軍用車&商用車のような折り紙を折って作ったようなボディが、なんともイマっぽくないですか! あれっ、この車高は? とお気づきの貴方はかなりの日産通。そうなんです、このクルマは当時でも珍しかった4WDモデルなのです。2WDモデルより1インチほど上がったボディにリアの駆動系メカが見えてFFモデルとはひと味もふた味も違う、ワイルドでプロ仕様な仕立て。

80年代といえば、ソアラにレパードといった「ハイソカ―」ブーム。そんな最中に3列シートを備えたセダンもどきが若者にウケるはずもなく。結局は大家族、あるいは「これこそ次世代のファミリーカーでは」と当時にしては鼻の利く、クルマ好き以外からはそっぽを向かれてしまったわけです。早すぎたクルマ、プレーリー。ネオクラブームの影響でここ数年、80年代のクルマの中古市場価格がバカみたいにお高くなってしまっているのですが、プレーリーは意外な穴だと。早速、中古車サイトをググってみましたが初代モデルの掲載数は「0ゼロ」。

今日見かけた個体は貴重な4WDというだけでなく、塗装面、樹脂類、ゴム類が雨に濡れていることを差し引いても程度良好。マフラーにいたっては、いまディーラーから引き取ってきた、と言ってもいいほどの状態。「ガラスにスモークなし」は、良物件の証しと言い続けている私としては間違いのない個体と考えていいでしょう。

さて、このクルマのオーナーさん。あるいはそのご家族の方がもしいらっしゃいましたら、編集部のサク☆ライダーまでご連絡いただけないでしょうか。取材、またはそれ以上のお話しをしませんか?

カクカクのボディデザイン共産圏の商用車によく見られるカクカクのボディデザイン。あのころのデザイントレンドでもありますが、当時のプレス技術とか、構造上の理由でもあるわけですね。リアウインドウ上にあるサンバイザー兼スポイラーはおそらく当時のディーラーオプション。この程度の良さは尋常でない。しいていえば、ドアミラーでなくフェンダーミラーだったらよかった。後席は両側スライドドアで3列シート、全長4090㎜だというのに、8人乗りモデルもラインナップしていたのは驚き桃の木。まさにいまのミニバンのパッケージが37年前にできあがっていた、ということですな。UK版「AUTO CAR」誌で10ベスト エステートカーに選ばれたほか、センターピラー(車体中央にあるドアとドアの間の柱)をなくした独自の「センターピラーレス構造」が発明協会の通産大臣賞を受賞。