【防災クローズアップ!! その3】避難時にブレーカーを落とす余裕はない!地震が収まったあとに起きる“通電火災”を防ぐ「感震ブレーカー」

「全国地震動予測地図2020年版」によると、今後30年以内に震度6以上の揺れに見舞われる確率は、首都直下地震で約70%、南海トラフ巨大地震で約80%とされている。首都圏周辺だけでなく日本各地でも高いリスクが示されており、地震はいつ発生してもおかしくない状況だ。
非常食や水などを備蓄している人は多いと思われるが、実際に地震が発生した際に「命を守る」ための対策は十分にできているだろうか。アイリスオーヤマが重視する「通電火災」への対策について取材した。

多くの人が知らない! 大きな被害をもたらす「通電火災」とは

アイリスオーヤマで防災用品の企画に携わるとともに、防災士として防災用品の商品開発や啓発活動に取り組む若佐涼平氏は、メディア向け発表会で次のように述べた。

「阪神・淡路大震災、東日本大震災のいずれにおいても、地震によって発生した火災は非常に甚大な被害をもたらしました。今後、首都直下地震が発生した場合、火災による死者数は約1万6000人、焼損建物は約41万棟に達すると予想されています」

アイリスオーヤマ 若佐涼平氏

阪神・淡路大震災および東日本大震災では、地震によって発生した火災の原因の過半数が電気に起因するものであったという。若佐氏は「中でも特に注意が必要なのが通電火災です」と強調した。

地震による火災の約半数は電気が原因とされる。

通電火災とは、地震の揺れそのものではなく、停電後に電気が復旧した際に発生する火災である。例えば、強い揺れによって暖房器具が転倒したり配線が損傷したりした状態で通電が再開されると、暖房器具に可燃物が接触したり、破損したコードから出火したりする恐れがある。

転倒した暖房器具や、地震によって損傷したコンセントが、通電の再開によって出火する可能性もある。

地震対策として揺れへの備えが重要であることはもちろんだが、地震後の電気火災を防止することも防災対策として極めて重要だ。しかし、災害発生時には避難を優先せざるを得ない状況が多く、ブレーカーを落としてから避難する余裕がない場合も少なくない。そのため、地震発生時に自動でブレーカーを遮断する機器の活用が重要であるという。

「感震ブレーカー」とはどのような仕組みか

アイリスオーヤマ 上山竜広氏 

続いて登壇したアイリスオーヤマの上山竜広氏は、同社が8月21日に発売した「感震ブレーカー(ブレーカー遮断タイプ)」について説明した。

アイリスオーヤマ「感震ブレーカー(ブレーカー遮断タイプ)」オープン価格

この製品はアース付きコンセントに差し込むだけで使用できるもので、一般家庭向けに設計されている。分譲住宅、賃貸住宅を問わず設置可能だ。

仕組みとしては、地震発生時に震度5強相当以上の揺れを感知すると、本体が接続されたコンセントのアース線を通して電流を逃がし、疑似漏電状態をつくり、主幹ブレーカーを自動的に遮断する。これにより、住宅全体への通電を停止できる構造となっている。

設置に工事は不要で、アース付きコンセントに差し込むだけで利用できる。

感震ブレーカーには取り付け方で分類すると「分電盤タイプ」「アース付きコンセントタイプ」「簡易タイプ」など複数の種類が存在する。その中でアイリスオーヤマの製品は、工事不要の「アース付きコンセントタイプ」を採用している。また、「簡易タイプ」に見られるような水平設置の制約もなく、アース付きコンセントに差し込むだけで利用できる点が特長だ。

ただし、アース接続が可能なコンセントへの接続が必要となる。

価格面でも、一般的なアース付きコンセントタイプ製品がおよそ1万円前後であるのに対し、本製品は約6600円前後と比較的導入しやすい価格設定となっている。全国のホームセンターやインターネット通販サイトなどで購入可能だ。

発表会では、実際に感震ブレーカーを設置した箇所に強い揺れを与え、動作検証が行われた。揺れを感知すると本体のランプが赤色に点灯し、約5秒後に漏電ブレーカーへ擬似的な漏電状態を発生させることで主幹ブレーカーを遮断した(※)。

※遮断動作は4通りの設定(「震度5強/5秒で遮断」「震度5強/3分で遮断」「震度6弱/5秒で遮断」「震度6弱/3分で遮断」)から選択できます。

感震ブレーカーをデモで設置し、電球とサーキュレーター、暖房器具を稼働。
揺れを検知すると本体のランプが赤く光る!
揺れの検知から5秒後にブレーカーが落ちた。
ブレーカーが落ちたことで、電球・サーキュレーター・暖房器具も消灯&電源が落ち、火災発生のリスクが大きく減る。

デモでは、電球、サーキュレーター、暖房器具を稼働させた状態で検証が実施された。揺れを検知すると本体ランプが赤く点灯し、5秒後にブレーカーが遮断された。これにより、電球は消灯し、サーキュレーターや暖房器具も停止したため、火災発生リスクの大幅な低減が期待できることが確認された。

今後の展望について上山氏は、次のように述べている。

「アイリスオーヤマは、安全な暮らしの実現に向けて防災・減災の啓発活動を推進していきます。特に『感震ブレーカー』を通じて、地震火災ゼロを目指していきたいです」

大規模な地震を経験したことがない場合、地震火災の危険性を具体的に想像することは容易ではない。しかし、「感震ブレーカー」のような製品の存在によって、通電火災という被害の実態とリスクを知ることができる。アース付きコンセントに差し込むだけで通電火災のリスク低減が期待できることから、防災対策の一つとして導入を検討する価値は十分にあるだろう。

アイリスオーヤマ

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松本 果歩(Kaho Matsumoto)
  • インタビュー・食レポ・レビュー記事・イベントレポートなどジャンルを問わず活動するフリーランスライター。コンビニを愛しすぎるあまり、某コンビニ本部員となり店長を務めた経験あり。日本酒・焼酎・発酵食品が好き。

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