お酒のトリビア10:世界のスピリッツ・ウイスキーブランドランキング(2022年) お酒博士・橋口孝司の酒千夜 Vol.24


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■最新のスピリッツブランドランキングとは?

出典:ドリンクス・インターナショナルWeb

今回は、今年6月発表された情報を元に、世界のスピリッツ(蒸留酒)とウイスキーに関する最近の状況をお伝えします。

参考にするのは、イギリスの酒類専門誌「ドリンクス・インターナショナル」が毎年発表している「The Millionaires’ Club(ザ ミリオネアズ クラブ)」です。

「ザ ミリオネアズ クラブ」は、年間販売量が100万ケース(9リットル/ケース)を超える世界中のスピリッツのブランドについて、毎年ランキング等を発表しています。今年で22回目となり、最新情報(2022年の情報)は2023年6月に発表されました。

発表しているドリンクス・インターナショナルは、ISC(インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ)をという世界的に有名な酒類品評会を主催していることでも知られています。

ISCは、IWSC(インターナショナル・ワイン&スピリッツ・コンペティション)、SFWSC(サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション)と並んで酒類の世界三大品評会のひとつといわれています。

■世界のスピリッツ事情

ザ ミリオネアズ クラブによると、2022年のスピリッツ全体のボリュームは前年に比べてマイナス1%という状況でした。2021年は対前年プラス3%だったことに比べると伸び率は鈍化していますが、パンデミック前の水準に戻りそれ以上となっているブランドも多くあります。

スピリッツの種類別では、好調だったのはアガベスピリッツ(+9%)、ウイスキー(+5%)でした。

スピリッツ全体のブランドランキング1位は「Jinro」(1億ケース/ソジュ)、2位「Ginebra San Miguel」(3700万ケース/ジン)3位「McDowell’s Whisky」(3000万ケース/ウイスキー)となっています。このトップ3は、数年変わっていません。

また、世界のスピリッツブランドをプロデュースしている主な企業(グループ)についての情報も発表されています。世界中の国で様々なスピリッツが造られていますが、世界的な企業(グループ)によって所有されているブランドも多くあるのです。

今回の発表では、1位はディアジオ(英国:35ブランド)、2位ペルノリカール(フランス:22ブランド)、3位バカルディ(バミューダ諸島:8ブランド)となっています。

トップ2の昨年と変わらず、ここ数年でも変化はありません。スピリッツ業界においてはこの2つの企業の力がとても大きい状況となっています。

実は、前年まで3位だったのはビームサントリーでしたが、今回からデータ開示をしなくなったため、バカルディが3位となりました。

スピリッツブランドは、ブランドとして非常に長い歴史のあるものでも、所有権は様々な会社の間で移り変わっている、というのはよくある事です。日本においても、同じブランドの商品でも輸入会社や販売会社が“時代によって異なる”ことは多くあります。

スピリッツブランドを所有する企業の状況を、世界的な勢力図として見てみるもの面白いものです。

■ウイスキーブランドランキング

私の専門でもあるウイスキー部門を詳しく見ていきましょう。

ザ ミリオネアズ クラブのランキングでは、インドウイスキーブランドがトップ4までを占め、第5位にスコッチウイスキー「ジョニーウォーカー」が登場します。このランキング構成は2016年から変わっていません。

2012年に、世界のウイスキー市場でトップを守り続けていたスコッチウイスキー「ジョニーウォーカー」が、インドウイスキーブランドにトップの座を明け渡してから、インドウイスキーが世界のトップとなっているのです。

トップ30ブランドの販売量を国別に分析してみると、インドが約57%、スコッチが約24%、アメリカンが約7%とインドの強さが目立ちます。

インドは、今年発表された国連による人口統計で中国を抜いて世界一の人口(推計14億2860万人)となりました。スコッチウイスキーのインドへの輸出量も対前年90%以上と増加を続けています。今後もますます世界市場の中心となってきそうです。

ちなみに2012年にジョニーウォーカーからトップの座を奪ったインドウイスキー「McDowell’s Whisky」は、ジョニーウォーカーを手がけるディアジオのグループ会社のブランドです。

ウイスキーブランドランキングを所有企業別で見て見ると、トップ30ブランドに限っていえば、ディアジオグループとペルノリカールが、それぞれ30%以上のシェアを占めています。インド、スコッチといった国の枠を超えて、世界のウイスキー市場の2大企業となっているのです。

ちなみに、日本のウイスキーでトップ30入りしているのは、13位「サントリー角瓶」(610万ケース)、21位「ブラックニッカクリア」(330万ケース)、26位「トリス」(260万ケース)の3ブランドです。

ここで、このような世界各国のウイスキー情報を見る時に、知っておいていただきたい重要な事があります。

「各国のウイスキーはその国によって定義が異なっている」という事です。

各国で「ウイスキー」として販売されている商品は、原料、製造方法、熟成年数、アルコール度数など基準が異なっているのです。

例えば、スコッチウイスキーの場合「熟成年数は3年以上」という規定がありますが、日本のウイスキーには熟成年数の規定はありません。

統計などの場合、多くは当事者国で「ウイスキー」として販売されているものを対象としている、という事を理解しておくと良いと思います。

■世界5大ウイスキーのブランドランキング

ザ ミリオネアズ クラブのランキングを『世界5大ウイスキー』に限定してランキングしてみました。

日本でもよく見るブランドが登場します。

<世界5大ウイスキーランキング2022>
1.ジョニーウォーカー(スコッチ/2270万ケース)
2.ジャックダニエル(アメリカン/1460万ケース)
3.ジェムソン(アイリッシュ/1110万ケース)
4.バランタイン(スコッチ/920万ケース)
5.クラウンローヤル(カナディアン/840万ケース)
6.サントリー角瓶(日本/610万ケース)

これらのブランドは対前年の伸び率も高く、ジョニーウォーカーは対前年18.2%という大きな伸びをみせています。

またこれら6つのブランドは全て2018年パンデミック前の販売量を超えており、人気の高まりを見ることができます。

世界的なウイスキーブームと言われる中で、SWA(スコッチウイスキーアソシエーション)によると、スコッチウイスキーの輸出額は1兆円を超え、37%の大幅な増加となっています。

世界5大ウイスキーの中でもシェアが高く歴史あるスコッチウイスキーが好調だということ、また知名度が高く、歴史あるウイスキーブランドが好調だということは世界的なウイスキーブームが続いていることを表していると思います。

  • 株式会社ホスピタリティバンク代表取締役 ホテルバーテンダーから料飲支配人、新規ホテル開業準備室長、運営などをてがけ26年間ホテルに勤務。2008年より株式会社ホスピタリティバンク代表取締役に就任。バー開業コンサルティングなどを手がけ酒類関連団体の顧問、理事を歴任し国内外で講演、セミナーを行っている。ウイスキーバープロデュース・運営(2017-2019)を行う。 シャンパーニュ騎士団「シュバリエ」、ベルギービールプロフェッサー、日本伝統濁酒学博士などの称号を持つ。 2015年からは「橋口孝司 燻製料理とお酒の教室」にてセミナーの開催や、ウイスキーを愉しむイベント「ザ・シークレットバー」も銀座と西麻布にて定期的に開催している。 「ディスティラリーパッケージ1992」を皮切りに、「ウイスキーの教科書」「カクテル&スピリッツの教科書」「本格焼酎名酒事典」「ビジネスエリートが身につける教養 ウイスキーの愉しみ方」などを執筆、「世界のウイスキー図鑑」「世界のベストウイスキー」「ハリウッドカクテル日本語版」などを監修。ウイスキー、カクテル、スピリッツを中心に酒類に関する執筆・監修は26冊以上。 Webでは、「たべぷろ」にて執筆(https://tabepro.jp/author/hashiguchi) 「江崎グリコ お酒の話」を監修(https://jp.glico.com/osake/index.html)
  • https://www.hospitality-bank.com/

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