黒船来航!? トヨタ・クラウンに試乗!!


あちらこちらで賛否両論の新型クラウン。話題になるってことはそれだけ世のヒト達の注目が高い証明だし、某レーシングドライバーの言葉ならば「クレームは最大のラブレター」というではないか。じゃあ実際のところどうなのよ、と体験報告を。

16代目(現行モデル)はまさに黒船来航!?

さて。クラウンといえば問答無用で日本を代表する高級車。また国産車で1955年(初代クラウン登場)以来続けて同じネーミングを持つクルマは数少なく、クラウンには歴史という他のメーカーでは簡単に作れない付加価値がある。

現行モデルは2022年デビュー。モデル初ともいうべきクロスオーバースタイルを採用。このクロスオーバースタイルについて発表会で豊田社長は、それまでのクラウンを徳川幕府15代に例えて「クラウンはセダンという概念の方には、16代目(現行モデル)はまさに黒船来航」と例えていた。

そして「クラウンの歴史は革新と挑戦の歴史」とも。ちなみに指名買いの多いクラウンだが、ジツは販売面では苦戦していた。

そのピークは3ナンバー専用のワイドボディが用意された8代目で24万台近くを売り上げたが、その後緩やかに減少している。そこで世界的に売れ行きのいいクロスオーバースタイルを採用したのかもしれない。

閑話休題。試乗車は2.5リッターエンジンとハイブリッドのクロスオーバーGアドバンドのレザーパッケージ。一昔前でいうロイヤルサルーン系のゴージャス仕様と思えば間違いないと思う。

試乗で街に繰り出すとけっこう視線を浴びる!?

実際に実車を見ると、コレがなかなかにカッコイイ。試乗車はカタログの表紙も飾るイメージカラーと言っても差し支えないであろう、ブラック×プレシャスブロンズ。

このスタイルをクラウンと認識するかは個々人の判断だろうが、過去には2ドアハードトップクーペ(3代目、4代目、5代目、6代目)もあったことだし、社長の「クラウンの歴史は革新と挑戦の歴史」という言葉もあり、クロスオーバースタイルでも新型クラウンなのだ。

借り受けて街に繰り出すとクルマ離れが進んでいるというけれど、なかなかどうして意外に視線を浴びる。筆者が自意識過剰というのでも、大口を開けて鼻をほじって(失礼)いたわけでもない。

つまり、道行く良識ある方々が「お、新しいクラウンだ」と見ているのだと思う、多分。このシルエットを見て、「あ、クラウン」と多くの人が認識するようになったのは、トヨタの戦略してやったり。

運転席に陣取るとクラウンらしさを実感!

エクステリアは冒険、いや革新への挑戦をした分、インテリアは真新しい雰囲気はあるけれど、トヨタ印の高級車という印象。

そして乗り降りのしやすさはクロスオーバーならでは。

もしかするとクラウンのオーナー像の高齢化に合わせてクロスオーバーにしたのかも、と思ってしまった。運転席に陣取ると「ああ、トヨタのいいクルマ」と実感。すなわちソレってクラウンらしいってことだと思う。

口の悪い人からしたら走りもプリウスのデカいやつだよ、という意見もあるけれど、やはり各部の動きが高級があふれる。社用車やショーファーユースで気になる後席スペースだが、そこはさすがクラウン、広々だ。

スイッチを押してシステムを起動させ、セレクターをDに入れて走り出す。

試乗車は前述の通り2.5リッター直4(レギュラーガソリン仕様)にハイブリッドシステムを装着、後輪はモーター駆動のE-Fourという前後にモーターを持つ4WDシステム。

クラウンの静粛性能はさすが!

走行はほぼモーター。よほど深く踏み込んだり、バッテリー残量がスッカラカン(死語)にならない限りモーターメーンで走る。

マニアックなことを言うと、G系のグレードのリアモーターは空冷式。必要時にキチンと使えるよう、直進時などはFFになる。前後駆動配分は100:0から20:80まで。対してRS系は水冷式のモーターで積極的にアシスト(フルタイム4WD)し動力性能に貢献する。

モーターばかりでエンジンは大丈夫だろうかと心配になったが、RS系以外にはグリルシャッターが着くのだ。特に寒い季節にオーバークールになりがちなハイブリッドカーのエンジンを守るという意味でもさすがだ。

走り出してメーターで確認するとスタートは4駆ですぐに前輪駆動に切り替わる。モーターメーンということもあるけれどクラウンの静粛性能はさすがである。試乗車は21インチタイヤが標準装備だが、その巨大なサイズなのに突き上げ感やゴツゴツ感はなくしなやか。それでいて曲がると深くロールする。

専門誌的な話になって恐縮だがクラウンの骨格はカムリ(FF車)のそれと同じだが、後ろ半分はモーターを載せる都合もあり、クラウン専用になっている。その部分には乗り心地を最大限確保するためマルチリンクサスを採用、それが乗り心地に効いているのもあると思う。

またショックアブソーバーもレクサスES譲りのスウィングバルブショックアブソーバー(舌を噛みそうだ)で、微振動を吸収する。このふわふわの乗り心地はやはりクラウン以外何者でもない。

5m近い全長ながら取り回しの良さも報告。新型クラウンにはDRS(ダイナミック・リア・ステアリング)が標準装備。なんじゃそれは、というと早い話が後輪操舵システム。これが運転していても違和感はなく、目一杯ステアリングを切った時に鈍感な筆者はなんとなく分かった感じだった。

クラウンらしいオモテナシの装備の数々

さて。クラウンといえば日本のオモテナシのクルマでもある。トランクスペースは必要十分。

筆者がオモシロイ! と感じたのはトランクリッドに備わったバックカメラと電子ミラー用のウォッシャー。

「走ってみるとやっぱり、コレってクラウンだよね」と発表会での豊田社長の言葉。静粛性と優しい乗り心地、細かいオモテナシの装備の数々はクラウンらしいと筆者も思う。それにしても現行モデルは激安、爆安とお買い得感たっぷり。

Gグレードに関してだが動的質感はエントリーグレードと装備充実の豪華グレードの差はないし、車名だってトヨタの歴史そのモノと言っても過言ではないクルマ。それが700万円以下で買える。

好みはあるけど出来のいいクルマなのだ。ただ残念なのは諸般の事情で一部のグレードは2023年4月以降の生産とアナウンスされている(2022年12月20日現在)こと。

クラウン クロスオーバーG アドバンスドレザーパッケージ


価格 570万円から
全長×全幅×全高 4930×1840×1540(mm)
エンジン 2487cc直列4気筒
エンジン最高出力 186PS/6000rpm
エンジン最大トルク 221Nm/3600-5200rpm
フロントモーター最高出力 119.6PS
フロントモーター最大トルク 202Nm
リアモーター最高出力 54.4PS
リアモーター最大トルク 121Nm
WLTCモード燃費 22.4km/L

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  • 自動車ライター。専門誌を経て明日をも知れぬフリーランスに転身。華麗な転身のはずが気がつけば加齢な転身で絶えず背水の陣な日々を送る。国内A級ライセンスや1級小型船舶操縦士と遊び以外にほぼ使わない資格保持者。