連載・広坂正美のいま、そしてこれから
第8回

RC(ラジコン)カーレースにおいて、世界タイトル獲得14回、全日本タイトル53回など、前人未到の記録を残したレジェンドドライバーの広坂正美(ひろさか まさみ)氏。世界記録保持者でもある広坂氏は、2019年に長年所属したRCカーメーカーを退職して新たな挑戦を開始した。そんな広坂氏の“いま”に注目し、今後への展望や活動について紹介する連載企画。その第8回は、ついにたどり着いた広坂氏の新天地を発表する。

【第8回】広坂正美のNEWステージ!

広坂正美

1970年2月26日生まれ。京都府で幼少~学生時代を過ごし、高校3年生の時にRCカー世界選手権において日本人初のチャンピオンに輝く。高校卒業と同時にRCカーメーカーのヨコモに入社し、以降はヨコモの社員ドライバーとして、世界戦をはじめとする数多くのレースで優勝を飾った。2019年にヨコモを退社して、さまざまな活動を行っていたが、つい先ごろRCメーカーのジーフォース入りが発表された。


 1988年にヨコモに入社し、2008年末に第一線からの引退を発表するまではチームヨコモのエースドライバーとして世界選手権をはじめとする数多くのRCカーレースで活躍。その後はヨコモでRCカーの普及に尽力していた広坂氏は、2019年にヨコモ創業者の横堀智昭氏が勇退を発表すると同時に自身もヨコモを退社した。以降の活動についてはこの連載で紹介してきたが、広坂氏の“未来”はRCファンの間で常に注目されていた。

 そうしたなか、いよいよ広坂氏がRC業界への本格的な復帰を果たす。そう、同氏が今後はRCメーカーの「ジーフォース(G FORCE)」のスタッフとして活動を始めることが発表されたのだ。

 ジーフォースの創業は2013年と、RCメーカーとしてはかなり新しい。当初はRCカー用のモーターやスピードコントローラー、充電器などリリースし、さらには空域RCモデルのドローンやヘリコプター、モデルガン用アイテムの販売も手がけるようになり、現在では多岐にわたるホビー関連製品をラインナップしている。もちろんRCカーレースに使用可能な製品も多いが、それがジーフォースのメインということではない。

 そんなジーフォースに世界屈指のレース実績を誇る広坂氏が加わるというのは、特にRCカーレースに詳しい人にとっては少々意外な組み合わせにも思える。だが、当然ながらこれは理由がある。

 広坂氏がジーフォース入りすることになったきっかけは、群馬県のホビーショップ「HOBBY THE TOMY」代表・岡本氏の紹介にあった。YouTube動画の撮影や父・正明氏の販売するRCカーのテストのため同店を訪れていた広坂氏に、岡本氏がジーフォースとのジョイントを提案。その提案に応じた広坂氏とジーフォースのスタッフが何度か話し合いを行った。はじめは広坂氏がテクニカルアドバイザー的な立場でジーフォースに協力するという案もあったものの、両者の持ち味を生かしてよい製品を世に送り出す最良のかたちとして、広坂氏がジーフォースに入社するという結論になった。

ジーフォース代表取締役の櫻井英世氏と広坂氏。櫻井氏にはRCグライダー競技で豊富な実績があり、広坂氏とは感覚的に相通じるものがあるという。
新たな“相棒”となるジーフォース製品と。これらのほかにも多数のRC&ホビー関連アイテムがジーフォースからリリースされていて、その品質には定評がある。

 ジーフォースの主力製品がRCレース用アイテムではないことはすでに説明した。その点に関しては今後も変わる予定はない。しかし、広坂氏の豊富な経験、そしていまだ世界トップクラスにある操縦技術は、これからのジーフォースの製品開発に生かされることになる。広坂氏自身、すでにRCカーレースにおいて自身の力を証明する必要はなく、世界戦をはじめとするトップレベルのレースに復帰したいという気持ちもないとのこと。むしろRCカーユーザーの裾野を広げ、この業界の継続と発展のために自分の能力を役立てたいと語る。

 こうした思いはジーフォース側でも同様で、広坂氏には、初心者でも手軽に扱うことができ、なおかつ十分な性能を発揮する製品開発での活躍を期待しているという。世界一をかけて製品開発を行っていた広坂氏の技術があれば、製品テストも限界まで行うことができる。これが製品の信頼性や耐久性の向上に貢献するだろう。もちろん、広坂正美という世界的なネームバリューを生かさない手はない。広坂氏のジーフォース入りは、RCモデル業界にとって間違いなく大きなニュースであり、それは国内だけでなく世界中に伝わる。これによってジーフォースの名前もより知られるようになるはずだ。

このデスクが広坂氏の仕事場になる。これまでの経験をジーフォース製品の企画や開発に活用していきたいという広坂氏。どのような新製品が登場してくるのか、今から楽しみだ。

 すでにジーフォースのスタッフとして活動を開始している広坂氏。スタッフとなって驚いたのは、ジーフォース製品のラインナップが想像以上に豊富なことだったという。自身にもなじみのあるRCカー用アイテムはもちろん、その他のジャンルの製品も多彩で、まだまだ覚えなくてはいけないことも多いとのこと。今まで知らなかった分野の製品について学ぶことは広坂氏にとって新たな挑戦であり「自分になかったものがジーフォースにはある」と感じているそうだ。また「ジーフォースにはなかったものを自分から提供していきたい」との思いもある。

半生を費やし、誰も並ぶことのできない成績を残したレースの世界からは離れ、RCモデルのエントリーユーザーを楽しませる製品作りに今からワクワクしていると語る広坂氏。さらには製品開発だけでなく、イベント運営などを含めた宣伝活動にも携わっていく予定とのこと。ただし、これまでお世話になったと感じているRCカーレースの世界から完全に離れるのではなく、世界選手権での運営協力や審判の要請などがあれば、ジーフォースでの業務に支障のない範囲で協力は続けたいとも。広坂正美の“これから”は、これまで以上に充実したものになっていきそうだ。

広坂氏お勧めのジーフォース製品その1

RCモデルのバッテリー充電をはじめ、キャンプなどのアウトドアユースでも活躍してくれるポータブル電源の「PORTLET160」。DC10~14V、AC100V、USB5V電源として使用可能で、長時間対応の大容量タイプ。


http://gforce-hobby.jp/products/G0400.html


広坂氏お勧めのジーフォース製品その2

カメラでの撮影も可能な小型ヘリコプター「Hawk-Eye」。Wi-Fi通信でスマートフォンやタブレット端末とリンクでき、画像をスマホで見ながら操縦が行える。ドローンにはない高速飛行での操縦と撮影が楽しめる。


http://gforce-hobby.jp/products/GB162.html


広坂氏お勧めのジーフォース製品その3

こちらはレース用RCカーやドリフトRCカーに使用する重量計の「X Weight Gauge Air」。4本のタイヤに加わる荷重を個別に測定可能で、測定結果はスマホやタブレット端末に表示される。シビアにセッティングしたい人に最適。


http://gforce-hobby.jp/products/G0338.html



写真提供/ジーフォース http://gforce-hobby.jp/


「広坂正美のラジコン街道」:
・第1巻
・第2巻
・第3巻
・第4巻
・第5巻

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連載・広坂正美のいま、そしてこれから第2回
連載・広坂正美のいま、そしてこれから第1回

  • RC(ラジコン)カーの記事を中心に、模型や実車などのメディアで編集・執筆を行うフリー編集者兼ライター。余暇のほとんどを競技用RCカーの走行や整備に費やす立派な(?)ラジコン廃人。9割以上がラジコンの話題で埋め尽くされるブログ「すべては12分の1のために」は、ごく一部の読者に好評継続中。
  • http://1-12thonroad.cocolog-nifty.com/blog

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