東京都交通局の企画だから実現した、本物の図面を使った都営地下鉄&バスのペーパークラフト

東京都交通局が通販サイトの「はとマルシェonline」で今年4月に発売した1/100スケールのペーパークラフト(紙製模型)。建築模型やそれを応用した紙製模型作りに定評のあるテラダモケイはどのように都営地下鉄と都営バスの模型化に臨んだのか? 注目企画の第二弾は、模型をプロデュースした人たちに聞いてみた!

【第2回】正確さと本物らしさ、高度にバランスさせるのが模型作りのポイント


テラダモケイ 都営交通編 都営浅草線「5500形」
第2回
(photo:Kenji MASUNAGA)


テラダモケイ 都営交通編 都営大江戸線「12-600形3次車」
第2回
(photo:Kenji MASUNAGA)


テラダモケイ 都営交通編 都営バス「LV290N3」
第2回
(photo:Kenji MASUNAGA)


クライアントとデザイナーの理想的な関係


 開業60周年の都営浅草線、そして全通開業から20周年の都営大江戸線の記念アイテムとして製作された紙製模型。今回お話を伺った東京都交通局の吉岡俊二さんによると、記念アイテムはいくつかの候補を検討した後に紙製模型にすることを決定。併せて都営バスの模型も作られることになった。
「記念の年となる都営浅草線と大江戸線を模型化するのですが、せっかく作るのなら、同じく東京都交通局が運営する都営バスもほしいということになり、同時に3アイテムの発売が決まりました。そこで紙製模型に実績を持つテラダモケイさんに製作をお願いすることになったのです」と吉岡さん。テラダモケイ代表の寺田尚樹さんは、東京都からのオファーが「うれしかった」と語っている。
「これまで製作してきた紙製模型が評価されたということもありますし、私自身模型好きなので、こうした記念アイテムの製作に関われることを名誉に感じました。ぜひやらせてくださいと(笑)」
 今回の模型製作にあたり、東京都からテラダモケイには、実車の図面が提供されている。これも模型を作るうえで大いに役立ったそうだ。「仮に図面がなかったとしても、実物を見に行けはいいだけの話で、製作を請けおうことに問題はありませんでした。でも、図面をいただけたので、作業は予想以上にスムーズに運びました」と寺田さん。


第2回
左から東京都交通局総務部の吉岡俊二さん、テラダモケイ代表の寺田尚樹さん、そして東京都交通局総務部の古地唯香さん。


必要に応じたデフォルメと勇気ある(?)省略で市販品を作る


 実物の1/100スケールで製作された今回の紙製模型だが、いくら図面があるとはいえ、実際の寸法をそのまま1/100にしてもリアルな仕上がりにはならない。
「まずは目線が違うわけです。本物の地下鉄やバスは目線を水平、あるいは見上げるかたちで見ることが多いのですが、模型は斜め上から見ることが多い。そこで、そうした目線になったときに本物らしく見えるよう各部をデフォルメしています。また、添景の人物なんですが、これも実際の人間より腕を長めにしてあるんです。これは手を曲げてポージングさせた際にリアルに見えるようにするのが目的です。同時に小物のカメラやカバンのサイズも必要に応じてアレンジしてあります。今回の模型には車イスも付属していますが、これも実物をできるだけ省略し、少ない要素でもきちんと車イスになるようにしています。とはいえ、模型が完成したら、ぜひ目線を低くして見てください(笑)。リアルな感覚が味わえると思います。
 さらにいうと、製品はA4サイズのシートに収めることが決まっていましたので、どれだけの要素を限られたサイズに盛り込むのかも悩みの種でした。実は、デザインしたパーツの点数はA4サイズの倍くらいあったんです。しかし、先の理由があったので泣く泣く没にしたものもあります」と寺田さん。
「マスコットの『とあらん』や『みんくる』はぜひとも入れてほしいとお願いし、それ以外に関しては寺田さんと話し合いを繰り返して絞り込みを行いました。それだけに完成した製品には満足感があります」(吉岡さん)
 このようなプロセスを経て生み出された3種類の紙製模型は、地下鉄&バスのファンでなくても「作ってみたい」という気持ちになる魅力的な商品になっている。限定販売品なので、興味のある人は早めのゲットをお勧めしたい。

※最終回となる次回は「テラダモケイ 都営交通編」の生産と組み立てに関する話題をお届けする。驚異的な細かさでも注目される紙製模型の組み立て難易度は、どれほどのものなのだろうか?


第2回
行列待ちのお客の中には都営バスのマスコットキャラである「みんくる」も。この芸の細かさもこの模型の魅力のひとつだ。…


第2回
都営バスのルーフに描かれた東京都のシンボルマーク。これは上から見ないと気づかない要素で、寺田さんが実際にバスを見下ろす機会があったときに“発見”したものだという。


テラダモケイ都営交通編都営浅草線「5500形」価格:4400円
テラダモケイ都営交通編都営大江戸線「12-600形3次車」価格:4400円
テラダモケイ都営交通編都営バス「LV290N3」価格:4400円

はとマルシェonline:https://hatomarche.com

長谷川 敦(Atsushi Hasegawa)
  • RC(ラジコン)カーの記事を中心に、模型や実車などのメディアで編集・執筆を行うフリー編集者兼ライター。余暇のほとんどを競技用RCカーの走行や整備に費やす立派な(?)ラジコン廃人。9割以上がラジコンの話題で埋め尽くされるブログ「すべては12分の1のために」は、ごく一部の読者に好評継続中。
  • http://1-12thonroad.cocolog-nifty.com/blog