特撮ばんざい!第79回:Vシネクスト『仮面ライダーカブト20th 天を継ぐもの』で描かれる、個性あふれるマスクドライダーたちそれぞれの「20年後」の姿――佐藤祐基、加藤和樹、徳山秀典クロストークインタビュー

写真/熊谷義久 文/秋田英夫

2006年に放送された平成仮面ライダーシリーズの第7作『仮面ライダーカブト』の20周年を記念したVシネクスト『仮面ライダーカブト20th 天を継ぐもの』(監督:石田秀範)が、劇場上映(11月6日から期間限定上映)と映像ソフト(Blu-ray&DVD)にて展開される。

左から、加藤和樹、佐藤祐基、徳山秀典
『仮面ライダーカブト20th 天を継ぐもの』メインビジュアル

公式サイト

<INTORDUCTION>

宇宙から飛来し、人間の姿や記憶をコピーする侵略者「ワーム」と戦うため、昆虫型変身アイテム・ゼクターに選ばれた天道総司(演:水嶋ヒロ)をはじめとする個性豊かな「マスクドライダー」たちの群像劇を描いたテレビシリーズから20年、かつてワームの脅威から人類を救ったライダーたちが、ふたたび「変身」するときがやってきた。

Vシネクストのリリースを祝して『仮面ライダーカブト』テレビシリーズでも活躍した3人のライダーたち……仮面ライダーガタック/加賀美新役・佐藤祐基、仮面ライダードレイク/風間大介役・加藤和樹、仮面ライダーキックホッパー/矢車想役・徳山秀典のクロストークが実現。それぞれが「20年」という歳月をどのように受け止めたか、久々に「仮面ライダー」の世界に入り込んだ時の感覚、そして気心の知れた仲間たちの変わったところや、逆にいつまでも変わらないところについて尋ねてみた。

<DISCUSSION>

――『仮面ライダーカブト』の放送から20年という月日が経った、現在のお気持ちから聞かせてください。

佐藤 俳優としてまだ駆け出しのころに携わった仕事として、『仮面ライダーカブト』は僕らにとっても大きく在り続ける作品でした。今、僕のファンでいてくださる方たちも『カブト』がきっかけという場合が多いですし、そんなファンのみなさんに20年ぶりの『カブト』映画をお届けできることは嬉しい限りです。20年という歳月については、気づいたらもうそんなになるのか……っていう気分ですね。ここまでで劇的な変化があったかどうか訊かれれば、そうではないかもしれません。何年も戻っていない実家へ久しぶりに帰ってきて、昔と変わらず「久しぶり、ただいま!」とあいさつする感じですかね(笑)。

仮面ライダーガタック/加賀美新を演じる佐藤祐基

徳山 今もなおこの仕事(俳優・歌手)を続けているからか、『仮面ライダー』や『スーパー戦隊』は自分の近くにいつもいるものとして感じています。だから「もう20年か……」みたいな感慨よりは「えっ、もう20年も経ったの?」という驚きのほうが強いですね。

仮面ライダーザビー/仮面ライダーキックホッパー/矢車想を演じる徳山秀典

佐藤 歴代仮面ライダーシリーズのキャストが交替で出てくる『仮面ライダージオウ』にも僕は出ていますからね(第37、38話)。あれは2019年の放送だったから……。

徳山 もう7年前くらいになるんだね。

加藤 『ジオウ』もそんなに前の作品なんですね……。

佐藤 ヘンな話なんですが、『ジオウ』に出たときのほうが「昔だなあ」みたいな感覚になるんです(笑)。それだけ『仮面ライダーカブト』は僕の中で「あって当たり前」な存在なんでしょうね。

加藤 『カブト』から20年と言われても、確かにピンとこないところがあります。佐藤くんが言ったように、そんなに昔って感じがしないんです。もちろん実際に年月が過ぎていますから、映像を観返したりすると「なつかしさ」みたいなものを感じますけれど、やっぱり『カブト』ならではの特別な思いはいつまでも消えずに残っています。

仮面ライダードレイク/風間大介を演じる加藤和樹

佐藤 俺たちにとっては、そこまで身近な存在なんだと思うけど、あのころ『カブト』を観ていたお子さんが、20年経ってすっかり大人になったと思うと、ちょっとびっくりしますね。

加藤 大人と子どもでは、時間経過の感覚が違いますからね。当時5歳だった人も、今では25歳の立派な大人。そういう人にとって、やっぱり20年というのは長いですよ。

佐藤 俺たちはあれからほとんど成長していないけど、子ども時代にテレビで『カブト』を観ていた人は人間的に成長したり、学校を卒業して就職したり、いろいろあっただろうね。俺たち怒られそう(笑)。

加藤 今年の春にライブで各地を回ったのですが、そこのスタッフとして働いていた男の子が僕に「カブト、観てました!」ってキラキラした目で話かけてもらったことがありました。自分では時間経過がわからないと言いましたが、こんな風に外から言われることで「20年」を実感しますね。

佐藤 徳さん(徳山)は『カブト』に出る前から俳優をやっていて、俺もテレビで観たことがありました。『カブト』の段階で芸歴はどれくらいだったかな。

徳山 あの時点で、芸歴15年でしたね。

加藤 僕も兄貴(徳山)の歌、『カブト』以前に聴いていましたよ。

徳山 でもね、石田(秀範)監督は僕のことをずっと新人俳優だと思ってたみたい(笑)。

加藤 いつも石田監督は徳山さんに怒っているイメージがありました。

徳山 そうでした(笑)。なんで、俺ばっかり怒られるんだろうって、理不尽な思いを抱いていました。

――今回Vシネクストの演出を手がけた石田秀範監督とも、『仮面ライダーカブト』テレビシリーズ以来ひさびさの再会となるのでしょうか。歴代「平成仮面ライダー」シリーズの俳優さんから恐れられたという「怖い」石田監督の現場へ久々に入られた印象はいかがでしたか。

佐藤 石田監督とは2013年、石ノ森章太郎先生の記念館「石ノ森漫画館」のために作られた映像作品『シージェッター海斗』でご一緒しましたが、『仮面ライダー』の現場だと、ほんとうに久しぶりとなりました。

加藤 僕はテレビシリーズでの石田組にほとんど入ってなかったように覚えています。すごく印象に残っているのは、夏の劇場版『GOD SPEED LOVE』でご一緒したときのこと。ものすごく怖くて、そのイメージが強烈に残っています。とにかく怒鳴られていましたね。今回の石田監督は、最初だけ優しいふりをしていたように思います(笑)。

佐藤 確かに、猫を被っていましたね。撮影が進んでいくうちに、当時っぽい石田監督に戻っていった感じ(笑)。

徳山 だんだん、猫の着ぐるみを脱いでいった(笑)。でも今回の撮影がオールアップしたとき、「徳山、いい顔になったな。やっと役者の顔になった」って褒めてくださいました。

加藤 石田監督は僕にも「加藤、芝居上手くなったな」って言ってくださいました。でも、この3人はもう40歳を越えていますからね(笑)。

佐藤 これまで俺たちが重ねてきた経験を、ちゃんと石田監督が観ていてくれたってことかな(笑)。嬉しかったですね。

仮面ライダーガタック(左)と仮面ライダーカブト(右)
仮面ライダードレイク(手前)と仮面ライダーキックホッパー(奥)

――20年後の加賀美、大介、矢車による「変身」シーンを撮影したとき、どんな思いを抱きましたか。

加藤 それこそ「変身」はあまりにも久々すぎたので、以前はどんなテンションで変身していたのか、思い出す時間が必要でした。

佐藤 俺の場合は昔と同じ気持ちでした。ああいうの(変身)は照れたら負けなんだ、と思いながらやっていました。

徳山 確かに。今回の作品で矢車は複数のライダーに変身するので、各ライダーになるときのテンションの違いを意識しました。

加藤 やってみると、変身したときの高揚感というのは凄いなって、改めて思いましたね。

ガタックゼクターを構えた加賀美が「変身」!

――20年後の加賀美は、高校生の息子とふたり暮らしという生活面での大きな変化が見られました。一方で、カリスマメイクアップアーティストの大介、そして地獄兄弟(の兄)として常にやさぐれている矢車の2人は、年月を経ても「やっぱりこの人たちは変わらないな」と思わせてくれました。特に矢車は、20年前のインパクト抜群な「名セリフ」の数々をひととおりこなして、言ってみれば矢車想のフルコースを本作で楽しむことができますね。

佐藤 確かに、矢車のセリフはぜんぶ詰め込まれていたねえ(笑)。

加藤 時間も限られている中で、詰め込むだけ詰め込んで(笑)。

やさぐれる矢車想(左)と、常にクールな風間大介(右)

徳山 「パーフェクトハーモニー」から始まって、「いま、俺を笑ったな?」とか「お前らはいいよなあ。どうせ俺なんて……」とか、なんか「矢車にはこのセリフを言わせておけばいいだろう」という感じもなくはないですね(笑)。

佐藤 加賀美、大介、矢車が集まって、正面をゆっくり歩いてくるシーン、あれはやっぱりカッコいいと思うんですけど、あそこで3人が交互にセリフを言うと台本に書いてあったので、そのつもりでいたら石田監督が「ここのシーンは後で(声を入れる)!」と言ったので、けっこう驚きました。

加藤 せっかく台本のセリフ、覚えてきてたんですけどね。急にそんな風に決まって、あそこは石田監督のアドリブ演出です。

徳山 加賀美と大介がスローモーションで歩いてくるところに、傍らで座り込んでいる矢車が「お前らはいいよな……」と言いながら合流する。あそこはカッコよくなるかな~なんて思っていたんですが、試写を観ると誰もがあの矢車のアップで笑ってる(笑)。

加藤 確かに、試写ではみんなが笑っていました(笑)。

徳山 矢車が出ると「笑いをくれ!」という無言の声が聞こえてくるみたいですね(笑)。

加藤 画としては、3人が決意を込めて敵に立ち向かう、とてもカッコいいシチュエーションですからね。

矢車想、風間大介、加賀美新が新たな戦いに挑む

――加賀美の息子・結を演じた荒木飛羽さん、そして謎めいた少女(結の同級生)天道ヒカルを演じた小寺結花さんと、かつてのみなさんを思わせるような若手キャストたちとご一緒されたときの思いを聞かせてください。彼らに昔の自分を重ね合わせたようなことは?

佐藤 いやいや、それはまったくなかったですね。これからいろんな方面で注目されるはずだから、2人に「頼むよ! 売れてくれよ! 君たちにこの作品の売上がかかってるんだから!」って期待を込めて、応援していました(笑)。

加藤 期待が重い、重い(笑)!! 

加賀美結(左)と同級生・天道ヒカル(右)

――みなさん、改めて20年前と現在とを比べ、印象がどのように変わったか、あるいは変わっていないのかを教えてください。

加藤 当時はドラマの撮影現場に慣れていなくて、演技の経験もわずかでしたから、周りを見るってことができませんでした。今回では、周囲を見渡す余裕ができたため、『カブト』をやっていた20年前も、こんな風に現場がキビキビと動いていたんだなとか、そういった部分にも目が行くようになりました。

佐藤 いま思いだしたことがひとつあります。『カブト』のころ、和樹には監督から話を聞くときなどで、すっと姿勢を正していると、アゴが上がって目線が少し下がるってクセがあったんです。Vシネクストを撮影しているとき、それがパッと和樹から出てきたので、「ああ、変わってないな……」と懐かしさを感じました(笑)。

加藤 それは恥ずかしい(笑)。

徳山 僕から見た2人の印象も、ぜんぜん変わっていないんです。昔から「謝り方に心がこもってない」という人物がひとり居るんです。佐藤祐基っていうんですけど(笑)。加賀美が矢車に声をかけるシーンで、本番で「矢車さん!」って叫ぶところを「徳山さん!」と間違えた。

佐藤 わははは!

徳山 言われた瞬間、混乱して思わず笑ってしまったんですね。そうしたら石田監督に「徳山! ヘラヘラしてんじゃねえ!」って怒られた(笑)。なんで俺、いま怒られてんのかな……って思いましたからね(笑)。

佐藤 NGを出した俺が怒られなきゃいけないのに、サーセン(すみません)!

徳山 こういうとこ、心がこもってないでしょ(笑)。

加藤 みんな中身がぜんぜん20年前と変わらないんだけど、外見も変わらないよね。ファンの方たちがSNSで「みんな見た目、変わらなさすぎ」って書いていたらしいし(笑)。

徳山 でも矢車の衣装を着るため、撮影の日までに減量して4~5キロくらい落としたんですよ。

佐藤 みんな、それなりに年齢を重ねているので、何らかの努力をしているということかな(笑)。変わらないねってファンのみなさんから感想を言われると、やっぱり嬉しいものです。

――Vシネクストのエンディング主題歌「NEXT LEVEL Pass the tofu Version」をみなさんで歌われたときのご感想や、楽曲についての思いはいかがですか。

佐藤 収録は3人とも別々だったので、完成した歌を聴いたのは試写の前の日とか、そんなタイミングでした。聴いたときの感想、言ってイイですかね……これ俺じゃなくてもよくね?(笑)

加藤 いや、ちゃんと歌っていたよ。

佐藤 20年前も加賀美のキャラソンを歌ったんですけど、なんで俺が歌わないといけないのか? を考えながらこなしていたように思います。今回は、歌を本職にされている2人に支えていただき、収録に臨みました。

徳山 そんなことないよ。立派に歌えてたと思う。

佐藤 歌詞の話をすると、テレビシリーズとVシネクストでは、同じメロディではあるけれど歌詞が各キャラクターのイメージに合わせてアレンジされているんだよね。

加藤 いやあ、胸アツですよ。歌詞が違うというのは!

徳山 この3人が演じているキャラクターに合った歌い方をした印象。それぞれの歌声がしっかりとハマっていました。

加藤 確かに!

佐藤 僕は汗だくになり、ずっと拳を握りしめながら歌っていました。

徳山 そういうところ、とても加賀美っぽくて嬉しくなってきますね(笑)。

――『仮面ライダーカブト20th 天を継ぐもの』で、特に注目してほしいポイントがあれば、ぜひアピールをしてください。

徳山 矢車の「戦闘スタイル」です。ちゃんとザビーなりの戦い方、キックホッパーなりの戦い方がはっきり区別され、インパクトを強めていますので、その「違い」に注目してください!

仮面ライダーザビー(左)と戦う仮面ライダーパンチホッパー(右)

加藤 大介なら、ゴン(演:馬場ふみか)と一緒にいるシーンですね。今回の成長したゴンは馬場ふみかさんが演じられました。大介とゴンが久しぶりに再会するくだりは、なんか自分でもグッと来てしまい、試写会場で涙ぐみましたね。短い間だけど、大介の相棒として行動を共にしていたゴンと大介が、最後にお互いどんな「結末」を迎えるのか、とても感動的な描写でした。

風のようにきまぐれな大介(左)と、美しい女性に成長したゴン(右)はすでに、お互いの住む世界が異なっていた……。

佐藤 何度も言っていますが、いい意味でみんなが「変わっていない」ところ、それが見どころかもしれません。しかし、派手な変化とかは観られないものの、20年という歳月がかもし出した「人としての厚み」や、これまで「経験してきたこと」などを、俺たちの演技を通じてファンの方々にお届けできたらありがたいですね。

ミステリアスな少女・天道ヒカルと遭遇する加賀美
『仮面ライダーカブト』の旨味を抽出した濃厚な味わいの最新作に期待しよう!

<公開&リリース情報!>

Vシネクスト『仮面ライダーカブト 20th 天を継ぐもの』は2026年11月6日より全国劇場にて期間限定上映。その後、2027年2月10日にBlu-ray&DVDが発売(同時にレンタルも開始)される。

公式サイト

佐藤祐基(さとう・ゆうき)1984年生まれ。東京都出身。2005年『ごくせん』(第2シリーズ)で俳優デビュー。以後、2026年『ストーブリーグ』などのドラマ、映画、舞台に多数出演。
加藤和樹(かとう・かずき)1984年生まれ。愛知県出身。2005年『ミュージカル テニスの王子様』で注目され、以後も歌手・ミュージカル俳優・声優として精力的に活動。
徳山秀典(とくやま・ひでのり)1982年生まれ。東京都出身。1995年に俳優デビュー。1998年『GTO』をはじめテレビドラマ、映画、舞台に出演。1999年の歌手デビュー以来、幅広いフィールドで活躍する。

<スタッフクレジット>
■佐藤祐基
ヘアメイク:FACE-T松岡彰 スタイリスト:中村剛
■徳山秀典
スタイリスト:細川勝元 ヘアメイク:向田聡子
■加藤和樹
ヘアメイク:瀬戸口清香 スタイリスト:立山功
シャツ 価格7万2600円、カットソー 価格2万8600円、パンツ 価格7万1500円/The Viridi-anne(The Viridi-anne 03-5447-2100)、その他スタイリスト私物

<ライタープロフィール>
秋田英夫(あきた・ひでお)フリーライター。『宇宙刑事大全』『大人のウルトラマン大図鑑』『日本特撮技術大全』『東映スーパー戦隊大全』『上原正三シナリオ選集』『ゴジラの超常識』など特撮書籍・ムックの執筆・編集に携わっています。最新の特撮作品情報や、懐かしのヒーロー記事などWEB媒体でもいろいろとやっている、つうかいボーイです。

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