電動はツライよ?
名作「男はつらいよ」の主人公、フーテンの寅の名台詞「生まれも育ちも葛飾柴又ウンヌン」ではないけれど、生まれは欧州、籍は米国といったのがアベンジャー4xeだ。同車はジープ初の4輪駆動ハイブリッドモデルで、クルマの基本構造はステランティスグループのプジョー2008、フィアット600、アルファロメオ・ジュニアと共通。しかしながら「ジープ」を名乗る以上、他のモデルとデザイン違いだけ、というわけにはいかない。そこで後輪にもモーターを搭載し、リアサスは独立型のマルチリンクにするなど兄弟車と差別化を図っている。
ただし籍は米国ジープブランドなのだけれど、この電動車は米国には導入されない。そうすると「なんだジープぢゃないの?」とか言われてしまい、非常に風当たりの強いクルマになってしまった。
しかしながら乗った印象はジープでした! というご報告を。4xeはアップランドとスタイルパックの2グレード展開で、試乗車は前者の方。


なお100%EVモデルは本webに津川御大の的確納得ズバリの試乗レポートがコチラとコチラにあるのでぜひご覧ください!
シティ派ジープと見せかけて からのぉ本格派
運転席に陣取ると、硬派系ギア感高めのラングラーに対してモダンな雰囲気のインパネデザインが迎えてくれる。よほどの環境でない限り、街中を多く走るのだから、この方がオシャレさんだと思う。もちろん水平基調なダッシュボードはラングラー譲りで未舗装路などを走った時にクルマの傾きを把握しやすいようになっている。そこに10.25インチのメーターパネルがあり、機能の中にある先進性といった趣はある種のギャップ萌えを誘発するかもしれない。


「らしさ」は他にもある。例えば樹脂製を強調したパーツが多かったり、撥水加工が施されたファブリックシートを採用していたりとアウトドアユースをメーンに想定しているため、手入れをしやすくしている。それにレネげーどよりコンパクトとはいえ車内は十分広く、見た目のサイズ感以上は間違いない。それは後席にも当てはめられ、ボディサイズから受ける印象よりも遥かに広い。

ボタン式のシフトセレクターで「D」をポチっとして走り出す。パワーユニットは1.2リッターの直3ターボエンジンに48Vのマイルドハイブリッドシステムを組み合わせたモノ。エンジン自体のスペックは136PS、230Nm。これに21PS、51Nmのモーターを内蔵した6速のデュアルクラッチトランスミッションが組み合わされる。ここまではプジョーやフィアットと同じだけれど、4xeは後輪に29PS、89Nmのリアモーターも搭載される。リアにモーターがあるから常時AWDと思っていたら、ドライブモードに合わせてこれがカシコク、エコなサポートをしてくれるのだ。


クルマに用意されている走行モードはデフォルトで普段使いのAUTO、悪路を想定したSNOW、SAND/MUD、SPORTの4つ。
AUTOでは30km/h付近までは基本的にフロントモーターによる前輪駆動。高速などの合流や右車線などへの加速で踏み込んだ時には瞬間的に後輪も駆動し加速力を高めるが、その範囲も約90km/hくらいまでで、100km/hから120km/hへの加速ではFFのまま。それはSPORTモードでも基本的には変わらないが、SPORTモードだと40km/hまでは前後のモーターが介入し、加速力に貢献する。
このモーターの味付けには理由があって、搭載されるモーターは高速志向のベクトルではなく、低い速度で安定したトルクを出すモノという。つまりは悪路での走破性を重視している。なお、悪路を想定した2つのモードでは30km/hまでは50:50の常時4WDになり、合わせて車両を安定させる電子デバイスが路面に応じた制御で介入する。なんだ30km/hかと思うべからず。結構な未舗装路だと30km/hも出せればかなりな高速ステージのはず。コブをゆっくりとクリアしていく時などは歩く速度以下だ。
確かに本格的な岩場は別だがそれ以外の悪路では引けを取らない。地上最低高は日本が誇るオフローダー、ジムニー・シエラと同じ210mm。そしてリアバンパーにピョコっとはみ出している牽引フックは、最初は格納式かと思いきや、なんとこのまま。コイツにロープをつければ、ぬかるんだ道でスタックしてしまったラングラーを救助できる駆動力という。またリアに採用されるマルチリンクサスペンションはオンロードでは乗り心地、オフロードでは走破性の向上と大活躍。さらに基本骨格はサイドシルの断面積が内燃機関のクルマよりも大きくなっているのでより頑丈でもある。つまりタフさはまぎれもないジープ家の血統だ。


しかしながらこれだけ悪路走破性を持っているのに本国では電動=異端児といわれているようで水戸黄門の印籠的悪路走破性を認める丸いトレイルレイテッドのバッヂはつかない。電動はツライよ。
楽しいからOK!
さて、最近のジープといえばイースターエッグ(隠しデザイン)。望遠鏡を覗く子や、てんとう虫などなどクルマの内外至る所にある(探せばもう少しある)。実用的なのはフロントバンパーにいるアヒルだろうか。4xeはハイブリッドとはいえジープを名乗るれっきとしたオフローダー。このアヒルは渡河水深性能の目安である40cmを指して、いや浮かんでいる。
これらは探して楽しい遊び心あるモノなのだが、もう一つ膝を叩く仕掛けが。それはウィンカー音。操作するとドラムとその縁を叩くような音がする。クルマからセッションしようぜ! と言われている感じで指先でステアリングでも叩きたくなる。



確かに「コレぞ、ジープ」なボディサイズではないし、タフな雰囲気でもないけれど、ブランドのデザインアイデンティティ、セブンスロットグリルもあるし、悪路走破性能は前述の通り。街中でも最小回転半径も5.3mと機動性もなかなか。
普段使いは街中メーンで休みの日にはキャンプや釣り、冬はウィンタースポーツといった使い方なら間違いなく使いやすいクルマの1台。休みの日の釣行などちょっとした未舗装路、大人のくるぶしくらいまでの小川を超えてお気に入りのポイントまで行く、そんな使い方なら間違いなく頼もしい相棒になってくれるはずだ。そういった場所に限ってラングラーだと大きすぎるのよ。
また今回の試乗での燃費は街中5割、高速2割、渋滞2割、山道1割で16.3km/L。カタログ燃費は19.0km/Lで、高速メーンだと20km/Lくらいはいくという。意外に財布にも優しい。
もし無理やりアラを探せば、アメ車はレギュラーで大丈夫といったイメージだけれどもハイオク指定になっているところ、街中などで定速巡航中でエンジンが止まってしまうとエアコンの効きが緩くなることくらい。

アベンジャー4xe ハイブリッド Upland
| 価格 | 519万円 |
| 全長 × 全幅 × 全高 | 4120 × 1775 × 1600(mm) |
| エンジン | 1199cc直列3気筒ターボ |
| エンジン最高出力 | 136PS/5500rpm |
| エンジン最大トルク | 230Nm/1750rpm |
| フロントモーター最高出力 | 15.6kW/4264rpm |
| フロントモーター最大トルク | 51Nm750-2499rpm |
| リアモーター最高出力 | 21kW/3000rpm |
| リアモーター最大トルク | 89Nm/500-2000rpm |
| WLTCモード燃費 | 19.0km/L |
ジープ
アベンジャーハイブリッド
問 ジープフリーコール 0120-712-812



































