[#84]みんな高いところが好きなんだから

文・徳本真弓/モノ・マガジン編集部

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main会場には1889年当時のエッフェル社制作「エッフェル塔の模型」などが並ぶ。


2012年2月29日、3年8カ月の工事期間を経て、自立式電波塔としては世界一の高さ(634メートル)を誇る東京スカイツリーが完成した。

5月22日の開業まで、まだ2ヶ月以上の猶予があるが、圧倒的な高さを目の前にすると、まだ登れぬ憧憬も相まってか、心の底から高揚感が沸き上がってくる。高い塔にはどうにも人を惹きつけてやまない魅力が潜んでいるのだ。

東京スカイツリーの完成を記念して、江戸東京博物館では5月6日までの期間、『ザ・タワー ~都市と塔のものがたり~』が開催されている。この展覧会は「人はなぜ塔を建てるのか」を切り口に、タワー好きが唸る展示構成となっている。

序盤はそれぞれの時代における、塔と人との関わりを掘り下げている。古代より、空に向かって高く築かれてきた祈りを捧げる場所。その系譜のなかで、旧約聖書に登場する未完の塔である『バベルの塔』と、日本における塔の起源である仏塔を紹介。

戦国時代に入り、防衛のため「見張る」という目的が生じ、天守が登場する。江戸時代に入ると限られた人たちが「見晴らし」を楽しみはじめ、そして、文明開化とともに日本人に「風景」が開放される……といった、塔に関する歴史もきっちりと抑えられている。

会場には、大正時代の心躍る高楼建築錦絵の数々や、エッフェル塔建設現場を定点撮影したテオフィル・フェオの写真、デコラティブ過ぎるエッフェル塔改築案などなど。終始、ニヤリとできる充実の展示が並ぶ。もちろん、王道の東京タワーや通天閣に関しての資料もたっぷり紹介されている。

なかでも、私が最も衝撃を受けた展示は、浅草十二階が関東大震災で崩落した際、二次被害を防ぐために爆破される瞬間を捉えた一枚の写真! まさか、こんな写真が残っていたなんて!

タワーと聞いたら居てもたっても居られない、無類のタワー好きである私。興に入るあまり、一気に書き上げてしまった。

東京スカイツリーオープン前のこの好機に、タワーについて、しっかりおさらいしようではないか!

■東京スカイツリー完成記念特別展
『ザ・タワー ~都市と塔のものがたり~』
開催場所:東京都江戸東京博物館1階展示室
開館時間:9時30分~17時30分(土曜日は19時30分)入館は閉館30分前まで。
期間:5月6日まで。
休館日:毎週月曜日(ただし4月30日は閉館)
http://tower-ten.jp

img001常設展示室(別売り一般600円)では5月20日まで、1970年日本万博開催当時の「太陽の塔 黄金の顔」が展示されているので、こちらもお見逃しなく!

上画像:「太陽の塔 黄金の顔」絵葉書 江戸東京博物館蔵

img002上画像:「寒月を背に大東京の夜空に輝く東京タワーを麻布の高台より仰ぐ」1958年頃

img003「浅草公園凌雲閣登覧寿語六」1890年頃