初蔵出しコレクションにも注目!
野村義男、「僕がギターを始めたワケ」#2

野村義男、「僕がギターを始めたワケ」#2

ギタリストとして多方面で活躍している、ご存じ“よっちゃん”こと野村義男さんの「僕がギターを始めたワケ」の後編。「モノ・マガジン読者に“ギター沼”にハマってもらおうと思って(笑)」と野村さんが持参してくれた、とっておきのコレクションも公開しているので、そちらも要チェック!

→『野村義男、「僕がギターを始めたワケ」#1』はコチラ


半ば強引にMyエレキギターを手に入れる

「中学2年生だった1978年の5月某日、一緒にギターを始めた友達がギターを買うということで楽器屋さんについて行ったんです。でも、見ているだけではガマンできず、つい『買います!』ってギターだけ持って家に帰って、あとは泣き落とし攻撃(笑)。値段は忘れもしない2万4800円! 親は『しょうがねえなぁ』って感じでしたが、実は……父はギターが弾けて、おばあさんの家は小唄の教室みたいなものを開いていて、姉ちゃんもフォークギターをやっていて。そういったバックグラウンドを持つ野村家だったから許された部分もあったんじゃないですかね。いまでも親には本当に感謝しています」

ギターを始めるならいまがチャンス!

「僕、ギターを買う前に真剣に悩んだことがあったんです。エレキギターはアンプがないと音が出ませんよね? だから、アンプを買うか? それともギターを買うか? でも、落ち着いて考えたら、アンプを先に買うと練習できないことに後から気付いてギターを先に買ったんです。でも、いまは数万円あればアンプ、ギター、シールド、ピック、弦などすべてが揃った初心者セットもあって、ギターを始める環境がすごく整っています。昔はギターを買うのに勇気が必要だったけど、いまは勇気を出して買うモノではないんです。しかも、いまはYouTubeでお手本となる動画もすぐに見ることもできますからね」

これからギターを始めたい人へ

「まずは楽器を手に入れてほしいです。最初の1本は安くても全然OK! ただ、カタチと色だけは好きなもの選んでほしいですね。あと、継続できないのは上達しないからと思われがちですが……いやいや、ギターに毎日触っていれば上達するんですよ、これが。例えばひと月に1回、誰でもいいから聴いてもらう。自分では上達していないと思っていても『けっこう弾けてるじゃない』って必ず言われますから。褒められれば、自分も気分が上がってヤル気になりますよね。そうなれば、もう自分の勝ち(笑)。
それともうひとつ。メーカーのことや機種のことに詳しくなることはおすすめしません。なぜなら、どんどんどっぷりハマるから。『ギターを弾くのは楽しい』くらいで留めておくのが健全です(笑)。でもね、ギターの短い歴史って面白すぎるのも事実なんです。量産型のエレキギターが発売されてまだ約70年。その中で、とあるメーカーを好きになり、とあるギターを好きになり、とある開発者を好きになり、何でこのパーツを使ってるの? といろいろ詮索しちゃうし、知れば知るほど沼にハマるんです。それくらい、ギターは僕にとって面白いもの。だけど……重ね重ね言いますけど、ギターは弾いていて楽しいと思うくらいが一番幸せ。だって、僕もこんなにギターにハマらなければもっといい家に住めていたのかなとか、もっといいクルマに乗っていたのかなとか思うこともあったりますから(笑)」


野村義男、「僕がギターを始めたワケ」#2


見てくれ、俺のギターコレクションPart 2

野村義男、「僕がギターを始めたワケ」#2
(1)Fender/CUSTOM TELECASTER(1967)

「たまたま遊びに行った友達の楽器屋さんでパーツが全部付いていないギターを半ば強引に譲ってもらったという一品。何がめずらしいって“バインディング”が入っていることです。日本に何本あるのかわからないし、世界でも何本あるのかわからない。インターネットで探してもほとんど見つかりません。楽器屋さんがパーツを集めて直そうとしているときに発見したから、『大丈夫、パーツを探す手間は俺が全部引き継ぐから』と引き取ったんです。とはいえ、パーツはオリジナルで探すし、ギターが1967年のモデルならパーツも全部1967年でそろえるのが鉄則だから、ピックガードがなかなか出てこなかったりしてけっこう大変でした(笑)。でも、ちゃんと直した甲斐あって本当に良い音がするギターに甦ったので、いまはレコーディングのメインギターとして使っています」

野村義男、「僕がギターを始めたワケ」#2
野村義男、「僕がギターを始めたワケ」#2
(2)Fender/ESQUIRE(1960)

「最近手に入れたギターが1960年のESQUIRE。楽器屋さんの店主に『こんなのありますけど、どうします?』と、この状態で見せられたんです。『いやいや、ESQUIREはもう持ってるからいらないよ』というやり取りが何度も続いたんですけど、シリアルナンバーを見たらなんと……44440(ヨシヨシオ)って! ギターを弾き始めて40年以上、自分の名前が刻まれた数字のギターに出会ったのはこのときが生まれて初めてだったんです。こりゃ、誰かに渡すわけにはいかんでしょ。しかも、誕生月に見つけちゃったもんだから、自分へのプレゼントということで迷わず購入。ちょっと音を鳴らしてみたらすごく元気だったので、最近はライブのちょこちょこっとしたセッションで使っています。余談ですけど、僕440という数字が大好きなんですよね(笑)」

野村義男、「僕がギターを始めたワケ」#2
(3)Fender/NOCASTER(1951)

「最後の1本は1951年のNOCASTER。もともと1950年にフェンダーが発表した量産型エレキギターはBROADCASTERという名前だったんです、このカタチで。でも、紆余曲折あってBROADCASTERを名乗れない状況になってしまったんです。最初はFenderロゴの下にBROADCASTERというロゴも入っていたのですが、それをハサミで切ってFenderロゴだけは一応貼っておこうよって。名前がないキャスターだからNOCASTERなんです。これは、その初期モノです。たまたま行った楽器屋で見つけちゃって。『いま逃したら、もう出会うことなんてないんじゃないですか?』なんて口説き文句を言われて、ついつい……。でも、ギターって本当に一期一会なんですよね。一度逃したら最後、もう出会うことがありませんから、その出会いを僕はすごく大切にしています」


野村義男、「僕がギターを始めたワケ」#2


野村義男

1964年生まれ。東京都出身。1983年、ロックバンド『THE GOOD-BYE』を結成してメジャーデビュー。その後も自身が中心のバンドを結成して活動を続ける。1992年にソロアルバムをリリース。1995年には『PEGレーベル』を立ち上げる。現在は自身のバンド活動の他、多数のアーティストのレコーディングやライブにも参加。写真の『440Hz with〈LIFE OF JOY〉』は制作開始から7年の時を経て完成したという野村さん渾身の1作。55年間聴き続けられる55分間、55人を超える強者のミュージシャンたちとともにつくりあげた24年ぶり自身名義のソロアルバムだ。●価格:3300円 ●問い合わせ:エムアイティギャザリング ☎03-3455-4202

写真/熊谷義久