新世代インターナショナルファイター、F-35とは?
Part 2「能力の技術的解剖」

新世代インターナショナルファイター、F-35とは? Part 2「能力の技術的解剖」

 F-35の主要な攻撃センサーは、機首先端にあるAN/APG-81レーダーと、機首下面のガラス張りハウジング内のAN/AAQ-40電子光学目標指示装置(EOTS)である。AN/APG-81レーダーは、アンテナを多数の荷電素子で構成するアクティブ電子走査アレイ(AESA)レーダーで、空対空と空対地の双方で豊富なモードを有し、さらに特定のモードを組み合わせて同時に併用するインターリーブ機能の備えている。空対空モードでは170km程度の最大探知距離能力があり、また開発試験中にはレーダー視野内にいる23個の目標を、10秒以内ですべて探知するという、複数目標処理能力も示している。EOTSは、赤外線やレーザー、可視光テレビといった複数の電子光学センサーを一体化したもので、空対空と空対地の双方で赤外線による完全受動方式で目標探知・追跡が可能であるほか、精密誘導兵器に対する目標指示能力や、目標の座標生成機能などを有する。

 F-35の搭載兵器は、空対空と空対地で極めて多種に渡るが、それらはミッション・ソフトウェアのバージョン・アップに対応して段階的に組み入れられていく。2021年初めの時点ではまだ短射程と中射程の空対空ミサイル、GPS誘導とレーザー誘導の精密誘導爆弾だけだが、2022年以降には空対艦ミサイルや各種のスタンドオフ対地攻撃兵器も統合化されることになっている。これらの兵器は、胴体内2ヵ所の兵器倉に収められるが、主翼下にも片側3ヵ所の搭載ステーションがあり、ステルス性よりも兵器用裁量が重要なミッションでは、機外に多くの兵器を搭載して飛行することができる。ステルス性第一のときは、もちろん兵器倉内への搭載になり、機外ステーションを使わなければ抵抗も減るので、最大性能発揮できるというメリットもでる。
 自己防御装置としては、機体の全周を電子光学センサーで監視するAN/AAQ-37電子光学開口分配装置(EO-DAS)を装備するとともに、AN/ASQ-239バラクーダ電子戦/対抗手段装置を備えており、独立して機能するほか、EO-DASが検出した脅威についても対応することができる。EOTSとEO-DASはすでに第2世代型の開発が行われていて、近く装備が開始される。

 ステルス性については、F-22ほどの徹底した手法は採られていない。これは、機体価格を極力抑えることが求められたからだが、加えて単発機であり物理的にF-22などの双発機より小型であることがレーダー、反射断面積の低減に有利に働いている。空気取り入れ口を、簡素なダイバーターレス超音速インレット(DSI)にしたことも、効果を上げている。 もう1つF-35では、外部モールドライン制御という手法も採られている。機体外板の継ぎ目に隙間や段差を生じさせないのは当然だが、さらにその継ぎ目をレーダー波吸収素材でコーティングしているのである。写真によっては機体の継ぎ目が目立つものがあるが、これはそのコーティングが理由で、近年ではコーティング材に改良が加えられて目立たなくなっている。

写真/USAF

青木謙知(Yoshitomo Aoki)
  • 1954年12月 北海道札幌市生まれ 1977年3月に立教大学社会学部を卒業し、同年4月に航空雑誌出版社『航空ジャーナル社』編集部に編集者/記者として入社。1984年1月に月刊航空ジャーナルの編集長に就任。1988年6月にフリーの航空・軍事ジャーナリストとなる。テレビの報道および情報番組に出演して航空・軍事関係の解説を行なうほか、国内の航空専門誌、軍事専門誌を中心に執筆活動を行なっている。加えて一般メディアでは新聞、週刊誌、通信社などに航空・軍事問題に関するコメントを寄せるなどしている。