全方位的な魅力高し シーライオン7に試乗!

ラッコぢゃなくアシカ

軽自動車「ラッコ」の導入など日本市場へ本格的な攻勢を仕掛ける中国のBYD。今回は日本市場の旗艦を担うシーライオン7が登場。オヌシ! 今ならラッコだろうが! というごもっともなお叱りはご容赦。

さて話はモーターのごとくシーライオン7にギュイーンと戻る。同車は日本へ2025年に導入された完全電気自動車(以下、BEV)のSUVで、後輪駆動と全輪駆動の2モデルがラインナップされている。そのベースとなったのはセダンのシールなのだ。シールは本webのコチラ

ん?? シーライオンって同じ名前のクルマがもう一つあるでしょう、とお思いの皆様、仰せの通り。そちらはPHEVモデルでボディサイズがBEVモデルよりも若干小さいのだ。シーライオン7の全長は4830mmだけれどシーライオン6は4775mm。同様に全幅は1930mmに対して1890mmになっている。

加えてシーライオン6のエクステリアはフロントに空気導入口が空いているので見分けはつきやすいのカモ。その記事はコチラ

さて、BEVの方のシーライオンである。電気自動車ということで避けて通れない話題はバッテリー容量と航続距離。バッテリーは82.56kWh容量で、BYDのお家芸ともいうべきリン酸鉄を使ったブレードバッテリーを搭載。バッテリー自体もボディの一部とする堅牢なボディ構造を採用する。航続距離はAWDで540km、RWDで590kmとかなり実用的だ。価格はRWDが498万3000円から、AWDが575万3000円からと「ありかも」ぢゃなく、大アリな価格設定になっている。もちろん国の補助金対象車。

アレもコレも付いてるでよ!

車内のクオリティの高さは価格以上の印象。ワイヤレスチャージャーはセンターに2つ(しかも冷却ファン付!)あるし、後席頭上にまで広がるガラスルーフやAピラーには脇見などを検知するドライバーモニタリングカメラなどなどいわゆる高級車と呼ばれるライバルブランドの装備品はもれなく標準装備と太っ腹。コレはRWDモデルでも同じモノになっており、500万円を下回る価格を考えれば、恐れ入るほどの充実ぶりだ。

室内もBEVだけあってかなり広い。特に後席の広さはさすがで、センターでもフラットな床面もさることながら左右席も足を組めるほどの空間がある。加えてリアシートもリクライニング可能で長距離移動を「くつろげる」車内と感じるはず。

RWDでも十分っす

試乗車はRWDモデル。モーターはAWDの前後1つずつに対して、後輪の1つだけ。そのスペックは230kW(312PS)、380Nmと車重がかさばる傾向のBEVでも十分以上だ。なおAWDモデルは後輪のそれに加えて前輪に160kW(217PS)、310Nmのモーターを積む。

走り出すとモーター由来の抜群のレスポンスで乗りやすい。ただ回生ブレーキの調整はセンターディスプレイからかシフトノブ下のスイッチからの操作を求められる。また最近BEVでも流行っている回生ブレーキを数段階調整できるステアリングのパドルスイッチもない。なので回生ブレーキを積極的に使うなら慣れが必要と感じた次第。しかしながら走るということを考えた時に激速なAWDモデルも捨てがたいけれど、装備が同じならRWDで十分と思う。RWDでもまったく遅いと感じることは皆無だ。おそらくはクルマのキャラクター的にはゆっくり「ゆとりのトルク」を楽しむ方が似合っているのだろう。

高速は高い安定性で快適そのモノ。タウンスピードで感じたリアの若干の落ち着きのなさもなく快適な移動体だ。その移動を楽しめるようにデンマークの高級スピーカーブランド、Dynaudio(ディナウディオ)のサウンドシステムが搭載されている。さらにこの高級オーディオで車内カラオケ大会も開催できるよう縦型にも変更できる15.6インチの大きなセンターディスプレイにはカラオケアプリも入っている。

電費は良くても?

試乗車の航続距離はカタログ値で590km。BEVに若干のアレルギーのある筆者、590kmだと400kmと思っているのだがシーライオン7の電費にビックリ。交通量の少ない幹線国道で流れに乗って1時間近く走ったところ、脅威の電費を実現。それは7.5kWh/100km、つまりは約13.3km/kWhというモノ。

筆者はいくつかのBEVに乗ったけれど12km/kWhオーバーはお初だった。高速でも大幅に電費は落ちず、メーター表示で13.6kWh/100km、約7.3km/kWhを記録セリ。この電費はクロスオーバーモデルながらもCd値0.28の空力性能も恩恵もあるのかもしれない。

いくら高電費を叩き出してもそこはBEV。充電の必要が生じる。メーター表示で残りは8%。可能航続距離は40kmと筆者にしてはかなり攻めたモノ。そこで近くのBYD正規ディーラーで充電しようかと、予約なしの行き当たりばったりで入ったところ、別のクルマが使用中。20分くらいなら待たせてもらおうと思った(なんといってもバッテリー残量は8%)のだがディーラーの方が出てきて「こちらのクルマはあと2時間ちょっかかります。この通り(目の前の国道を指差し)はディーラーが多いので、他に行かれたほうが」と。ムムムっ。メーター表示8%で気分的にコチラはなんとなく不安な状況だが、充電させてくれない(使用中)ので落ち着かない気分で20分くらい走って某国産車のディーラーに。残りは5%。ここでも他のクルマが充電中。「もはやここまで」と本能寺で明智光秀に襲われた信長の気分とでも言いましょうか。そう思ったところ「コチラのおクルマはあと20分くらいで終わります。それまで店内でコーヒーでもいかがですか(ニッコリ)?」と言われ筆者がのぼせ上がったのは言うまでもない。そして50kW、125A規格の充電器で30分ほど充電すると5%から24%に。航続距離も207kmに。「嗚呼、コレで帰れる気がする」と充電の下調べは必要と身をもって体感した。

シーライオン7は今年7月の仕様変更でトノカバーが標準装備され、助手席側のドアミラーの可動範囲も見直されるなどよりユーザーフレンドリーに。広くて充実装備でリーズナブルなSUVとしての存在感はピカイチなのだ。乗るとやっぱり「ありかも」なのだ。

シーライオン7 RWD

価格498万3000円から
全長 × 全幅 × 全高4830 × 1925 × 1620(mm)
リアモーター最高出力230kW
リアモーター最大トルク380Nm
一充電航続距離590km

BYD
シーライオン7
問 BYDカスタマーセンター 0120-807-551

海野大介(daisuke unno)
  • 自動車ライター。専門誌を経て明日をも知れぬフリーランスに転身。華麗な転身のはずが気がつけば加齢な転身で絶えず背水の陣な日々を送る。国内A級ライセンスや1級小型船舶操縦士と遊び以外にほぼ使わない資格保持者。

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