スバル風味でなくスバルの味! トレイルシーカーに試乗!

他人のソラ似っす!?

トレイルシーカーは2026年にデビューしたスバルのEVモデル。グレードはET-HSとET-SSの2つ。駆動方式は基本的にAWDモデルだが、SSのみFWDを選択できる。グレード名のETはクルマのフロントフェイスがE.T.(編集部注:スピルバーグ監督の名作)に似ているからではなく、エレクトリック・ツーリングの略だそう。SSはスタンダードSUVの頭文字、上級グレードHSはハイクオリティSUVの頭文字という。

スバルのEVといえば、ソルテラが一足先にデビューしている。しかしながらソレはトヨタが作ってスバルのエンブレムを付けただけだし荷物詰めないしと口の悪い人が言ったとか言わないとか。そこでスバルが企画し主導し、聖地群馬県太田市の工場で組立が行われるオマケを伴ったのがトレイルシーカーになる。どうだどうだ。

余談だがスバル初の市販EV、ジツはソルテラではなくサンバーなのだ! ソレは1995年に5代目モデルに設定、フル充電で約150kmの走行が可能だった。

さて、トレイルシーカーである。スバルにはソルテラというれっきとしたEVがある。しかしながらトレイルシーカーはデザインも似てるし、ヘッドライトも共通のモノを使っているし、どこが違うの? となりそうだ。ご指摘ごもっともでトレイルシーカーのベースはソルテラになる。

両車ともSUVカテゴリーなのだけれども、トレイルシーカーは全長が約15cm延長されたワゴン系ボディ。たった15cmというなかれ。この差だけで、積載の目安とされるゴルフバッグは4セット積めるし、スーツケース2個とベビーカーも載せられるとソルテラの弱点といわれた積載性を克服しているのだ。

リアまわりのデザインはトレイルシーカーはコンビネーションランプとガーニッシュが特長的な水平基調のモノ。またフェンダー部分も樹脂をあえて見せるタフなSUVふうだ。

魅力の空間

インテリアデザインもベースとなったソルテラ同様。シートヒーターやステアリングヒーターも備わり、操作性で好評なスマートフォンなどのワイヤレスチャージャーも使いやすい場所にある。

室内の意外なところでは助手席のグローブボックスがないこと。車検証や取説はセンターコンソールの下段に置くのだが、これだけのスペースにそれを置くのはもったいないような気がする。しかもこの場所はタイプCのUSBポートが用意されているので、車検証を置くときは工夫が必要かも。

試乗車はET-HSの上級グレード。このグレードにはナッパレザーが採用され、仕立てのいいオトナの雰囲気が魅力。後席はシートヒーターや専用のUSBポートもあるのだが足元スペースが広く、操作するには遠く感じられるくらい。これならば大人4人での長距離移動も苦にならない。

繰り返しで恐縮だがトレイルシーカーの全長は約15cm長い。単純に考えるとこの分はそのままカーゴスペースに。そのおかげでトレイルシーカーはAWDモデルで619リッター、6:4の可倒式シートを倒せばサブトランクを含めて1240リッター(AWD車)を誇る荷室容量を持つ。そしてその開口部幅も1074mmと広い。

また荷室には全モデルにAC100V/1500Wのコンセントが標準装備されているだけでなく、カーゴフックやショッピングフックなどアウトドアユースのアイテムも充実しているのだ。

ゲゲっ! WRXを凌ぐ加速!!

走り出すとボディのしっかりさと視界の良さをまず感じた。乗り心地はフワンフワン系ではなくしっかりと路面をいなしてくれる。路面からの入力がドン! ではなく丸められてから入力される。堅牢な骨格がしっかりとサスを動かしている印象。

また都内の路地やスーパーなどでは、車両の端を掴みやすくストレスは少ない。これって運転しやすい、という一つの性能だと思う。

試乗車は前出の通り、ET-HS。フロントモーターはソルテラと一緒の167kW(約227PS)だが、リアは167kW(約227PS)。ちなみにソルテラに搭載されているリアモーターは88kW(約120PS)なので、スペックだけを見てもかなり走りに振ったモデルであることがわかる。

このモーター事情もエピソードが。トレイルシーカーはトヨタと共同開発ゆえトヨタ側はコストを抑える意味でもソルテラと同じリアモーターにする提案があったそうだが、スバル側は走りと未舗装路での実用性を重視しハイパワーのモーターを提案。結果スバル案になり、走りに重きを置いたEVのSUVになったという。

そして速さを測るモノサシでもある、0-100km/h加速はびっくりの4.5秒。スバルの魂を搭載するWRX STiよりもコンマ5秒以上も(!)速いのだ。スバリストの皆様、ココは要チェックで試験に出ますぞ!

さてEVの話題として避けて通れない航続距離だが、FWDモデルならばカタログ値で734kmの後続距離を誇る。精神衛生を考慮しても500kmは確実に走るはず。AWDは690kmでタイヤサイズによっては627km。コチラも500kmは当選確実だろう。

ソルテラと比較した場合、興味深いのはこの航続距離。ソルテラのFFは746km、トレイルシーカーのFFは734kmと大きく変わらないけれど、AWDモデルはソルテラの687kmに対して690kmとパワーがあるトレイルシーカーの方が若干後続距離が伸びている。EVはAWDにすると航続距離が短くなりがちだけれど、最初からAWDありきで開発されたモデルはなんと690kmの航続距離を達成した。ここも試験に出そうなポイントだ。

コレはもうクルマ界のファンネルミサイルやぁ!

名作「機動戦士ガンダム」シリーズや「ウルトラマン」シリーズ、「仮面ライダー」シリーズなどに登場する全方位的攻撃、オールレンジ攻撃。ガンダムシリーズではファンネルミサイルという名称でその破壊力を誇った。トレイルシーカーはまさにすべての道で安定した走りを可能にしている。

例えば自分の感覚とズレないスムーズな加減速。スポーツモードにすれば後輪寄りの駆動配分でスポーツカー的に旋回してくれる。それでいて超絶な安定傾向。回生ブレーキの強さを調整できるパドルスイッチを積極的に操作すれば運転の楽しさもある。

さらに未舗装路での走破性を高めるアプローチアングルは17.6°、ランプブレークオーバーアングルは18.2°、ディパチャーアングルは20.2°。コレら3つの角度は坂道の侵入、障害物通過時、下り坂など車体と地面が接触するリスクを見るモノで数字が大きいほど悪路走破性が高いとされている。トレイルシーカーのソレはキチンと未舗装路走行をも想定したモノ。もちろん路面状況に応じて駆動力やブレーキをコントロールするXモードもシフトセレクター脇に控えている。

筆者のまわりでスバルを乗り継ぐユーザーはSUVでもキチンとステアリングに反応してくれたり、スタビリティーの高い直進性などその「操安性」に強く惹かれて乗り継いでいる。スバルといえば、シンメトリカルAWDで悪天候でも最高のパフォーマンスを発揮するクルマづくりが基本コンセプトのひとつ。

トレイルシーカーは本格SUVとして荷室の使い勝手、運転のしやすさ、実際に使える未舗装路での走行性能とSUVに求められる要素を持ち合わせるし、緊急時にはクルマを外部電源として活用(V2H対応)できる。

2026年4月時点では国のEV補助金が最大129万円受けることも可能。EVながらも頼れる悪路走破性を持つトレイルシーカー、エントリーモデルは539万円からの価格設定だ。

トレイルシーカー ET-HS

価格638万円から
全長 × 全幅 × 全高4845 × 1860 × 1675(mm)
フロントモーター最高出力167kW(227PS)
フロントモーター最大トルク268Nm
リアモーター最高出力167kW(227PS)
リアモーター最大トルク268Nm
一充電走行距離690km

スバル
トレイルシーカー
問 SUBARUお客様センター 0120-052215

海野大介(daisuke unno)
  • 自動車ライター。専門誌を経て明日をも知れぬフリーランスに転身。華麗な転身のはずが気がつけば加齢な転身で絶えず背水の陣な日々を送る。国内A級ライセンスや1級小型船舶操縦士と遊び以外にほぼ使わない資格保持者。

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