[編集部より]
「本好き」「本読み」じゃない人たちにも、実はあなたが興味のある情報がこの本に入っているんですよ、ということを伝えるため、その本の出版に携わった方に「この本はこんなにおもしろいんだ!」という熱のこもったテキストを寄稿いただいてます。そういう感じのブックレビューです。第1回は百万年書房代表の北尾修一さんに『13歳からの世界征服』という本のレビューをしていただきました。それにしても、なんというタイトル! そして、なんという帯!!
[先に編集部の感想のようなモノ]
常識破りさ加減 → びっくりです!
生きていく力になる感じ → ありありです!
子どもに読ませたい? → もちろん(大人も)!
それでは、「本モノReview」をお楽しみください。
第1回
学校も会社も行かなくていい、今すぐ世界征服を目指しなさい(真剣)
文/北尾修一(百万年書房代表)
「13歳からの~」という題名ですが、大人が読んでも破壊力ばつぐんの一冊です。
なぜなら、敬虔なイスラーム信者にしてイスラーム法の専門家である著者が、日本の中学生たちが抱える悩みに真剣に回答している人生相談本だからです。相談相手が中学生なのでイスラームの難しい専門用語は使えませんが、著者の考え方・物の見方にはイスラームの思想が染みわたっています。
その結果、一般の日本人には思いつけない斜め上からの回答が、誰にでも伝わる平易な言い回しで連打され、読むと確実に人生観が変わります(もちろん良い意味で)。担当編集である私自身(50代・男性)、読みながらお腹が痛くなるほど笑いつつ、同時に「たしかに真理だし、これからの自分の人生に必要なアドバイスかも……」と唸りました。
ここでいくつか、その回答例を紹介します。どんな相談があり、それに対してなぜそんな回答をするのかという部分は本書の読みどころなので割愛し、著者の回答だけを列挙すると――
「人間に価値などありません」
「親もダメなら自分もダメです」
「会社も国もいつかダメになります」
「まずは世界征服を目指しましょう」
「クソな大人をどうやって利用するかを考えなさい」
「スマホは世界征服のためのツール」
「いちばんの武器は可愛さです」
「猫の真似をしましょう」
「なるべく早く結婚しましょう」
「スポーツなんてバカのやること、歩ければ十分です」
――頭の中がクエスチョンマークだらけになったと思いますが、本書を読めば著者がふざけているわけではなく、イスラームの深い叡智を噛み砕いて話すとこういう助言になる、ということをご理解いただけると思います。
実は、発売からはずいぶん日が経っていますが、いまだにロングセラーで、親が読んであまりにも面白かったので(中学生の)子どもにも読ませた、という感想も届き続けています。人生相談本の世界標準にして、永遠のマスターピース。
【書名】13歳からの世界征服
【著者名】中田考
【定価】本体1,500円+税
【出版社名】百万年書房
【著者のプロフィール】
イスラーム法学者。1960年生まれ。灘中学校、灘高等学校卒業。早稲田大学政治経済学部中退。東京大学文学部卒業。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。カイロ大学大学院文学部哲学科博士課程修了(Ph.D)。1983年にイスラーム入信、ムスリム名ハサン。現職は同志社大学一神教学際研究センター客員フェロー。『イスラーム国訪問記』『みんなちがって、みんなダメ』『帝国の復興と啓蒙の未来』『イスラーム法とは何か?』『カリフ制再興 ―― 未完のプロジェクト、その歴史・理念・未来』など著作多数。
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