これが10年後のアサヒビールのど真ん中?「アサヒスーパードライ ドライクリスタル」の勝算やいかに?


10月の酒税法改正を前に注目の新人が現れました。その名は「アサヒスーパードライ ドライクリスタル」。「へえ、新しいスーパードライか」と思ったあなた、うーん、半分は正解。それは単なる新製品をこえる、アサヒビールの10年後を占う逸材かも知れないのです。

実はいま、ビール回帰の流れが起きています。2026年のビール類酒税一本化は左党のみなさんの知るところと思いますが、これに向けた2回目のビール減税が10月に実施されます。

ビール減税という大ニュースは、第一回目の時にも大きなうねりとなり、ビール市場を拡大。現在のビール回帰のきっかけともなりました。

「現在世界ではアルコール度数0~3.5%のミドルレンジアルコール帯の商品が伸びていますが、日本にはそのゾーンの選択肢が多くありません。人生100年時代の人生の多様化はお酒の楽しみ方の多様化とも言えます。そういう時代背景も考慮し、ドライという大看板を使ってミドルレンジに挑戦します!」
とは、アサヒビールの松山一雄社長。力入ってます。

アサヒビール松山一雄社長。10年後の孝行息子を手に120点の笑顔。

日本における度数別構成比

アサヒビールでは「スマドリ」と称して、ノンアルコール(ドライゼロなど)、ローアルコール(ビアリーなど)を積極的に展開し、一般的なビール愛好者以外へのアプローチに力を入れていますが、今回の新製品「ドライクリスタル」もまた、その一翼を担う存在と言えるでしょう。

「世界初の辛口、氷点下のスーパードライ、生ジョッキ缶など、アサヒビールとスーパードライは『挑戦』『革新』『初』を目指し、常にフロントランナーでいることを意識しています」とは同社マーケティング本部長の梶浦瑞穂さん。梶浦さんは「スマドリ・プロジェクト」の言い出しっぺでもあります。

アサヒビールの挑戦と革新

「スーパードライは2010年頃から2020年にかけて右肩下がりの販売減少に見舞われていました。しかし同年の第1回目のビール減税、2021年の生ジョッキ缶発売、2022年のスーパードライ初のフルリニューアルなど実施した結果、2022年度は10年前の水準までV字回復しています。

スーパードライ購入者数

第2回目のビール減税でビールに注目が集まるこのタイミングで、大型新人「アサヒスーパードライ ドライクリスタル」を投入することで、市場全体を盛り上げていきたいと考えています!」とこちらも、松山社長に負けず劣らず、鼻息が荒い梶浦さんでした。

ドライ、ならぬホットなタッグで新製品をアピールする松山社長(右)と梶浦本部長(左)。

開発にあたってはまず「どこまでアルコール度数を下げられるかやってみよう」と言うところから始まりました。4.0%だったらもっと早く販売できたかも知れませんが、世界でミドルレンジと目される3.5%に至る、最後の0.5%が難関だったと言います。

「ミドルレンジ商品では加熱殺菌が一般ですが、スーパードライを名乗る以上、生ビールでなければなりません。ローアルなのに生ビール、そしてスーパードライらしい飲みごたえとキレの両立、いやこれが難しかった!」と梶浦さん。

中味:味わいの特徴

販売目標は“2030年には1000万箱”と設定されていますが、実際のところどうなるかわからない、と松山社長もホンネをもらしました。

なぜなら狙うところがオントップ、つまりスーパードライやドライゼロからユーザーを奪うのではなく、新規開拓を狙ったその数字であるためです。新しいビール愛好者をつかむことこそが、ドライクリスタルの使命。これはアサヒビールにとっての未来のど真ん中を育てる、大きな挑戦なのです。

マルチステージと言われる人生100年時代。「飲みたいのだけど自分にしっくり合うビールが見当たらない」(だからビールを飲まない)という人たちを巻き込むミドルレンジアルコール市場はニューフロンティアか、はたまたレッドオーシャンなのか。アサヒビールの目算や、いかに? 

アサヒスーパードライ ドライクリスタル

10月11日発売
缶350ml/缶500ml。価格オープン設定。
(問)アサヒビール お客様相談室 0120-011-121
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  • モノ・マガジン&モノ・マガジンWEB編集長。 1970年生まれ。日本おもちゃ大賞審査員。バイク遍歴とかオーディオ遍歴とか書いてくと大変なことになるので割愛。昭和の団地好き。好きなバンドはイエローマジックオーケストラとグラスバレー。好きな映画は『1999年の夏休み』。WEB同様、モノ・マガジン編集部が日々更新しているFacebook記事も、シェア、いいね!をお願いします。@monomagazine1982 でみつけてね!

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