デザインいいとこ取りな
シトロエンC5 Xを
「1000km」試乗!


 仮に全日本長距離走行会とか長距離友の会などがあれば間違いなく今月の推薦車になること間違いなし、なクルマで往復1000kmのドライブを敢行。そのクルマはフランスの個性を具現化したといっても過言ではないシトロエンの旗艦、C5X。

 スタイリングはセダンとワゴンとSUVを合わせた、否、それぞれのいいところだけを凝縮したイデタチに。クロスオーバーかもしれないが、無理やりジャンル分けをするならば、やはり“シトロエン”だろう。

 賢明な皆様、クラウンと似ていると言わないように。C5Xの方が先にデビューしているからして。軽いカルチャーショックだが5ドアハッチバックを名乗る同車のリアにはワイパーがついていないのだ。

 シトロエンは代々アヴァンギャルドな攻め攻めのデザインを含めたクルマ作りが「売り」なブランド。特にフラッグシップたるモデルには出っ張るような(デザインを崩すような、現実的な)モノは付けない、と思う。自虐的マニアは「絶対に作る時に忘れたんだ」とか言って話が盛り上がるはず。そんなことを書いてしまうと編集部からお叱りを受けそうだが。

 さて、C5Xである。同車はブランドの旗艦で、C5セダンの後継モデルになる。C5のSUV版でもあるエアクロスもラインナップしているが、セダン系のDNAはC5Xに受け継がれている。そして、いわゆる大きなシトロエン、ビッグシトロエンに生物学上分類される。地質学で言うなれば白亜紀にはCXと言う似た名前のモデルもあった。

 筆者はC5X、この1974年から89年にかけてフラッグシップを務めたCXのオマージュではないかとスタイリングなどは確信的に勝手に思っている。 

 試乗車はSHINE PACKという豪華グレード。マッサージ機能付きにフロントシートにはベンチレーションやヒーターも標準装備だし、サンルーフもついてくる。一番の違いは複数構造のラミネーテッドガラスが前後サイドに採用され、静粛性能を高めている点だ。肉厚で快適と誉れ高いアドバンスコンフォートシートは全グレード、全席に採用されている。

 インパネはセンターに12インチのタッチスクリーンを持つ水平基調のモノ。

 インテリアの随所には歯車メーカーだったシトロエンのエンブレムやそれを彷彿させるデザインがあるのも特長。例えばドアに施されたステッチはダブルシェブロン(ブランドロゴ)だし、

シフト周りは歯車をモチーフにしたデザインだ。

(画像はPHEVのモノ)

 ダッシュボードパネルにもダブルシェブロンのシボ(デコボコの模様)。このシボの模様、機械の製造過程でできるモノではなく、ジツはキチンとデザイナーがデザインしているのだ。

 搭載されるエンジンは1.6リッターの直4ターボ。

 そのスペックは180PS、250Nmの最高出力と最大トルクを誇る。ミッションは8AT。ミッションは日本のアイシン製なのでBXで苦労したユーザーは安心だ(失礼)! ジツは搭載されるこのエンジンはBMWとの共同開発のモノ。自他共に認める生粋のエンジン屋と、載っていればいい(失礼)雰囲気のシトロン(正確には当時のPSAグループ)がタッグを組んでいる。

 そして同じエンジンでも見事にキャラを分けているのもブランドの個性があって面白いところ。BMW側の主な搭載モデルはMINI。ワンからジョンクーパーSまで幅広いし、PSA側はプジョー308、シトロエンC3となっている。

 走り出すと、1.6リッターという響きや見た目の図体のデカさから受ける印象より力強く感じるが、必要十分よりちょっとパワフルと思えば失望しない。クルマのキャラクターがスポーティを押し出しているのではないからパンチのある加速力を求めてはいけない。

 かといって遅いか、と言われれば力強くNo!、といえるモノ。出だしから力強い加速が欲しいならば踏めばいいし、C5XのラインナップにはモーターアシスタントのあるPHEVもあるからそちらを選ぶのもあり。

 筆者が唯一PHEVの方がベターだろうなと思ったのはアイドリングストップの作動と復帰。クルマの気が早い印象で、完全停止少し前にエンジンがオフになる。そのまま停止すれば問題はないが、微妙に前に進まなくてはならない場合は柔らかいサスとの相性はあまりよくないのかも。

 柔らかいサスと書いてしまったが、昔のタクシーみたいにふにゃふにゃのグニャグニャなのではない。そこは乗り心地にこだわるメーカーらしくハイドロの乗り心地(耐久性と信頼性?)を現代風にアレンジしたプログレッシブ・ハイドローリック・クッション(以下PHC)が路面のデコボコを丁寧にいなしてくれる。

 このPHCは乱暴な表現だがダンパーの中にダンパーを持つ。またサスペンション形式は専門誌的に言うならば、凝ったモノでなく、フロントがマクファーソンストラット、リアがトーションビームと一般的なモノだ。

 シートや乗り心地に癒されつつ高速へ。120km/h区間で乗り心地は海の上を行くが如しの往年のシトロエンっぽくなる。不快な柔らかい乗り味でなく、かといってしなやかでもなく、やはりシトロエンのソレなのだ。気がつけばあっという間の400kmを走破。クルマ自体からくる疲れの類は極小。ここで後席へ移動。

 後席はすこぶる広く快適。足元も広々。プレスリリースにもあるよう、360度のガラススペースで開放感もある。ファミリーカーでなくとも企業の役員専用車にも使えるはず。そのくらい後席は広い。それでいてオシャレに見える。サイコー過ぎるぜ、C5X。

 クネッタ道では若干印象が変わる。ドライブモードをスポーツにするとシャン! と筋が通った印象の乗り心地に。

 ただ、後席に座っていると積極的にフロントに後ろがついていく印象ではなかった。タイヤサイズも19インチながらも205幅の細めで「らしい」モノだし、クルマのキャラクターを考えれば「峠最速!」ではないはず。往復1000kmを走破した実燃費は、16.1km/h。

 高速7割、街中1割、渋滞1割、山道1割の割合で、120km/h区間で120km/h巡行では燃費が伸びず。交通量の少ない70km/h制限の国道では燃費が伸び、最高で17.4km/Lを記録していた。

 世の中にはドライブ依存症というのがあるとかないとか。症状はクルマに乗ること自体が主目的。景色を楽しむことや目的地でのグルメはあくまでもオマケ的なモノという。そこにマニア的嗜好(?)の燃料満タンのワンタンクでどこまでいける、とかが加わってしまう場合も多いという。

 そんな皆様、家族や仲間で移動するならC5Xは有力な候補のはず。ブランドのフラッグシップはブランドの象徴でもある、そんなモデルが4ケタマンエンしない爆安ぶり。シトロエンC5Xは484万円から、プラグインハイブリッドモデルは636万円から。

シトロエン C5X SHINEPACK


価格 価格530万円から
全長×全幅×全高 4805×1865×1490(mm)
エンジン 1598cc直4ターボ
最高出力 180PS/5500rpm
最大トルク 250Nm/1650rpm
WLTCモード燃費 未公表

シトロエン https://www.citroen.jp/
問 シトロエンコール 0120-55-4106

  • 自動車ライター。専門誌を経て明日をも知れぬフリーランスに転身。華麗な転身のはずが気がつけば加齢な転身で絶えず背水の陣な日々を送る。国内A級ライセンスや1級小型船舶操縦士と遊び以外にほぼ使わない資格保持者。