今年で30周年! 歴代TYPE Rを一挙に紹介!!


 おかげさまでモノ・マガジンは40周年を迎えました。今年アニバサリーイヤーになるクルマがあります。それは、ボンネットに輝く赤地に強調されるHマーク。そしてリアのエンブレムには赤いRの印。そう、Honda(以下、ホンダ)のレーシングスピリッツの象徴でもあるTYPE R(以下タイプR)シリーズは1992年の初代NSXから数えて30周年を迎えました! 舞台の袖で丸めた台本を回しながら拍手! と言っているあなたは間違い無く業界人です。

 と、いうわけで歴代のタイプRをここで一挙ご紹介いたします。タイプRはレーシングスピリッツの象徴と言われますが、その原点はF1です。まだ町工場から少し大きくなった程度と表現される小さな企業だったホンダがF1参戦を宣言したのが1964年。その翌1965年、メキシコグランプリでは並み居る強豪チームを抑え、なんと初優勝を飾りました。その時のグランプリマシンこそRA272なのです。チャンピオンホワイトのボディカラーに赤地にHの赤バッジを持つ、そう市販車のタイプRの基本ともいえるボディカラーはここから誕生したんですね。

 最初のタイプRは1990年登場のNSXに1992年に設定されました。ベースとなったNSXは量産車として世界初のアルミボディを採用し、日本のスーパースポーツカーとしてホンダが気合を入れたクルマです。抜群の運動性能とラグジュアリー性を持つクルマですが、さらに運動性能に磨きをかけたスパルタンなモデルがタイプRです。

 当時、ホンダはF1で常勝チームとして名を馳せており、故アイルトン・セナや中嶋悟も開発に携わった、まさにホンダのレーシングスピリッツの象徴そのモノのモデルです。

 その後スーパースポーツ以外にもタイプRが用意されました。それはホンダの乗用車の主流ともいうべきのFFモデル、インテグラです。

 1995年に登場したインテグラのタイプRは、ベース車両の180PSに対して200PSを誇り、タコメーターもNSX並の10000回転まで刻まれた本気モデルです。特に初期型はエンジンのポート研磨を職人による手作業で行われていました。そしてこのモデルには3ドアハッチバック(DC2型)のほか、4ドアセダン(DB8型)も用意されていて、ファミリーユースにも使えました。もちろん、硬い乗り心地を受け入れてくれる寛容なパッセンジャーの存在も忘れてはいけないポイントです。

 そして1997年にはコンパクトカー、シビックにも追加されました。若人にも手の届きやすい価格帯というのも魅力ですが、中身は本気仕様です。

 搭載されるB16型エンジンは通常モデルの15PSアップの185PSを発揮。1.6リッターの排気量なのでリッター116PSのハイチューンユニットです。今でこそリッター100PSを超えても乗りやすいクルマが多いですが、当時は回してナンボ的な純レーシングエンジン的なフィーリングでアイドリング発進には相当な慣れが必要だったり、強烈なタックイン(旋回中に急激にアクセルを抜いてリアを滑らせる)を持っていたりとジャジャ馬なクルマでもありますが、乗りこなす楽しさはさすが、といった感じでしょうか。

 2001年にはインテグラ、シビックともタイプRが2代目へフルモデルチェンジ。

 インテグラはボディが大きくなり3ナンバーサイズに。馬力も220PSになりFF世界最速を誇りました。ホンダ初のブレンボ製ブレーキキャリパー装着車でもあります。一方、シビックは215PSを8000rpmで発生するレーシングカー的な味付けは健在。英国で生産される輸入車でもありました。

 そして2002年にはマイナーチェンジされたNSXのタイプRがデビュー。当時は280PS規制が強く残っており、NSXこそ国産初の280PSオーバーか? と期待されていましたが、時期尚早で280PSのまま。実際は無理やり280PSに押さえ込んでいた、という感じが正しいようです。そこでエンジニアがこだわったのは徹底した空力性能の向上。箱根の試乗会では180km/hを超えるとそれが体感できますと言っていたのを思い出します。サーキットユースでのドライビングプレジャーは高いクルマです。また2代目NSXタイプRは名称もNSX-Rになりました。

 2007年、スポーツカーが再編された国内市場にひと際存在感を放っていたのがシビックタイプRです。シビックのタイプRとしては3代目になるモデルで、ベースのシビックが4ドアになったこともあり、4ドアのみに。エンジンは熟成したK20A型で最高出力は225PS。高回転域での伸びの良さはさすがの一言。

 その後国内のセダン市場の縮小を受け、3代目は短命モデルとして知られるようになりました。また国内でのシビック自体が販売休止になってしまいましたが、2009年から2010年にかけてイギリス生まれの輸入車扱いとして、4代目のシビックタイプRが販売されました。名称もシビックタイプRユーロに。歴代のスパルタンなタイプR色が少し薄まったモデルとしても知られています。最高出力は201PSと抑えられ、日常域での使い勝手が向上し、ツーリングカー的なモデルに。

 2015年にはタイプR史上初のターボエンジン搭載のモデルが登場。難コースニュルブルクリンクではそれまで最速を誇ったルノー・メガーヌトロフィーの記録を4秒縮め、FF世界最速の座を奪還しました。FFながら310PSという高出力を誇りながらも日常域での使いやすさもありました。日本では750台の限定販売で高倍率な抽選という事態になったモデルでもあります。

2017年に10代目シビックと同じタイミングで5代目のシビックタイプRが発表されました。

 エンジンはご存知VTECターボのK20C型。2リッターの排気量ながら320PSを誇るモノ。ターボは上の回転域が面白くない、というイメージを克服しているのも特長です。このモデルは世界で4万7200台をセールスしたもっと売れたタイプRでもあります。

 今年9月には6代目のシビックタイプRが発売されました。ベースは2021年に発売されたシビックハッチバック。フェンダーやリアドアがタイプR専用品になっています。

 エンジンはターボチャージャーが見直され、排気量は2リッターのままですが、最高出力は330PSにアップ。今や貴重なMT専用モデルになっています。

 そしてホンダでは2期に分けてタイプRのイベントを実施します。

10月21日〜11月2日までウエルカムプラザ青山にてタイプRの歴史をまとめた年表や30周年スペシャルムービーを流す予定。また実写展示は初代タイプRとなったNSX-Rを筆頭に5台のタイプRが予定されています。

 11月4日から来年の1月16日にはモビリティリゾートもてぎ内にあるホンダコレクションホールで、タイプRシリーズの原点とも言える1965年のRA272(F1マシン)と5モデルのタイプRを展示予定。また同ホール2Fでは英国に誕生地を持ち、日本でも販売された4世代のタイプRも展示予定に。

 11月27日にモビリティリゾートもてぎで開催さされるホンダレーシングサンクスディ2022ではタイプRオーナーが愛車で参加できるオーナーズパレードを実施予定です。詳細は決まり次第HPで発表されるというからオーナーは要チェック!

ホンダ https://www.honda.co.jp/
ウエルカムプラザ青山 https://www.honda.co.jp/welcome-plaza/
モビリティリゾートもてぎ https://www.mr-motegi.jp/
ホンダ レーシングサンクスディ2022 https://www.honda.co.jp/motorsports/hrtd/2022/
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  • 自動車ライター。専門誌を経て明日をも知れぬフリーランスに転身。華麗な転身のはずが気がつけば加齢な転身で絶えず背水の陣な日々を送る。国内A級ライセンスや1級小型船舶操縦士と遊び以外にほぼ使わない資格保持者。

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