GetNavi×monoマガジン編集長コラボ取材!ヒットスコープ第4回
マツダとエースが異業種コラボ?
バンパーからスーツケースを作った理由


ヒト、モノ、コトの情報誌『ゲットナビ』と、“モノは文化だ”と言い続けて創刊40年『モノ・マガジン』がタッグを組んで、ひとつのモノをふたつの視点でレポートする奇跡のコラボレーション企画である。

右からエースの吉原さん、マツダの渡辺さん(画面)、ゲットナビ川内編集長、モノ・マガジン編集長前田の四人衆

こんにちわ。ゲットナビとモノ・マガジンによる業界では稀な編集長コラボ企画「ヒットスコープ」。第4回の標的はモノ高感度な皆さんならご存じかも知れない異業種コラボモノ。クルマのマツダとカバンのエースによるブランニュースーツケースです。

川内編集長のヒットスコープ第4回はこちら!

製品名はエースのスーツケースブランド「プロテカ」の「マックスパスRI」。サイズは航空機内持ち込み最大サイズとなるスリーサイズ115㎝の、いわば市場のボリュームゾーンに属するモデルです。シックなブラックの、日常的にも使い勝手のよさそうなこのスーツケースのどこに、マツダの関与する部分があるのでしょう?

エース/マックスパスRI
税込み価格3万9600円/高さ50センチ、幅40センチ、奥行き25センチ/容量38リットル/重さ3.5キロ/日本製/エース/03-5843-0606

広島のマツダ本社から「ZOOMZOOM!」ゆえZOOM……ならぬTEAMSでオンライン参加の渡辺通成さん(マツダ商品戦略本部技術企画部所属)が回答くださいました。

マツダ商品戦略本部技術企画部の渡辺通成さん

「私たちマツダは2017年、2030年を見据えた長期ビジョンとして【サステナブル“Zoom-Zoom”宣言2030】を公表しました。クルマメーカーとして走る歓びを提供するのと同時に環境保全にもアクセル全開でいこうという宣言ですね」

もちろんリサイクルなどを含めた環境対策は90年代から本格化していたと言いますが、今回は自動車産業のワクを飛び越え、広い世界で取り組みをしてみようじゃないか、という鼻息のようですね。

「はい。そこでいろいろと調査を始めたところ、バンパーも、スーツケースもポリプロピレン素材であり、また、双方とも以前からリサイクルを行い独自の知見をもっている。ちなみにデミオのバンパーは質量(約)3㎏で、この1本のバンパーからスーツケースが1本作れる計算になります」

そこに言葉を加えるのがエース側の窓口となった、吉原勇一さんだ。

エース 営業本部 MD統括部 次長 吉原勇一さん

「素材や質量の近さに加えて、人や荷物を衝撃から守るという利用特性も似ていたのです。またマツダ、エースとも、国内に製造拠点を有していることも意味が大きかったです」

「やりましょう、じゃあ生産は海外で」というのでは、リサイクル素材を運び出し~製品を運び込むという大きな移動が伴い、環境負荷には大きなマイナスとなります。モノ作りの拠点をお互い国内にもっている意味が大きい、というのはそういうことです。

エースラゲージ赤平工場(北海道)

では実際のモノづくりの動きについて渡辺さんに説明いただきます。

「まずはランプ、ボルトなどの部品を外したバンパー単体を大型シュレッダーにかけて大まかに破砕します。さらにその破砕片の塗装を剥離したのち、僅かに塗装が残っている破砕片を除去し、最終的にペレットにします。これがリサイクル素材となり、車の樹脂部品に成型します」

左が大型シュレッダーでバンパーを破砕した段階。右がリサイクル素材となるペレット。ちなみにエースのリサイクルプロジェクトでは使用済みスーツケースを回収し、樹脂部分を工場のボイラー用燃料として活用しているそう。

次のページ:リサイクル素材がどうやってスーツケースになるの?

1 2 3
  • モノ・マガジン&モノ・マガジンWEB編集長。 1970年生まれ。日本おもちゃ大賞審査員。バイク遍歴とかオーディオ遍歴とか書いてくと大変なことになるので割愛。昭和の団地好き。好きなバンドはイエローマジックオーケストラとグラスバレー。好きな映画は『1999年の夏休み』。WEB同様、モノ・マガジン編集部が日々更新しているFacebook記事も、シェア、いいね!をお願いします。@monomagazine1982 でみつけてね!

関連記事一覧