フレンチのEVにしびれた!
シトロエン E-C4に試乗


 「最近、電気自動車が増えています。これからの時代はEVが主流になりそうですが、実際のところ、使い勝手とかが不安です。それにお値段も4ケタマンエンもするモデルばかりです。オサレに見えてリーズナブルなモデルはあるのでしょうか? 埼玉県永遠の5才より」と某番組からお叱りを受けそうだが(編集部注:その前に編集部で怒ります!)、その疑問に筆者が体当たりでレポートいたしました!

 そんなわけでココに登場するのは2020年に発表され、今年の1月に日本へ導入されたフレンチのハッチバック、シトロエンC4に加わった完全な電気自動車のE-C4なのだ。

デザインは前後にXをモチーフにしたモノでSUVスタイル。

 E-C4は同じモデルながら内燃機関のソレとは違いフォグランプ周辺やドア下のエアバンプのアクセントにブルーを採用。

 エクステリアデザインは往年のシトロエン車を彷彿させるモノ。たとえば緩やかに傾斜したルーフ、3つのサイドウィンドウのデザインは1970年代の名車「GS」をオマージュしたというし、それは革新的な中に伝統的な独創性が同居するシトロエンの世界そのモノなのだ。

ドアを開け、運転席に陣取るとそこはトレビヤ~ンと言いたくなるような肉厚のフロントシートが。

C3やC5エアクロスSUVなどで好評だったアドバンスドコンフォートシートを採用。前席にはシートマッサージが付いていたが、説明書にはその記載がなかったので、半導体問題でもしかすると付かなくなるのかも知れぬ。そのあたりは購入時には確認したいひとつ。インパネは水平基調のデザインで、センターには10インチのタッチスクリーン。

このタッチスクリーン、それ自体にナビ機能はなく、android AutoとApple CarPlayに対応しておりそちらを使うのだ。

助手席側には豊富な収納があるが、

ユニークなのはタブレット固定機能。収納スタンドを開き、

別売りの専用ホルダーを装着すればタブレットを固定できるのだ。

 さて。スイッチを押してシステムを目覚めさせる。目の前には小ぶりでシンプルなメーターが。必要なモノだけここに情報があります! という感じ。ヘッドアップディスプレイもあるけれど、筆者はその枠が気になるので格納しておいた。

写真は本国仕様車

コンパクトになったシフトレバー、いやツマミというか、トグルスイッチ状のモノ

写真は本国仕様

を動かして「D」レンジへ。E-C4に採用されるシステムは50kWのリチウムイオンバッテリーを前後席下とセンタートンネルに収め、フロントに100kW(136PS)、260Nmのスペックを誇るモーターだ。

駆動方式は前輪駆動。EVとしての気になる航続距離はカタログ値、満充電で405km。充電時間の目安は普通充電3kW/200Vで18時間、6kW/200Vで9時間。急速充電時は50分で約80%になる

 さて、借り受け時のメーターによる航続可能距離は324km。バッテリー計はほぼ満充電。しかし当日は生憎の雨天。ワイパーもライトもオートにしてあるが、両方作動し、曇り止めにエアコン、リアウウィンドーの熱線もオン。加えて4月なのに2月並みの気温ということでシートヒーターと末端冷え性の筆者には嬉しいステアリングヒーターもオンというバッテリーにはやや厳しい状況でスタート。

 幹線道路ながら交通量が多く、60km/h制限ながらも40km/h出せればいいような交通状況と、信号のゴーストップを頻繁に行いながら進むE-C4。そんな状況で20分くらい走ったところ、メーター表示の航続可能距離は308kmに。意外にバッテリーが持つな、というのが正直な感想。燃費ならぬ電費には厳しい状況にもかかわらず。

 クルマ自体が静かなことは電動なので当たり前だが、乗り心地がかなりいい印象。タウンスピードでは若干のアラがあると言われればそうかもしれないが、筆者には気にならなかった。往年のハイドロニューマチックサスペンションのテクノロジーを受け継ぐシステム、プログレッシブ・ハイドローリック・サスペンション、恐るべし。このサスはショックアブソーバー内にセカンダリーダンパーを組み込んだ凝ったモノ。乱暴な表現だと大きなダンパーの中に小さなダンパーが入っている構造で、大きなデコボコには大きなクッションが、軽度のデコボコには小さなクッションを含めすべてのソレが吸収してくれる。LHM(編集部注:ハイドロサスのオイル)も漏れることはないし(失礼)。独創的なサスマニア、いや乗り心地マニアのシトロエンの真髄ここにあり。

 この乗り心地は上記に加えてしっかりとしたボディがその脚をうまく動かしてくれる印象だ。専門誌的な話ならば、ボディがしっかりしていないとボディの方で衝撃を受け止められず、サスを固くせざるをえない。したがって乗り心地は悪い傾向になるのだが、C4はサスの取り付け部などを含め、ボディがしっかりしているからこの乗り心地を実現している、と思う。これが高速などで80km/h以上になるとクルマの姿勢はフラットになり乗り心地も絶妙になる。240km/h以上でクルージングするならば話は違うが、日本の最高法定速度120km/hで巡航するならばフランス車の直進安定性は抜群。矢のように進んでくれるモデルが多い。

 またタイヤサイズもらしい。18インチ(195/60)ながらも、

その幅は195。インチサイズを考えると細身で昔のシトロエンみたい。シトロエンには細いタイヤがよく似合うのだ。さらに伝統のロングホイールベースの恩恵は後席のニースペースに余裕があるコト。実際座ってみたけれども窮屈感や圧迫感は皆無だった。

 走りはさすが電動車のトルクフルなフィーリング。E-C4にはスポーツ走行向けの「スポーツ」、日常に最適な「ノーマル」、航続距離を重視する「エコ」の3つの走行モードが用意され、ミッション脇のスイッチで選択できる。

 この周辺のスイッチの不満、いや慣れが必要と感じたのは「B」ポジションを使うときだ。これはいわゆる回生ブレーキが強く効いて、巷でいうところのワンペダル風ドライブが可能なのだが、「B」ポジションにするときはボタンを押さなくてはイケナイ。老眼気味の筆者にはこのスイッチが小そうございましてな。何度か探してしまうこともあり申した。

 お楽しみのクネッタ道ではEVらしいコーナリングを楽しめた。バッテリー位置はシートの下に収めるEVの方程式通りのパッケージング。ターンインで鼻先を入れた後はヨットのバラストを中心に回る感覚に近い。こ、これはロードセーラーと言っても差支えがない。いやロードセーラーは他のブランドになってしまうからロードヨットか。風のみで進むヨットは帆走中に聞こえてくるのは風の音と舳先が波を切る音だけ。エンジン音の聴こえないクルマから聞こえるのは風切り音とタイヤの音だけ。似ているではないかい。ヨットのごとくターンインして風上に艇体を風上に向ければヒール(傾いて進む)していくのと近い感覚。

 クルマの場合はヒールでなくロールだが。そのロールの仕方がEVとはいえ、そこはフランス車。深いロールでコーナーを抜けていく。

 さて。そんなこんなで走ってみるとメーターの燃料計、いやバッテリー計が半分に。この時点での筆者の使い方による残りの航続距離は181kmを表示している。そろそろ充電を考えなくては。内燃機関に親しむ筆者の自宅には充電設備はない。そこで思いついた充電スポットは高速道路のSAPA。いやしかし。充電だけに高速に乗るのはちょっと……。調べてみたらクルマのディーラーやショッピングモール、公共の駐車場、公園など意外に多い。そこで充電の待ち時間を潰せるショッピングモールの駐車場に出撃。すると、充電スペースに内燃機関の車が停めていて使えない!! ハラハラするバッテリー残量ではないけれども、充電できないと精神衛生上よろしくない。止むを得ず公園の駐車場に。が、先客がいた!! ここでも充電できず、仕方なく他を探した結果、近所の駐車場にあることが判明セリ。

 充電は基本的には充電カードを作る必要がある。入会金や登録料で約1500円前後。急速/普通充電併用プランで月々5000円くらい。使用時には急速充電で1分あたり15円くらいが相場のようだ。

 話は戻ってE-C4である。約1時間の充電で残量は78%まで回復。航続可能距離も260kmに増えた。やはりEVの一番の問題は出先で充電をいかに確保するか、であると実感。例えば夜にうっかり充電し忘れると翌朝の出勤で充電時間が余計にかかってしまう。

 しかしそれを忘れなければE-C4は使い勝手はいいし、乗り心地もいいし、オサレだし、と3拍子揃ったクルマなのだ。しかも充実装備。たとえばレーンキープアシストやアクティブクルーズコントロール、衝突被害軽減ブレーキシステムといった先進運転支援システムはもちろん標準装備だし、シートヒーター、ステアリングヒーターやこのご時世、車内の換気にありがたいガラスサンルーフも標準装備と太っ腹なのだ。

しかも購入にあたっては国からの補助金と地方自治体からの補助金が使える。たとえば東京都ならば最大110万円もの補助金が交付される。さすれば車両本体価格から110万円引きとなる。ただし、補助金は購入後3年ないし4年の所有が義務付けられ、期間内にクルマを処分する場合は補助金の一部を返納しなければならないので注意が必要。詳しくはディーラーで確認したい。

 ちなみにこのデザインならガソリンエンジン(1.2リッターターボ)でもいい! という方は290万円から購入可能。またディーゼルエンジンもラインナップしており、コチラは345万円から。なお6月1日より価格が10万円前後上昇する。10万円あれば納車後のドライブで温泉旅行でもいける金額。

気になったら急ぐべし! 

シトロエンE-C4シャイン


価格465万円~
全長×全幅×全高4375×1800×1530(mm)
モーター交流同期電動機(定格出力:57kW)
最高出力136PS/5500rpm
最大トルク260Nm/300-3674rpm
WLTCモード一充電走行距離405km
WLTCモード交流電力量消費率140Wh/km

シトロエン https://www.citroen.jp/
問 シトロエンコール 0120-55-4106

  • 自動車ライター。専門誌を経て明日をも知れぬフリーランスに転身。華麗な転身のはずが気がつけば加齢な転身で絶えず背水の陣な日々を送る。国内A級ライセンスや1級小型船舶操縦士と遊び以外にほぼ使わない資格保持者。