三菱の新しいフラッグシップ
アウトランダーPHEVに試乗


 街中でもちらちらと見かけるようになった新型アウトランダーPHEV(以下アウトランダー)。三菱の渾身のクルマと評判が高いモデルだ。その気合いの入ったモデルに試乗できるうえ、やっぱりこのテのクルマは悪路で真価を発揮するよね的会場もありますよ、と内容テンコ盛りの試乗会に出陣。会場で対面したアウトランダー、実際に見ると大きく見える。

調べたところ、先代に対して全長で15mm、全幅で60mm、全高で35mm大きくなっている。大きく見えるのは現三菱のデザインアイデンティティともいえるグリルを左右から加飾で囲むダイナミックシールドのなせる技かもしれない。好みはあると思うけれど筆者はフラッグシップらしい落ち着いた印象の中に力強さを感じました。むしろギラギラオラオラ系なフラッグシップ出なくて良かったと思ったオトーサンも多いのでは。

 筆者が試乗したのはPグレードという上級モデル。運転席に陣取ると、その質感高さがスゴい。豪華というよりも贅沢。

この価格帯だからといえば当たり前かもしれないが、インパネにはステッチが入りソフトパッドを多用。フラッグシップだったパジェロの質実剛健な中に豪華さを加えたのとは、明らかに違うベクトルだ。Aグレード以上の高品質な革しか使えないセミアニリンレザーを使用したシートは肉厚で

前席はメモリー付きパワーシートにシートヒーター採用のモノだし、2列目はショーファーユースにも使えそうな感じだ。

試乗したグレードには後席のシートヒーター、エアコンの温度調整機能が付いていた。

これはコスパ高しと筆者は足りないアタマで電卓が動いてしまった。コレだけの装備を他のメーカーで探したらかなりな高級車だし、輸入車ならば4桁万円に近くなるはず。スゴいぞアウトランダー。後席に乗る家族思いのオトーサンを演出(編集部注:失礼な)するのにもいい感じだ。

ちなみに中間グレードのGに本革シートなどのパッケージオプションをした価格に約7万円をプラスするとPグレードが購入可能。この7万円はヘッドアップディスプレイ、BOSEプレミアムサウンドシステム、3ゾーン独立温度調整式エアコン、2列目のシートヒーターととても7万円で買えない装備がついてしまうのだ。

 さて先代のPHEVモデルには設定がなかった、大人も普通に座れるといわれる3列目のシート。

身長175cmの筆者は実際に座ってみたが快適に過ごすには2列目に陣取った人が必要以上にシートを後ろに下げないなどちょっと愛が必要かも。頻繁に3列目を使おうと考えるユーザーは一回体験したいところだ。普段使わないのであれば格納しておけばかなり広いラゲッジルームが誕生。

 アウトランダーの基本メカニズムは2.4リッターのエンジンにツインモーターを組み合せた先代のソレと同様。

古っ、というなかれ。エンジンやバッテリー、モーターも出力が向上しているから、むしろ熟成が進んで高い信頼性を持つ、という方が的確かもしれない。たとえば駆動用のバッテリーは総電圧が350V、総電力量20kWhになった。

 走り出すとアクセル操作に対する反応はリニア。この微妙なアクセル操作でも反応してくれるのは車庫入れなどの微速域でも使いやすい。たとえばちょっとした段差のある車庫入れとかでも気を使わないで済みそうだ。

 乗り心地は? と聞かれたらかなりいいと即答できる。20インチサイズのタイヤなのに。サスのストロークが十分に確保され、よく動いてくれる証なのかも。ステアリング操作も軽い。ご主人が気に入って買ったけど、普段使いは奥さん的なパターンの女性でもアイポイントの高さもあるから運転しやすいと思います。いわゆるワンペダルモードも用意されていますががヘタッピな筆者はワンペダルの減速Gの立ち上がりが苦手であまり使わなんだ。

 シフト下にはドライブモードを選択できるダイヤルがあり、路面状況や気分に応じて7つから選択可能。

そんなに使わないっすよ、と筆者も思って開発の方に質問したら、「例えば雨天時にマッドモードにしてみてください。ステアリングの応答が変わってより安心できると思いますよ」との答えが。さらに「明確にキャラクター分けをしています」という。なるほど。試しに雪道でも何でもないがスノーにしてみると、ステアリングの反応や操舵力が変わりました。筆者のようなシロートにも分かりやすいのはクルマの性能を使っている感じでうれしいモノ。ステアリングには回生ブレーキ用の操作パドルが備わっており、

好みで調整できる。そのうち前時代的表現だが、とかいう但し書きでギアを使ったエンジンブレーキの調整みたいなモノとか言われる日が来るかもしれない。

 気になるバッテリーの話だが試乗車はあえてバッテリーをプラグインで充電しない状態。このハイブリッドシステムはメーカーの発表では約80km/hまではEV走行が基本で、駆動用のバッテリーが規定値以下になるとエンジンがかかる。もちろん加速時や高速走行時も同様。1回の充電でおよそ85km走行可能。85kmだと、だいたい東京日本橋から小田原城くらいの距離だ。試乗が終わる頃には気付いたのがチャージモードも試し忘れてしまった。メーカー発表だとこのモードで90分くらい走れば80%近くまで充電されるといいます。また急速充電では約38分で80%まで充電可能。街中では乗りやすさと乗り心地の良さが印象的でした。

 さて。滅多にないシチュエーションを体験できるダートコースへ。

筆者、最初はドライブモードのスノーを試しました。無理やり姿勢が乱れるような加減速やステアリング操作をしてみたところ、一瞬挙動を乱すような感じになるけれど、おぉ! と思う時にはすでに収束している。なんといいましょうか、安心。おそらく本当の雪道だったら超絶な安心感があるはず。え? それじゃツマラナイって? だろうと思って筆者、2周目は遠慮なくモードセレクターをグラベルに。アクセル操作で曲がった方がキチンと曲がってくれますよ、と乗る前にアドバイスしていただていたのだ。なるほどである。こんな路面でも安定してグイグイ曲がってくれる。これは悪路でも4輪の駆動力を適切に制御してくれるS-AWCのおかげもあるはず。ランエボの異次元の旋回性能は健在というヤツかも。また筆者、役得でパリダカで日本人初の2度の総合優勝を果たした増岡浩センセーのクルマに同乗する機会をゲット!

これまた異次元の速さで「乗りやすいし、コレだけの速度で進入しても安定して曲がってくれます。それにトルクが安定しているから感覚的には一段高いギアに入れられますよ」と仰っいますが、筆者のたるんだ首の皮が旋回で動くのが分かるくらいの旋回Gがかかっていても笑顔の余裕ドライビングなのです。でもなんで未舗装路でもタイヤのスキール音が炸裂するのでしょう。さすが世界を制したお方。街中や高速では上質な走りを披露するアウトランダー、根底にはラリーの三菱のDNAが受け継がれているようです。ラリーアートの復活も噂されているしファンは目が離せないですぞ!

アウトランダーPHEV P(7人乗り)


価格532万700円から
全長×全幅×全高4710×1860×1745(mm)
エンジン2359cc直列4気筒
エンジン最高出力98kW/5000rpm
エンジン最大トルク195Nm/4300rpm
モーター最高出力(kW)85(前)/100(後)
モーター最大トルク(Nm)255(前)/195(後)
WLTCモード燃費16.2km/L

三菱自動車 https://www.mitsubishi-motors.co.jp/index.html
問 三菱自動車お客様相談センター 0120-324-860

  • 自動車ライター。専門誌を経て明日をも知れぬフリーランスに転身。華麗な転身のはずが気がつけば加齢な転身で絶えず背水の陣な日々を送る。国内A級ライセンスや1級小型船舶操縦士と遊び以外にほぼ使わない資格保持者。