レザーソムリエ・マキマキのゆったり革講座episodo 10
『自然なものと人工のもの』

2022.02.09

みなさんこんにちは。レザーソムリエのマキマキです。今回はepisodo 1以来、『革』に触れてないじゃないか!!とお叱りを受けそうなので、改めて、革についてお話ししたいと思います。

 革の歴史などはepisodo 1でお話ししていますので、ぜひアーカイブで見てください。

今回は『ヴィーガンレザー、フェイクレザー。合成・人口皮革』です。そもそも、リアルレザーではないので正確には革ではありません。ある種の商品名やカテゴリーだと僕は思っています。決してヴィーガンレザーなどを否定しているのではありません。ただ、カテゴリー内で、よりサスティナブルやエコを歌えば良いと思っています

サボテンを砕いて樹脂と混ぜてシートにしたりします。

例えば、今流行りのヴィーガンレザーは合成皮革などに比べて植物樹脂を多く使っていて、石油由来の成分を大幅に減らしています。これはすごく素敵なことだし、環境に配慮していると思います。合皮と比較してですが。

一方で『革』、リアルレザーは自然・天然素材です。遠い昔からある素材で、コットンやウールなどと言ってみれば同様な地球素材です。この事を考えると、フェイクレザーとリアルレザーは比較することができません。もしも比較するとするならば、長く使えるのは圧倒的にレザーです。まず、劣化しません。一方、合成皮革などは、生産した時から劣化が始まります。バッグの持ち手やパイピングと呼ばれる縁の部分がボロボロになったりしますよね。生産性ですが、これは圧倒的にフェイクレザーの勝ちです。生地のように同じ大きさで、ロールで作れます。一方、革は食肉を生産する時に出る皮が原料です。生産数が不安定で、同じ色にするのが難しかったりします。この点ではフェイクレザーの勝ちです。あとはコストが段違いに革の方が高い。フェイクレザーはコストが安く、均一な素材を大量に作れます。

レザーならではの光沢がたまりません

大量生産して、劣化して使えなくなる。これがフェイクレザーである一方、革は動物の皮を使用しています。僕はヴィーガンでもないし、動物だって可愛いです。そう、比べることが間違っているのではないでしょうか。

例えば、ナイロン、キャンバス、レザーの靴やバッグがあるとして、デザインや機能で選ばれると思います。そして、そのカテゴリーの中でサスティナブルかどうかを判断することが大切だと思います。

これは僕個人的な発想ですが、ヴィーガンレザーなどの呼び名も、ヴィーガンクロスなどの名前で呼べば、ああ、革じゃないのね、と思いますけどね。

使い込むほど味わいがあるのが革です。

レザーソムリエ的に革の良さをアピールすると、トータル的にコスト以外はメリットしかないと思います。コストとは人が生み出した経済活動なので、地球や生物に関係ないもの。環境を一番に考えるなら革以外ない。なんて思っています。古代からレザーは使われていたものであり、コットンやウールと同じ上に生きていく上で必要なものでした。人間が生み出したものではなく、自然界から出来上がったもの。人工物で溢れている現代にとっては数少ない天然物ではないかと。

食肉を作る過程で出る廃棄してしまう皮を、革にして使うなんて、もしかしたら最古のリサイクルかもしれませんね。長く使えるというのは何千年にもわたって実証済みな素材で、環境破壊などにも関わりが少ない素材ということだと思います。まあ、全ての素材には一長一短があり、うまく使いこなすことがサスティナブルの近道かもしれませんね。どんなものも長~く使って、大事しましょう。

いかがでしたでしょうか?次回も革にまつわるお話しができたらと思います。

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  • 1977年生まれのバリバリ氷河期世代。19歳から靴屋のバイトを初めて、そのまま靴、革にどっぷりハマる。靴メーカーやベルトメーカー、靴の組合など、とにかく革がある場所で革の知識だけでなく、売り方やマーケティングを学ぶ。レザークラフトの作家としても活動中。主な作品はレザーベアー。手縫いをこよなく愛するLEATHER ARTIST。 現在はフリーランスで革関連会社のアドバイザー、革、靴、BAGのライターそしてレザークラフトなどをして、日々革について精進中。

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