自分の音を手に入れろ。作るヘッドフォン
「フォステクスRPKIT50」見参!


 フォステクスから発売された「RPKIT50」は実は画期的な製品だ。要はヘッドフォンの組み立てキットなのだが、この手の製品、これまでもほとんど例がなかったのではないか? フォステクスはクラフトスピーカーの大手メーカーだが、その同社にとっても「おそらく初の試み」だという。

といってプラモデルやラジコンカーのように完全にバラバラの状態ではいたずらに工作難易度が高くなるため、今回は半完成キットである。ベースモデルはスタジオモニターの定番「T50RPmk3g」で、キットモデルの醍醐味としては自分好みのサウンドにチューニングできる点やドレスアップが楽しめる点だろう。

キット状態と、ストレートで組んだ状態

このRPKIT50は如何にして生まれたのか? という開発者インタビューは9月2日発売のモノ・マガジン9-16情報号に掲載したのでぜひ誌面、あるいはD-magazineなど読み放題サービスでお読みいただきたい。本稿は熱血オーディオ好きながら家庭の事情でオーディオシステム設置が叶わず、もっぱらヘッドフォンで音楽を聴いている編集長による、RPKIT50のチューニング、ドレスアップ挑戦記である。

音質調整箇所は多岐にわたるが、肝心要は「響きのあしらい」である。音を「収める」のか「反射する」のか。その調整箇所は、イヤパッド、バッフル用ダンパー、ユニット用ダンパー、ハウジング用シートであり、この選択によって好みのサウンドを作り上げるのである。

ベロアイヤパッド
ハウジング用チューニングシート
ユニット用チューニングダンパー

T50RPmk3gは平面振動板を採用したスタジオモニター機であり、サウンドは極めてフラット。音のディテールをききわけるサウンドエンジニアにはもってこいなのだが、一般リスニング用途としてはより低音にふくよかさがほしい。そこでイヤパッドはぶ厚い「ベロアタイプ」(私は眼鏡なのでベロアタイプの方が眼鏡のツルにも密着していいのだ)、バッフル用ダンパーは「高密度」、ユニット用ダンパーとハウジング用シートは共に「無し」とした。これは全ての調整箇所が「低音ブースト」という仕様だ。

一聴して驚いた。ベースモデルのT50RPmk3gからはその蒸留水のようなサウンドにモニターらしさを感じたものだったが、これはぜんぜん別物! サウンドチューニングの効果を見せつけられた格好だ。感覚的には「正しいサウンド」から「楽しいサウンド」に変貌した。これは面白い! ただ低音の吹き出しが強すぎ、いささかリズムの輪郭が滲む印象を受けたためチューニングシートを「無し」から「不織布」に変更しバランスをとった。

続いてドレスアップ編だ。実はハウジングとヘッドバンドはネジ一本で着脱できる。ゆえにハウジングの塗装も可能だがまずは完成状態でできる簡単なドレスアップ例として、ウェザリングを行った。ガンプラでいえば「MSV仕様」だ(皆さん、わかります?)

使用したのは模型好きに絶対の信頼をもつ「タミヤ・ウェザリングマスター(Cセット)」である。これはこすり着けるだけで鉄のサビやてかりなどエージング表現ができるスグレモノ。外装のハウジングのメタリックさと、ダスティな質感を狙った。

タミヤ・ウェザリングマスター(Cセット)価格660円

まずは初回限定でRPKIT50に付属するステッカーと、ラウンド形状に沿うように赤いマステを貼った。その上で全体にウェザリングマスターのアカサビをこすり、ガンメタルを重ね、エッジ部分にシルバーをあてて光沢感を演出。ミリタリーの知識をお持ちの方なら、模型用デカールを使ってより“らしく”仕上げられるはずだ。

ウェザリング後
ウェザリング前。誰ですか「こっちのほうがカッコいい」という正直者は(笑)

買ったあとは使うのみ! という完成品ヘッドフォン(99%こっちが普通ですが(笑))とは異なり、買って、組んで、調整して、またバラして再調整して、さらにドレスアップも! と楽しみが続くRPKIT50。それはヘッドフォン界における小さな革命児なのだ。

フォステクス/RPKIT50/価格3万3000円

詳しくはこちら
https://custom.fostex.jp/products/headphone-kit-rpkit50
(問)フォステクスカンパニー (電話)042-545-6111

  • モノ・マガジン&モノ・マガジンWEB編集長。 1970年生まれ。日本おもちゃ大賞審査員。バイク遍歴とかオーディオ遍歴とか書いてくと大変なことになるので割愛。昭和の団地好き。好きなバンドはイエローマジックオーケストラとグラスバレー。好きな映画は『1999年の夏休み』。WEB同様、モノ・マガジン編集部が日々更新しているFacebook記事も、シェア、いいね!をお願いします。@monomagazine1982 でみつけてね!