意外に多い!? クルマと船の関係


 モノ・マガジン本誌の6月16日発売号は季節っぽく「ボートのある人生」というではないか。海はいいなぁ、とつくづく筆者は思うのだ。

 そんな筆者の年寄り臭い感傷は放っておいて意外にも自動車メーカーと船の関係は多い。例えば、フェラーリ。ジツは同ブランドと船の関係は意外に古く、1952年に遡る。世界最速のモーターボートを作りたいと願ったイタリア人技師アキーレ•カストルディのオファーで作られた〈アルノXI〉という一艇。なんと搭載されたエンジンは1951年のF1イギリスグランプリで勝利した4500ccのV12と同じモノ。その後より速さを追求して2基のスーパーチャージャーを追加、キャブレターも4チョークに変更するなど502PSを誇った。最高速は驚きの242.708km/h!! 

 その後1990年代には、やはりイタリアの超高級ボートビルダー、リーバ社と共同開発したスピードボート、「リーバ32フェラーリ」というのがあった。深紅の艇体にブラックアウトされたウィング状の門型マスト。まさに海の上のフェラーリだった。2007年にはフェラーリ自社製のボートを建造、F430のV8を水上用にチューン、平均スピード123.288km/hを記録するなど世界記録を樹立している。

 一方、フェラーリと双璧をなすイタリアのランボルギーニも昔からボートはあった。正確にはエンジンを供給していた。例えば1968年製造のリーバ社のモノ。ランボルギーニの創設者、フェルッチオ•ランボルギーニが作らせた艇だ。

 そのエンジンはフェラーリには負けてらんねぇ、と言ったかどうかは定かでないが350GTの4リッターV12を2基! も搭載。その後ランボルギーニはパワーボートレースのエンジンサプライヤーとしても名を挙げている。最近では昨年超高級ヨットビルダーのイタリアン•シー•グループと共同開発した「テクノマール•フォー•ランボルギーニ63」を発表。

 艇体にはランボルギーニのエッセンスが凝縮している。それはコクピットも共通。

まんまランボやん! と思わず唸ってしまう。唯一残念なのはエンジンはランボルギーニ製ではないというところか。しかしプレジャボートとしては強大な2000PSを誇るMAN製のV12エンジンを搭載。

 またマセラティもマリン分野に進出。進出といってもメインスポンサーとしてだが、海外ではヨットレースの注目度が高い。世界的なセーラー、ジョバンニ•ソルディーニのメインスポンサーとしてマルチハル(艇体が3つ)の「マセラティマルチ70」は数々の難レースで勝利を収めたり、世界記録を樹立したりしている。

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  • 自動車ライター。専門誌を経て明日をも知れぬフリーランスに転身。華麗な転身のはずが気がつけば加齢な転身で絶えず背水の陣な日々を送る。国内A級ライセンスや1級小型船舶操縦士と遊び以外にほぼ使わない資格保持者。

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