創業116年の増永眼鏡、「老舗の本気」が伝わる3シリーズを解説

1905年に福井県で創業し、日本の眼鏡産業の礎を築いた増永眼鏡。昨今のアイウェア業界は新型コロナウイルスの影響で、新作のリリースが減少しているが、同社はカラバリを含めて100を超えるフレームを意欲的に発表している。2021SSモデルには3つのシリーズがあるが、どれも「老舗の本気」を感じさせるものばかり。今回は増永眼鏡プレスの野原弘道さんに試着してもらいつつ、フレームを紹介しよう。


あらゆる人が使いやすい「Kazuo kawasaki ACT」が新たに始動




デザインディレクターの川崎和男氏と増永眼鏡がタッグを組み、1985年に誕生したのが「Kazuo Kawasaki(カズオカワサキ)」だ。ブランド発足から36年、満を持して新ラインの「Kazuo kawasaki ACT(カズオカワサキ アクト)」が誕生した。

フレームは人間工学に基づいて設計されており、あらゆる人が使いやすく、掛けやすいを目指している。ではディテールを見ていこう。スクエアシェイプの「ACT-One」(3万8500円・税込)は、レンズを支えるリムの素材に、レーシングカーのサスペンションなどに使用される堅牢なハイブリッドチタンを採用。正面の厚みは0.7㎜と極細ながらも、3㎜の奥行きをもたせることで、フロントの強度を保っている。



フロントとテンプルとフロントをつなぐヨロイは柔軟なβチタンを採用し、180度曲げて作られる新設計のバネ構造で弾性を最大限まで高め、装着時の負荷を吸収。快適な掛け心地を実現した。細身のテンプルにもβチタンを使用し、先端に抜き加工を施すことで、軽量化しつつデザインのアクセントに。



ブリッジはアシンメトリーな意匠で、水平方向に配置することで、フロントの
変形を抑える構造に。ノーズパッドは鼻にフィットしやすいアーチ状のフォル
ムで、食品の包装などにも使われる合成樹脂のニュクレルを採用しているため
、安全性が高く、肌馴染みもよい。



プレスの野原さんが試着。フレームのラインがスッキリと細くシャープな印象で、サイドのパーツが目元のアクセントに。細身ながらも掛け心地は華奢ということはなく、軽くてズレにくくしっかりとフィット。



ほかにも、ブロウタイプの「ACT-Four」(3万8500円・税込)は、フロント下部が抜けることでよりスッキリとした表情に。流れるようにツイストしたブロウラインが、目元に華を与える。




「MASUNAGA designed by Kenzo Takada」の圧倒的ラグジュアリー




続いて、ジャパニーズ・ファッションの海外進出の先駆者であるデザイナーの故・高田賢三氏をディレクターに迎えた「MASUNAGA designed by Kenzo Takada(マスナガ デザインド バイ ケンゾータカダ)」。2014年のデビューでフランスの国際眼鏡展示会「SILMO Paris(シルモ・パリ)」のデザインアワード「シルモドール」のグランプリを受賞し、日本のアイウェア・デザインを底上げした存在だ。



「ORCHID」(7万1500円・税込)は、パントシェイプとクラウンシェイプを合わせた「ダブルフロント構造」で空間を作り、日本的な“間”の美学を表現した。

六角柱のテンプルは19世紀に流行した手持ち眼鏡「ローネット」の持ち手のイメージで、表裏にアラベスク模様の装飾が。ゴールドのメタルリムにも彫金が施されており、ラグジュアリーな雰囲気だ。


プレスの野原さんが試着。丸みを帯びた柔らかなレンズシェイプに、ゴールドと黒のツートーンが上品だ。見る角度によって外側のゴールドが際立ったり、内側の黒が際立ったりして、変化するのが面白い。



サングラスの「KIRI」(7万1500円・税込)は、ボリューム感のあるアセテートのフロントに、一文字ブロウのカールトンスタイルを合わせたコンビモデル。程よいサイズ感で合わせやすく、流麗なブロウがキリリと顔を引き締める。



「MASUNAGA since 1905」の歴史と技術に裏付けられた品質




最後は創業年を冠した、レギュラーコレクション「MASUNAGA since 1905(マスナガ シンス 1905)」を紹介しよう。

「EON」(5万2800円・税込)は、80年代を彷彿とさせる都会的なオーバルシェイプで、ムダな凹凸やラインがないミニマルなデザイン。



フロントには厚さ0.6㎜のβチタンシートを採用した極薄仕様で、グレーに塗装した立体的な二重のブリッジがデザインのアクセントになっている。


プレスの野原さんが試着。楕円形の柔らかなシェイプが顔に馴染みやすく、グレーのブリッジやヨロイがモダンな雰囲気に。老若男女をと合わない、汎用性の高いデザインだ。



「光輝 087」(3万3000円・税込)は、太めのラインが新鮮なボストンシェイプ。アセテートの美しい光沢やテンプルに施された立体的なリベット飾りが特徴で、ベーシックなデザインながらも随所から質感の高さが伝わってくる。


このように増永眼鏡には、機能を追求した軽快なデザインや、存在感抜群のラグジュアリーなフレーム、気軽に掛けこなせる定番まで、幅広いラインナップが揃っている。「いい眼鏡が欲しい」と思ったときは、増永眼鏡を選んで間違いない。


MASUNAGA1905 青山店
東京都港区北青山2-12-34
https://www.masunaga-opt.co.jp/

藤井たかの(takano fujii)
  • メガネライター。年間1000本以上のアイウェアに触れ、雑誌や広告、WEBなどで企画・編集・執筆を行う。自身のYouTubeチャンネル「メガネ流行通信」では、世界の眼鏡トレンドやデザイナーインタビューなどを配信中。テレビ番組での眼鏡特集の台本構成やアドバイザーも担当する。著書に『ヴィンテージ・アイウェア・スタイル 1920's-1990's』(グラフィック社)。
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