眼鏡業界にも『本屋大賞』のような試みを!
『第6回 The Most Emotional Eyewear 2022』のグランプリ決定


もっとも感動を与えたアイウェアを、皆で議論し投票する。メーカーと小売店、ユーザーも含む全員参加型のアワードがThe Most Emotional Eyewear(M.E.E)だ。先日第6回となるM.E.E.が開催され、6月15日に行われたシンポジウム「カケル」にて、グランプリが発表された。

よい眼鏡とは何か。皆で考える機会に

「眼鏡業界には評論家がいないので、消費者が眼鏡を選ぶときに参考にすべき視標もありません。そこで、本屋大賞のように感動した眼鏡を選び、表彰するアワードを立ち上げたいと思ったんです」

The Most Emotional Eyewearを主宰する伊藤次郎さんはそう話す。このM.E.Eのエントリーは自薦他薦を問わない。メーカーが自信を持って作ったものを自らエントリーしてもいいし、眼鏡店が販売するなかで感動したアイテムを選んで参加してもいい。そこが既存の賞とは異なる点だ。

そうしてエントリーされたものが、まずは選考委員の事前審査を経て絞られる。その後、お店やユーザーの投票によりグランプリが選ばれるという仕組みだ。また、フレームだけでなくレンズやパーツの部門があるのもM.E.E.の特徴。業界の発展のためには、こうしたアイテムにスポットが当たることも重要だと言えるだろう。

「今の眼鏡業界、とくに産地や僕らをはじめとした中小の眼鏡小売店は、広報能力に欠けていることが課題だと思っています。良いものを作ったのなら、それをもっと胸を張ってアピールしてもいいはず。もっと多くの人に参加してもらうことで、M.E.E.が良い眼鏡を広めるきっかけとなれば嬉しいです」


【受賞アイテム】


デザイン部門グランプリ
三工光学 [dun]「DUN-2162」
価格3万7400

肉厚なチタン製のフロントが、シャープで硬派な雰囲気。フロントとテンプルをつなぐパーツには弾力性に優れるゴムメタルが採用され、柔らかな掛け心地も魅力だ。また、レンズの加工やフィッティングがしやすいことも高評価となった。

機能部門グランプリ
オプチカルフィールドシステム G4「1711 G/NV」
価格4万6200円

径42㎜と小さめのレンズシェイプで、強度近視の人でもレンズがきれいに仕上がりやすい1本。モダンにはバランサーとして、比重の大きいタングステンが埋め込まれている。そのためフレームバランスの支点が後ろになり、フロントとレンズの重みを感じにくい仕上がりに。

レンズ部門グランプリ
エスエイビジョン Kodak Lens「フィジカルサポートカラー🄬」
価格オープン

独自の検査方法から、自分の色に対する視機能や全身機能の反応を確認。良い反応を示したカラーと濃度を選定し、自分に合った「フィジカルサポートカラー」となるレンズを使用することで、体幹が安定することを目指す新発想のレンズ。度付きにも対応する。

パーツ/アクセサリー周辺機器部門グランプリ
Dannacy 「めがね拭き TSUBASA」
価格1980円

先天性の脳性麻痺により手や足に麻痺のある車いすの作家、TSUBASAさんがデザインした眼鏡拭き。縦35.5㎝×横26㎝の大判サイズに、温かみのあるイラストが映えている。ブランド名の「Dannacy」は、段なし=バリアフリーの意。

  • 眼鏡ライター。眼鏡専門誌『MODE OPTIQUE』をはじめ、モノ雑誌やWEB媒体にて眼鏡にまつわる記事やコラムを執筆している。TV、ラジオ等のメディアにも出演し、『マツコの知らない世界』では眼鏡の世界の案内人として登場。眼鏡の国際展示会「iOFT」で行われている「日本メガネ大賞」の審査委員も務める。
  • https://twitter.com/mireiton

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