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#276 スペースシャトルと同素材!? “100年アイロン”完成

写真・文/和田史子(モノ・マガジン編集部)

moweb

東芝 美(ミ)ラクル La-Coo(ラクー) TA-FLW900

その昔、アイロンは熱源に炭を使い、その火の熱さと自重で洗濯物のシワを伸ばしていた。それが“家電”になったのは、日本では100年前のことである。
冷蔵庫や洗濯機、カラーテレビなどと同様、アイロンも国産第1号を送り出したのは東芝。海外ですでに登場していたアイロンは、1915年に日本製がお目見えした。当時の教師の初任給50円に対し、アイロンの価格は5円。それなりに大きな買い物だった。

※東芝ライフスタイル提供

※東芝ライフスタイル提供

機能的には1955年にスチーム搭載、1967年に“かけ面”(衣類に接する平たい面)へのフッ素加工、と進化したが、実は見た目にも仕組みにも、それほど大きな変化はない。大きく変わったのは、パナソニックが先陣を切った2010年の“ダブルヘッド”くらいか。かけ面の後方も尖らせ、前後左右縦横無尽に動かせるようにしたものだ。とはいえ、地味にすごい進化をするのが生活家電で、今月新登場した国産101年目の最新モデル、東芝「美ラクル ラクー」を使ってみれば驚くはず。軽い!!!

軽さの秘密は“ボロンコート”

 
軽さの秘密は“ボロンコート”

この驚くほどの“軽さ”とは、アイロン自体の重量ではない。一時期、使い勝手を考慮して超軽量アイロンが広がったが、実際クリーニング店などプロが使う業務用アイロンがずっしりと重いように、その自重はシワ伸ばしの重要な要素。最近のモデルでは逆に、1kg前後の適度な重量をキープするのが主流になっている。ではこの軽さ、何で実現しているかというと、かけ面(衣類に接する平たい面)の素材である。
表面には、ボロンコートを施している。ボロンとは、ダイヤモンドに次ぐ9.3の硬度をもつ鉱物。スペースシャトルなどロケットエンジンのノズル部分や、リニアモーターカーの超伝導体にも使われている代物。耐摩耗性が高く、アイロン買い替えの主な理由はかけ面のコートの剥がれだが、これなら6万回の摩擦実験でも変化がないという。さらに、高熱を加えると滑りが大幅アップ。アイロンがけには最適な素材なのだ。
これに、扱いやすい低重心設計やパワフルなスチーム機能を盛り込み、100年培った知見をフル活用した現在最強のアイロンが完成した。

スペースシャトル©NASA

©NASA

ちなみにこの国産1号機から100年後のアイロン、実勢価格は2万1000円程度。現在の大卒初任給の平均から考えると1/10程度と、実は100年前とそう変わらない。今でもけっして安い買い物ではないが、使ってみればなるほど「これはいいものだ!」と真価を実感できるはずだ。

 ■ 商品情報 ■
  東芝
  美(ミ)らくる La-Coo(ラクー)
  TA-FLW900
  価格オープン
  URL:http://www.toshiba.co.jp/living/irons/index_j.htm

細かな部分まで徹底プレス
細かな部分まで徹底プレス
細かな部分まで徹底プレス
かけ面は、前後に動かせる東芝独自の形状を採用。一枚板の形状で、前方の先端部はボタンの周辺など、細かな場所も入り込んでしっかりプレスできる。一方後方の先端部は傾斜がつけられているので、プリーツやフリルなどポイントを立体的にプレス。

細かな部分まで徹底プレス
超パワフルな局所スチーム
アイロンがけをしながらじわじわとスチームを発生する、通常のスチーム運転のほか、パワー全開で発揮するのが“スチームショット”。「集中」と「全面」から選べ、「集中」なら見ての通りの勢い、量でスチームを発生。衣類のニオイ除去にも活躍する。スチーム持続時間は最長約260秒。

#264 ハーマンミラーより、深澤直人さんデザインの「サイバチェア」発表!

写真・文/モノ・マガジン編集部 松崎薫子

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深澤直人さんデザインの「サイバチェア」

チャールズ&レイ・イームズ、ジョージ・ネルソン、アレキサンダー・ジラード、イサム・ノグチなどなど。数多くのスターデザイナーによる名作が人気のアメリカの家具メーカー、ハーマンミラー社から、深澤直人さんデザインの「サイバチェア」が発表されました。先日行われたトークイベントに出席してきました。

ハーマンミラーが日本人デザイナーを起用するのは、なんと初だといいます。

「巨大な家具メーカーであるハーマンミラー社。イームズやネルソンなど偉大なデザイナーと肩を並べるアイテムを作ろうと、オファーを光栄に思うのと同時にプレッシャーもありました。また携わるからには、クオリティもデザインも最高のものにしたいと考えました」と深澤さんは言います。

「コンタクトをいただいたのは、実は4年前。他のメーカーとの関係もあり、1年ほどじらしてしまった時期があった(笑)のですが、開発には3年をかけました。この期間は決して長いわけではありません。座り心地と美しい見た目は、数ミリ単位で変わってきますから、妥協は一切なし。キレイなラインをだすのにこだわりました。やわらかい彫刻を扱うイメージで、テーラーメイドで仕上げて完成したのがこちらになります」

7回の試作を経て生まれた商品の完成度の高さに思わず感嘆の声をあげてしまいました。美しい縫製にジッパーは見えない仕様。また、エッジの美しさからはエレガントさを感じ、なんとも言えない絶妙で素晴らしいサイズ感! 細部までこだわりぬかれた商品なのです。

ハーマンミラー社から深澤さんへの依頼は、オフィスチェアでローバックだったといいます。デザインしていくなかで、ハイバックも良いのではと深澤さんによる提案で追加され、背もたれは2種に。サイズも身体の大きな欧米人から私たち日本人のような小柄な人まで、ハーマンミラー社から出すということは世界中の人へ届けられるということ。本国との打ち合わせを何度も重ね、熟考してこのサイズにいきついたそう。これ以上座面の奥行きを深くすると、心地良いパーソナルチェアになってしまいます。仕事をするときの動作から考えるとこれが適正だったと言います。

一つひとつのコメントに納得。フィットする座り心地とはこのことなんだろう。10月以降にはサイバ ラウンジチェア&オットマン、サイバゲストチェア、サイバテーブルも加わりラインナップも充実するとのことです。

このサイバチェアは、オフィスチェアとしてはもちろんのこと、ホテルなどの商業施設のラウンジや自宅のリビングなど、いろんな場所での使い方が想像できます。

スーパーノーマルの凄さを改めて実感。機能とデザインが合致した、大ヒットを予感させる一脚です。

ハーマンミラー社と深澤直人さん、この組み合わせもなんだかとても嬉しく感じてしまいます。やっぱり深澤直人さんは凄い! 2020年の東京オリンピックの頃、この椅子があらゆるところに置かれている光景を楽しみにしたい。

※本ページ掲載の写真は、クリックすると拡大してご覧いただけます。

サイバチェア会場の様子深沢直人さん
 
背もたれは左がハイバック、右はミドルバック。座面の高さが調整できるキャスター仕様のマルチタスクと座面が固定されたグライズ仕様のカンファレンスチェアで、それぞれ背もたれの高さをハイバックとミドルバックから選択できます。ベースはブラックまたはポリッシュドアルミニウムの2種。マルチタスクチェア ハイバック38万7720円、ミドルバック36万8280円、カンファレンスチェア ハイバック32万7240円、ミドルバック30万7800円
■お問い合わせ
 ハーマンミラージャパン
 Tel:03-3201-1830

ラウンジチェア&オットマンラウンジチェア&オットマンがまたすごく良い! かなりゆったり座れるのにイームズのラウンジより軽くて小さく、部屋のリビングに最適です。

ハーマンミラージャパン松崎勉社長と深澤直人さんハーマンミラージャパン松崎勉社長と深澤直人さん

深澤直人さん
深澤直人さん
2003年 NAOTO FUKASAWA DESIGN 設立。卓越した造形美とシンプルに徹したデザインでイタリア、アメリカ、フランス、ドイツ、スイス、北欧、アジアなど世界を代表するブランドのデザインや、国内の大手メーカーのデザインとコンサルティングを多数手がける。デザインの領域は、腕時計や携帯電話などの小型情報機器からコンピュータとその関連機器、家電、生活雑貨用品、家具、インテリアなど幅広い。人間とものとを五感によって結びつける彼の仕事は、より大きな喜びを使い手に届けるものとして高く評価されている。2010~2014年グッドデザイン賞審査委員長。多摩美術大学教授。日本民藝館館長。

[#214]マツダ、好きだろ。那智渡も、好きだろ。

文/上岡篤(モノ・マガジン編集部)

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マツダ ロードスター

先週の土曜日、8月1日に発売になりました合併号。
皆さん、もうご覧いただけましたか?

「よろしくメカドック」というマンガに登場する那智渡(なちわたる)というキャラクターと新型ロードスターが表紙の号です。この那智渡というキャラクター、刺さる人にはめっちゃ刺さるのですが、知らない人にはまったく刺さらない……。

彼を表紙にドーン!

と掲載するのは、編集部内でも結構議論しました(ホントにしました)。ちょっと賭けだった部分はあるのですが、ネットニュースでも取り上げてもらって、正直嬉しいです。

あ、なんの特集か書いていませんでした。自動車メーカー「マツダ」の特集です。
昨年クルマの特集を担当することがあり、そのときに「最近のマツダ、カッコいいじゃん」と思ったのがそのきっかけ。
かく言う私も、7人乗りのミニバン(ただし15年落ち)に乗っています。子どもが小さいときに家族揃って出かけたり、荷物を乗せて運んだりするときは重宝していたのですが、子どもが大きくなると、一緒に出掛ける機会が少なくなる。ドライバーの私以外は空気を運んでいることが多くなる始末。このままこのクルマでホントにいいのか? と思うことが多くなりました。

モノ・マガジン読者の皆さんでも、こうした現実を迎えている方っているのではないでしょうか? 

結婚 → 誕生 = ミニバン

という選択。正直、もっとスポーティーなモデルに乗りたい! だけど2ドアは選択不可、人も荷物も多く乗せる、だからミニバンにせざるを得ない。正直、もっと走りを楽しめる、あとカッコいいクルマに乗りたい。そう思った時に、ふと浮かんだのがマツダのクルマでした。

今回の特集にあたり、さまざまな方に話を聞きました。総じて感じるのが「マツダの人って、みんなクルマが心底好きだなぁ」ということ。言葉は悪いですが、クルマバカです。
いまでこそデザインとか独自のテクノロジーなどで注目を集めているマツダですが、一時期、本当に危うい時期もありました。九死に一生を得てから、取り組んだことは何だったのか? 革新をもたらしたのは何か?各車種の開発主査、チーフデザイナー、デザイン本部長、もの造り革新をけん引した常務取締役……いろんな方に聞いた、生の声をたっぷり載せています。
「マツダ、ちょっといいじゃん」と思っている方には、ぜひ読んで頂ければと思う特集です。

余談ですが。
私にとって「クルママンガ」と言えば、サーキットの狼でもなく、頭文字Dでもなく、「よろしくメカドック」でした。コミックスの合間に入る、“Dr.風見のメカ教室”でクルマの仕組みを学んだものです。
その中で主人公風見潤(かざみじゅん)のライバルだったのが那智渡。マツダと言えばロータリーエンジン、といえば那智渡。サバンナRX-7にこだわり続けていた彼に、ロータリーエンジンの解説のページでぜひ登場してもらいたい!この思いだけで、作者の次原隆二先生の事務所に話に行きました。先生に快諾して頂き、解説ページにも表紙にも那智渡を載せることが出来ました。
表紙に那智渡が登場したことに関して

「那智渡も草葉の陰(?)で泣いて喜んでいることと思います」

とコメントが。
次原先生。那智渡がいたからこそ、風見潤があそこまで成長できたんです!

新型ロードスター発表会後のファン向けイベントの記念撮影
本誌では掲載しませんでしたが、新型ロードスター発表会のあとに開かれた一般ファン向けイベントでの記念撮影。新世代車種と言われる6車種の開発主査、チーフデザイナーが一堂に会した場面です。まぁ車種がそれほど多くないというのもありますが、他メーカーではまず見られない光景。今回原稿を依頼した自動車ジャーナリスト、川端由美さん曰く「いまここに爆弾が落ちたら、明日からマツダはクルマが作れなくなる!」

広島本社の工場
マツダと言えば広島が本社。というわけで、生産現場にもお邪魔しました。本社工場マネージャー、金重幸三さんに案内してもらいましたが「撮るんだったら、やっぱり赤(ソウルレッドプレミアムメタリック)がええよね。だったら、他の場所を先に撮影して戻りましょうか」。取材を終えて戻ると、見事に赤の車列が。すごい! 金重さん。

広島の本社工場内「マツダミュージアム」に展示されている「サバンナRX-7」
広島の本社工場内「マツダミュージアム」に展示されている「サバンナRX-7」。1978年に登場しました。那智渡がこよなく愛したマシンです。彼は劇中で展開されるレースすべてにRX-7で挑んだわけですが、中でも「ゼロヨンチャンプ」のときに完成させたRX-7は、3基のロータリーエンジンにターボチャージャーを3基ボルトオンするという「モンスターマシン」。でも、ターボラグの解消が不完全で、風見潤に敗戦。おかげでメカドックの一員になることに。グスン……。