スタンダードコンパクトは甘い味!? FIAT 500 ♯2

 愛すべきコンパクトカー、フィアット500。今回はそのカブリオレモデルに試乗。

クローズドボディの丸い優しいボディラインそのままのカブリオレ、おしゃれすぎる。

とりあえず頬がにやけるのはイタ車マジックか。このカブリオレは実は走行中でも全開にできる。が、しかし。全開にすると室内のバックミラーの半分は折りたたまれたルーフが占拠することになるのでドアミラーと目視を強く推奨したい。

 キーをひねりエンジン始動。最近のクルマは鍵を差し込んで捻る動作がなく家電よろしくボタンで済んでしまうけれど、この一見メンドーそうな作業が加齢な中年オヤヂには嬉しい。作家の故安部譲二さんによればクルマと自動車は別のモノであるという。「クルマは自動車じゃない。自動では動かない。スターターを回してエンジンを始動させ、ミッションを入れてハンドブレーキを外さなければ動かない、ホラ見ろ、クルマは”自動”車じゃないだろう、全自動洗濯機と一緒にするな」と。まさにそれだ。

 試乗車はバイク並の875cc2気筒エンジンにターボをつけたツインエア。

そのスペックは85PS、14.8kg-m。インパネのエコスイッチを押してエコモード作動時は77PS、10.2kg-mに絞られる。通常エコモードで乗り慣れてしまえば通常モード時にすると音もパワーもたくましく感じられる。組み合わされるミッションはデュアロジックと呼ばれる2ペダルのMT。

もちろんAT限定免許でも乗れるATモード付。日本上陸当初に試乗した時よりもシフトアップが上手になっているフィーリング。ただ坂道などで失速してからのシフトダウンや車間距離の調整でATモードのままシフトダウンするとシフトダウンするけれどすぐシフトアップしてしまうのはご愛嬌。いやむしろ筆者は嬉しくなってしまった。このゆるさこそフィアット、否イタ車の魅力であると。失速しそうならMTモードにして自分でギアを選べばいいこと、自分の意思がクルマに直結するのだ。安楽なデバイスや先進安全機能は確かに便利だけれど何か息苦しい時もある。しかし500系はアンドロイドオートやアップルCarPlayに対応するなど進化しているとはいえ、最近の渋滞追従オートドライブや衝突軽減自動ブレーキといったものはついていない。そこがいいのだ。クルマはヒトが動かすモノ。人生に疲れたら500cの屋根を開けて100mでも走ってみるといい。誰でも相田みつを氏の名言「つまづいたっていいじゃないかにんげんだもの」という優しい気分になれる。フィアット万歳。ちなみ燃費もドライバーの使い方に左右される。最近のクルマはコンピューターがしっかりと管理しているからドライバーが努力してもそこまで燃費に反映されることは少ないがコイツは人ありきなのだ。

 撮影現場へ向かう高速走行も難なくこなし、その気になれば右車線の流れもそれなりにリードできる。当たり前だけれども何の不安もない。強いてあげればインパネにディスプレイはあるけれど、ナビはないことくらい。

場所は変わって郊外の交通量が少ないクネクネ道。フルオープンで気持ち良くコーナーを抜けてもボディはミシリともいわない。オープン時でも旧500を知っている身とすればすごいことだ。それでいて車重はクローズドモデルに対して約10kgしか増えていない。

 燃費は高速、街中、郊外の山道、撮影時のアイドリングなどを含めて16.7km/L。カタログ燃費には届かなかったが立派すぎる。

 気持ちいいなあ、とクルマを流していると、イチゴ農園でロケをやっている。ん? んん??! よく見たあの後ろ姿、ページ担当のO氏ではないか!!!! よし、無理矢理合流して500cとイチゴを持ってイチゴミルクとかいって写真をとってもらおうか、と狭い路地に突入。そこはさすが取り回しに困らないステアリングの切れ角と軽いステアリングと相まって車庫入れもラクラク。そこで出会ったのはなんと、ひなんちゅサン!!!!!!! 〜おまけに続く〜

海野大介(daisuke unno)
  • 自動車ライター。専門誌を経て明日をも知れぬフリーランスに転身。華麗な転身のはずが気がつけば加齢な転身で絶えず背水の陣な日々を送る。国内A級ライセンスや1級小型船舶操縦士と遊び以外にほぼ使わない資格保持者。