戦場の犬たち

兵士には除隊や退役の選択肢がある。
それが、軍用犬にはあたえられていなかった。
戦争で必要がなくなったものは、
軍は余剰品として処分する。廃棄されるのだ。
軍犬は殺処分された。軍犬は物品扱いだったのだ。
犬はモノではない。命あるいきものである。
かといって、軍隊で訓練に訓練を重ねて
身につけた行動スタイルのまま、普通の生活には戻れない。
訓練を解除する訓練が必要だった。
「安全な犬」に戻るためである。
こんなややこしい手順を踏んでまで、
軍が犬の余生を慮るとは、とうてい考えられない。
それが2000年までの実情だった。
今は、資格を持つハンドラーが、軍用犬を
引きとる選択肢が認められている。

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