靴は足のプロテクターであり、マナーであり、ファッションアイコンである。だから履きなれたお気に入りはできるだけ長く履き続けたい。そんなユーザーの願いをシューズソール№1メーカー「ヴィブラム」がガッチリ受け止めたイベントが開催された!
写真/鶴田智昭(WPP) 文/モノ・マガジン編集部
1937年、北イタリアで創業したヴィブラム社は、シューズソール専業ブランドとして知らぬものはない存在だ。とりわけアウトドアシーン、ワークシーンにおいては、あのブロックパターンの「タンクソール」が有名だが、早い話がシューズソールの代名詞=ヴィブラムというわけだ。
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そのヴィブラムが7月12日~21日の10日間、注目すべきイベント「ヴィブラム・シューズ・リペア・ポップアップ」を開催したので、モノWEBが体験記事をお届けする。
「シューズのソールリペアといえば【もともと張られていたソール、もしくはそれに近いソールを張って原状に復す】ものです。しかし今回のポップアップではヴィブラムだからできること、つまり膨大にあるソールを自由に選ぶ「カスタム視点」を盛り込みます。靴に表情を与えつつ履き心地を向上させ、結果として長く履けるようにすることです」とは、ヴィブラムジャパンのマーケティングマネージャー平野伸弥さん。
今回持参したのは、編集長が20代の頃に買った、カナディアンブランド「ROOTS」のアウトドアブーツ。けっこう奮発して買った、思い入れのある一足だ。
現状としては、ソールは左右とも母指球の位置で割れており、「張り替えるべきか、サヨナラすべきか」をけっこう深刻に考えていたところだった。
本イベントでリペアを担当するのは「RESH.」の榊圭(さかき・けい)さん。「学生時代からモノ・マガジンの靴特集はよく読ませていただきました」と、お世辞であっても嬉しいお言葉。トーク上手いぞ、このっ(笑)
リペアの手順。まず持ち込んだシューズの修理の可否を榊さんに診断いただき、ソールの張り替えのみか、内装の刷新も必要かなど詰めていく。しかるのちファイナルアンサーが求められる。
「どのソールに張り替えますか? どれでも大丈夫ですよ」
ポップアップショップでリペア可能なソールの一覧。取り急ぎワークっぽいソールを手にしたが、ガラっとイメチェンできない保守的なワタシ(笑)
どれでもと言われると、逆に難しい。迷う。脳が発熱する前に、榊さんからのアドバイスで落ち着きを取り戻す。
Q「こちらはマウンテンブーツですが今後も山歩きに使いますか?」
A「タウンユースです」
Q「では、オリジナルのデザインをキープしたいですか?」
A「少し印象を変えてみたいです」
Q「軽くてクッション性の高いケミカルソールと、今まで通りの重さと履き心地のゴムソールはどちらにしますか?」
……という具合に徐々に選択を絞っていき、ピントを合わせていくのだ。
そして待つこと20日間。帰ってきました、俺の「ROOTS」!
どうせなら大胆に変えよう! など奮っていたものの選んだのは結局ベージュ色のザ・ヴィブラムソール! うーん、自分の保守性が(笑) しかしリペアは作品制作じゃない。実用品としての靴の個性化とロングライフ化。ヴィブラムがイベントを主催する意味はきっとここにあるのだろう。
今回のイベントでは、10日間で約80名/約100足が持ち込まれた。内容は紳士靴>ブーツ>スニーカーだったという。ちなみに編集長のリペア、お値段は両足オールソール張替え価格2万1000円(税別)でした。あれ、近所の靴屋さんで直すのと似たり寄ったり。それでヴィブラムが手に入るなら大満足でございます!
シューズも家も消耗品。履き心地、住み心地といった肌なじみも近しいものがある。ならば、シューズの世界にもリペア(リノベーション)が認められるはずだ。むろんSDGsの観点からも、そうでなければならない。
ポップアップイベントは第3回も決定しているという。時期についてはホームページ、SNSでチェックされたし。
次は君が張り替える番だぞ!