美しカッコイイ、フレンチのハッチバック
DS4に試乗

走るフレンチの伊達男

シトロエンのプレミアムブランドとして名をあげたDSオートモビルの第4の使徒が日本に襲来、いや上陸。それはハッチバックスタイルを採用したDS4だ。しかしこのクルマのシルエットは美しカッコイイ。流麗さとシャープさが同居したデザインは計算され尽くしたようにまとまり、そこに彫刻的な力強さが加わったモノ。

事実、フランスで開催される「国際自動車フェスティバル」の2022年度、第37回大会では「世界で最も美しいクルマ」の栄誉に輝いた。このイベントは選考委員にも特色があり、出席する選考委員はモータージャーナリストだけではなく、デザイナーや建築家など自動車業界人だけに重点を置いていない。

また同イベントはその年で最も美しいクルマの表彰式が行われるなど美的な面を重視することでも知られる。つまり、美に厳しいオトナの筆者(編集部注:言うだけはタダですから)が「美しカッコイイ」と感じたのは必然であり、若大将は加山雄三と同じ方程式なのだ。

そういえばフランス語では自動車は女性名詞だから伊達「男」ではなく、伊達「女」が正しいのかも知れぬ。と言うわけで筆者のようなオトナ(しつこい)がDS4をレポートいたす。

オーラはまるで芸能人!?

試乗車はディーゼルエンジン搭載のリヴォリBlueHDi。ボディカラーはノアールペルラネラという名の黒。これがより引き締まって見えてどこでも「映える」のだ。それは場所を問わず高級ホテルのエントラントから畦道までどこに置いても絵になる気がする。

人(クルマ)は見た目で判断してはイカン、というが見た目で判断してしまいそうな雰囲気。まさにどこでも存在感を出してしまう大御所俳優に近いかもしれぬ。街中にいても筆者の自意識過剰ではなく意外に視線を浴びたのもご報告。

DS4はクーペSUVとハッチバックの融合といわれ、いわゆるセグメントで言うなればCセグメントに属する。

今や小排気量しか勝たん

DS4に用意されたパワーユニットはPHEV、ディーゼル、ガソリンの3つ。PHEVは1.6リッターガソリンターボにモーターを組み合わせ、ディーゼルは1.5リッターターボ、そしてガソリンは1.2リッターターボになる。試乗車は1.5リッターのディーゼルターボだ。そのスペックは130PS/300Nm。組み合わされるミッションは8AT。これが走り出すと実に実用的でもあり回すと楽しさもありとフラ車らしい味付けなのだ。

余談だがライバル勢の多くはディーゼルなら2リッター、ガソリンなら1.6リッター以上のターボだがDS4は最も小さい排気量になる。

街中では1500rpmも回せば交通の流れをリードできるし、ディーゼル特有の太いトルクは4000rpm少し上まで続くので、流れに乗った速度からの加速も難なくこなす。特に高速の合流では1.5リッターとは思えないし、「床まで踏まなきゃ合流できない」系な不安は皆無。

そしてゆったり構えて高速を流せる懐の深い直進安定性はさすがだ。また足回りも乗り心地マニアのシトロエン派生のプレミアブランドらしく至極快適。フロントガラスのカメラが数m先の凸凹を読んで、サスペンションの減衰力を変化させるDSアクティブスキャンサスペンションシステムの恩恵もあるが、シトロエンの乗り心地を同じベクトルでより高級になった感じだろうか。クネッた道でも涼しい顔でコーナーを抜けていける。

渋さと同居する先鋭主義

DS4の車内は落ち着いた雰囲気と同居する個性といった感じだ。車内随所にはDSブランド得意のクル・ド・パリが使われる。この雰囲気だけでも価値を見出せるはずだ。またセンターに位置する10インチのディスプレイはインフォテイメントシステムを音声操作が可能だし、センターコンソールに位置する小さなディスプレイは手元で上記のインフォテイメントシステムを操作できる。つまり使い勝手がいい。

しかし、フラ車ファンの皆さまご安心ください! 慣れが必要なスイッチもあるのだ。それはパワーウィンドウのスイッチとセンターのエアコンの吹き出し口の調整ツマミ。優等生すぎるとツマラナイ斜め視線的思考と申しましょうか、マニア的趣向と申しましょうか。前者はドア上部に設置されており、腕をひねって使うというかなんというか。後者はセンターパネルのデザインと化していて気づきにくいだけなのだが。

だからと言って使いにくいか、というとそれも違う。やはり普通じゃ満足できないディープな趣向なのかもしれぬ。そしてマニアはその不便さ、いやデザインと慣れをこよなく愛するのだ。昔のシトロエンBXのボビン式メーターしかり。

そしてプレミアムブランドらしくオーディオにもこだわりがあり、なんとフォーカル製の14スピーカーオーディオシステムが標準装備なのだ! ディーゼルユニットのクルマとはいえ高速でも室内の静粛性が非常に高いから音楽を楽しめる、いい女は自分の武器を知っているということなのか!

さらに前席はシートヒーター、ベンチレーションは当たり前、マッサージ機能もついている豪華っぷり。メルセデス、BMW、アウディのいわゆるジャーマンスリーだとみんな乗っているし、ちょこっと豪華で走りも燃費も良く、オシャレに見えるクルマとなればDS4しかない。お値段はライバルよりも充実装備ながら514万9000円からのバーゲンプライスなのだ。

DS4リヴォリBlueHDi


価格535万5000円から
全長×全幅×全高4415×1830×1495(mm)
エンジン1498cc直4ディーゼルターボ
最高出力130PS/3750rpm
最大トルク300Nm/1750rpm
WLTCモード燃費21.2km/L

DSオートモビル
問 DSコール 0120-92-6813

  • 自動車ライター。専門誌を経て明日をも知れぬフリーランスに転身。華麗な転身のはずが気がつけば加齢な転身で絶えず背水の陣な日々を送る。国内A級ライセンスや1級小型船舶操縦士と遊び以外にほぼ使わない資格保持者。

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