★今回おすすめのお酒
「グレンフィディック12年」「ザ・グレンリベット12年」
ふたつのブランドの最もスタンダードなウイスキーを飲み比べてみましょう。ウイスキーそのものの風味を比べるには、まずはニート(ストレート)で飲むのがおすすめ!
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※詳しい情報はこちら
■シングルモルトウイスキーとは?
今回は、シングルモルトウイスキーの2大ブランドのご紹介なので、基礎知識としてシングルモルトウイスキーについてご説明しておきましょう。
シングルモルトウイスキーとは、大麦麦芽のみを原料として1カ所の蒸溜所で造られたウイスキーの事です。
ウイスキーブームの中で話題の多いシングルモルトウイスキーですが、世界のウイスキー市場全体の中では、そのシェアは約10%といわれています。
残りの約90%は「ブレンデッドウイスキー」と呼ばれる、モルトウイスキーとグレーンウイスキーを混ぜ合わせたウイスキーなのです。
ブレンデッドウイスキーは、飲みやすく手頃な価格のものが多く世界中で幅広い層の多くの人々に愉しまれているのです。
一方、シングルモルトウイスキーは蒸溜所の個性やコンセプトが強く感じられるウイスキーも多く、ディープなウイスキーファンの間では好まれているように思います。
今回はそんなシングルモルトウイスキーの中でも世界TOP2に君臨しているブランド「グレンフィディック」と「ザ・グレンリベット」について詳しくご紹介しようと思います。
ちなみにドリンクインターナショナル誌(英国)によると2021年の販売量は、ザ・グレンリベットが150万ケース、グレンフィディックが140万ケース、シングルモルトウイスキーの中でのシェアはそれぞれ約12%となっています。
グレンフィディックについては、こちらの記事で私の体験談などもご紹介しています。よろしければご覧ください。
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■それぞれの“パイオニア”の歴史
設立は、ザ・グレンリベット蒸溜所が1824年、グレンフィディック蒸溜所は1886年。
いずれもスコットランドのハイランド地方、スペイサイドと呼ばれる場所にあります。
グレンリベット蒸溜所は、ジョージ・スミスによって設立され1824年にスコットランド初の政府公認蒸溜所として認められた事でも有名です。
密造が横行していた時代に終止符を打ち、スコッチウイスキーの歴史を切り開いた「パイオニア」と呼ばれる所以はここにあります。
グレンリベットの評判が広まり、模倣品がたくさん出回るまでになってしまい、裁判に訴え1884年に本物であることを証明する定冠詞「THE」をつけることが許され「ザ・グレンリベット」となった歴史もあります。
その後は1953年グレングラント社と合併、1978年シーグラム社に買収され、2001年からペルノ・リカール社のグループになっています。
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著作者Kkonstan CC 表示 3.0 https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=2808279による
グレンフィディック蒸溜所はフィディック川の渓谷にあるダフタウンでウィリアム・グラントと家族によって設立され、1887年12月25日クリスマスに初めの一滴が蒸溜されました。
それから130年間以上、現在では5代目にあたる子孫が経営していて家族経営を続けている事でも有名です。
ブレンデッドウイスキーが主流で「シングルモルト」という言葉もなかった時代にグレンフィディックは、自身の蒸溜所で作ったモルトウイスキーのみを使ったウイスキーを商品として売り出すことを決めました。
そして1963年にスコットランド国外へ初めて「モルトウイスキー(ストレートモルトウイスキー/ピュアモルト/シングルモルト)」として発売し、シングルモルトでは2015年まで世界1位を走り続け、現在でも1位、2位を争いながらTOP2の位置に君臨し続けています。
グレンフィディックは、シングルモルトウイスキーという新たな分野を作り、牽引し続けている「パイオニア」なのです。
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著作者Richard Harvey CC 表示-継承 3.0,https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=10826710による
世界的なウイスキーブームもあり、ふたつの蒸溜所では2010年前後から設備の増設など行っており、現在では生産可能量は2010年当時の約2倍となっています。
★2つの蒸溜所と関係の深い蒸溜所などについては <参考資料2>をご覧ください。
■ウイスキー造りのこだわり
グレンフィディックは、現在も大手企業などのグループに入ることなく家族経営を続けている数少ない蒸溜所ひとつです。
他の蒸溜所が大手企業の傘下に入ることが増えている中でも独立を守っています。
こだわりを守り続けている職人(マッシュマン:糖化職人、スチルマン:蒸溜職人、銅器職人、樽職人、熟成庫職人、モルトマスター)が蒸溜所にいる事もグレンフィディックの特徴で、それぞれが伝統を守りながらも新たなチャレンジを続けています。
例えば、シェリー熟成で用いられる「ソレラシステム※」をはじめてシングルモルトウイスキーに応用したのもグレンフィディックです。
ウイスキー造りに「ロビーデューの泉」(軟水)の水を使っていることに変わりはありませんが、ベーシックな12年を中心として、その時代ごとに様々なスタイルで商品を展開しています。
※ソレラシステム:様々な樽で熟成したモルトウイスキーをソレラバット(大桶)で後熟する方法
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著作者Oyoyoy CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=20981161による
ザ・グレンリベットは、現在ペルノ・リカール傘下にあります。創業時から変わらぬ伝統の製法を守り続けながらも、数多くのアイテムを世界中で展開しています。
以前はシーバス・リーガルやロイヤル・サルートなどブレンデッドウイスキーのキーモルトとして使用されていたといわれていましたが、現在では、ブレンデッドウイスキーの原酒としての提供は行わず、ザ・グレンリベットのシングルモルトウイスキーのみを造っています。
ウイスキー造りには、蒸溜所の敷地内から湧き出ている「ジョージーの井戸」(硬水)のミネラル豊富な水を使用しています。
蒸溜器はランタン型のポットスチルを使用し、スッキリとした味わいの特徴の原酒を造っています。
新たな展開としては、2011年に一般消費者を対象にしたWeb会員組織「ザ・グレンリベット ガーディアンクラブ」を本格始動させ、様々なイベントを実施したり、SNSを活用した情報発信など新しい方法でのアプローチを行っています。
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■日本での販売アイテム
現在、日本で公式に流通しているアイテムは下記です。(公式Web参照:2023年2月22日現在)
●グレンフィディック
グレンフィディック12年スペシャルリザーブ
グレンフィディック15年ソレラリザーブ
グレンフィディック18年スモールバッチリザーブ
グレンフィディック 21年
グレンフィディック 21年 グランレゼルヴァ
●ザ・グレンリベット
ザ・グレンリベット ファウンダーズリザーブ
ザ・グレンリベット カリビアンリザーブ
ザ・グレンリベット12年
ザ・グレンリベット14年
ザ・グレンリベット15年
ザ・グレンリベット18年
ザ・グレンリベット21年
ザ・グレンリベット25年
いずれのブランドも世界中で流通している商品は、これ以外にもとてもたくさんあります。免税店限定品や、数量限定や地域限定で発売される商品もあります。
日本の公式サイトだけでなく、英語の公式サイトを見てみると日本語サイトとは違う雰囲気を感じたり新しい情報を得られることもあるので楽しいですよ。
・グレンフィディック公式サイト(英語)https://www.glenfiddich.com/
・グレンフィディック公式サイト(日本語)https://www.glenfiddich.com/jp/
・ザ・グレンリベット公式サイト(英語)https://www.theglenlivet.com/en/
・ザ・グレンリベット公式サイト(日本語)https://www.theglenlivet.jp/
■飲み比べてみましょう
最後の比較は、実際に飲み比べてみましょう。
まずは、1番スタンダードなウイスキーである「12年」を飲み比べてみるのをおすすめします。
ウイスキーを飲んだ時に感じる風味は人によって異なるので、先入観を持たないように味わいについてはあまりお伝えしないようにしています。
しかし、あえて全体的な方向性としてお伝えするのであれば『グレンフィディックは甘さに特長がある』、『ザ・グレンリベットはスッキリした飲みやすさに特長がある』という事でしょうか。
ふたつのブランドは、シングルモルトウイスキーTOP2となっている事からも分かるように、世界中の多くの人が「飲みやすい」「美味しいと感じる」「買いやすい」ウイスキーという点では共通しています。
そして様々な商品があるので、ブランドの特徴をひと言でいうのはとても難しいのです。個々のウイスキーを飲んでみて、自身が感じた味わいを記憶(記録)しておくのがよいでしょう。
私が開催しているウイスキーのセミナー&テイスティングのイベント「ザ・シークレットバー」(銀座・麻布)では、様々なテーマでウイスキーの飲み比べを実施しています。
もちろん「ザ・グレンリベットコレクション」と「グレンフィディックコレクション」も実施しています。
現在流通しているウイスキーをはじめ、古い時代のウイスキーや日本では手に入りにくい限定品などもラインナップし、私自身がテイスティングを行った上で決めた順番で、コース料理のように愉しんでいただいています。
飲み比べをすると、多くのお客様は同じ蒸溜所のウイスキーでも色々な味わいの商品があることに驚かれます。同じ商品の年代別飲み比べでは、その違いを味わいながらその時代の思い出話で盛り上げることもあります。
ウイスキーの味わいや香り、美味しさの感じ方は人それぞれ違いますし、飲む順番や環境、気分によっても変わります。
それも含めてウイスキーの愉しめるようにブランドの歴史などの説明も交えながらウイスキーをご提供しています。※コレクションアイテムは<参考資料1>をご覧ください。
皆様もご自身のスタイルで飲み比べをお愉しみください。
<参考情報1>
以前にザ・シークレットバーのコレクションで提供したウイスキー
●グレンフィディックコレクション
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グレンフィディック ピュアモルト&シングルモルト
グレンフィディック ピュアモルト8年(特級)
グレンフィディック ピュアモルト10年(特級)
グレンフィディック クラシック
グレンフィディック カスクストレングス15年
グレンフィディック14年
グレンフィディック 15年ソレラリザーブ(旧)
グレンフィディック18年スモールバッチ(旧)
グレンフィディック セレクトカスク
グレンフィディックIPAカスクフィニッシュ
グレンフィディック ビンテージカスク
グレンフィディック ファイアー&ケイン
●ザ・グレンリベットコレクション
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ザ・グレンリベット12年 イリシット・スティル
ザ・グレンリベット12年 ライセンスド・ドラム
ザ・グレンリベット12年 ダブルオーク
ザ・グレンリベット12年 ピュアシングルモルト
シグナトリー グレンリベット2007 13年
ザ・グレンリベット14年 コニャックカスクセレクション
ザ・グレンリベット15年 フレンチオークリザーブ
ザ・グレンリベット18年 バッチリザーブ
ザ・グレンリベット カリビアンリザーブ
ザ・グレンリベット トリプルカスク ディスティラリーリザーブ
ザ・グレンリベット ナデューラ ファーストフィル(BATCH No.FF0716)
ザ・グレンリベット ナデューラ オロロソ(BATCH No.OL0614)
<参考情報2>
●ウィリアム・グラント&サンズ社のウイスキー蒸溜所&ウイスキーブランド
グレンフィディック蒸溜所(スペイサイド)
バルヴェニー蒸溜所(スペイサイド)
キニンヴィー蒸溜所(スペイサイド)
アルサベイ蒸溜所(ローランド)
ガーバン蒸溜所(グレーン)
タラモア蒸溜所(アイルランド)
「グランツ」(グレンフィディックなどを使ったブレンデッドウイスキーブランド)
「モンキーショルダー」(グレンフィディック、バルヴェニー、キニンヴィーの原酒を使ったブレンデッドモルトウイスキー)
●ペルノ・リカールグループのウイスキー蒸溜所
アベラワー蒸溜所(スペイサイド)
アルタベーン蒸溜所(スペイサイド)
ブレイヴァル蒸溜所 (スペイサイド)
ダルメニャック蒸溜所(スペイサイド)
グレンバーギ蒸溜所(スペイサイド)
グレンキース蒸溜所(スペイサイド)
ザ・グレンリベット蒸溜所(スペイサイド)
グレントファース蒸溜所(スペイサイド)
ロングモーン蒸溜所(スペイサイド)
ミルトンダフ蒸溜所(スペイサイド)
スキャパ蒸溜所(アイランズ)
ストラスアイラ蒸溜所(スペイサイド)
キャパドニック蒸溜所(スペイサイド)
ブレイズ・オブ・グレンリベット蒸溜所(スペイサイド)