【モノ・マガジンTV】
靴の工場見学
第3回:シブヤ製靴を訪ねる つり込み編


こんにちは。今回はシブヤ製靴第二弾「YouTube・モノマガジンTV 工場見学ツアー〜つり込み編〜」です。WEBで解説や裏話など、読んでも楽しい「レザーソムリエ西牧のじっくり動画解説と裏話」。YouTube動画「シブヤ製靴工場見学ツアー」の第2回目を解説していきたいと思います。

前回の裁断・製甲の次がつり込みです。まずはカウンター(踵)の部分を成形していきます。素材は色々あるのですが、今回使用している素材は、革のくずなんて言っちゃってましたが、革を薄くする時に出る漉き残りを再利用したもの。実は革ってすごく再利用率が高いんですよ。

中底とアッパーに糊を塗っていきます。糊はつけすぎてもダメ、薄すぎてもダメとただ塗るだけじゃないんですね。次の工程のつり込みにも影響が出る重要な作業です。

靴好きならこの機械を見たことがある方がいるかもしれませんね。見た目がすでにかっこいいマシーンです。つり込みは手づりと機械づりがあります。機械を使うことで、より早く、正確にできますが、位置を合わせたり機械の調整など正直、グッドイヤーウエルト製法よりも難しいかもしれません。何事も経験が蓄積されていくのですね。

踵に位置を固定するための釘を打ちます。動画でも言っていますが、ここに釘を打たないとつり込みはできません。まさに本物の証なのです。よくこの穴を使ってプライスカードなどをつけている靴がありますが、これはその穴を利用してるだけなので、わざわざ空けたわけではありません。しかし吉田社長、生き生きしてますね(笑)。

「かんぶり」と呼ばれる作業です。靴のサイドをつり込む工程です。なぜかんぶりというのか、社長も知りませんでした。次回までに調べます….。実はこの工程、言葉では表すことができないんです。なんか難しいんですよね。ここは動画をご覧ください。立っていた革が綺麗に張り付いていきました。

踵をまとめる作業です。これも機械で一気に仕上げます。同時に釘が打ち込まれます。もし手に射ってしまったらと思うと、ゾッとします。安全装置が何重にもなっているので、その心配はないそうです・・・。でも怖い!! これを考えた人って凄いなーと思います。

底付けするにあたって、余計な部分を削っていきます。これは単純にならすだけでなく、糊がくっ付きやすいようにしているのです。革とゴムという異素材同士の接着は非常にナーバスな工程となります。次回、紹介するプライマー処理も肝となる部分です。それは次号で説明します。グラインダーの作業も自分の手を削ってしまうんではないかと思ってしまいます。僕は無理かな(笑)。

今回でつり込みの作業は終了です、いよいよ底付け、仕上げに入ります。特殊な形のミシンなども登場しまよ。いよいよ、靴が仕上がります!!モノ・マガジンの偉い人、鈴木さんが何やら社長とコソコソ話をしていましたが!! 次回のお楽しみです。第3部の動画・WEBマガジンをお楽しみに!!
このWEBマガジンでは、工場見学ツアーなど動画配信したものをレザーソムリエ西牧が記事にしてお送りしています。裏話など動画では配信できない情報も提供していきたいと思います。ではまた読んでくださいね!!

西牧正晴(masaharu nishimaki)

1977年生まれのバリバリの氷河期世代。19歳から靴屋のバイトを初めて、そのまま靴、革にどっぷりハマる。靴メーカーやベルトメーカー、靴の組合など、とにかく革がある場所で革の知識だけでなく、売り方やマーケティングを学ぶ。レザークラフトの作家としても活動中。

現在はフリーランスで革、靴、バッグのライター・フォトグラファー、皮革アドバイザーなどをして、日々革について精進中。

関連記事一覧