【モノ・マガジンTV】
靴の工場見学
第2回:SANTARIを作る小さな靴工房Tate shoesを訪ねる


こんにちは。YouTube動画「モノマガジンTV 靴の工場見学」をこちらのWEBで解説や裏話などする、読んでも楽しい「レザーソムリエ西牧のじっくり動画解説と裏話」です。今回は第2回目のYouTube動画「SANTARIを作る小さな靴工房Tate shoesを訪ねる」を解説していきたいと思います。

舘シューズの舘さん。サンタリ(SANTARI)の生み親。独立して7年とちょうど脂も乗ったいい感じの若手職人です。今回の動画では触れていないですが、実はスキンステッチの名人。日本ではあまり馴染みのない飾り縫いなんですが、舘さんのステッチは見とれるほど素晴らしいです。
そして進行はいつもの西牧とモノマガジンの偉い人、鈴木さんで撮影スタート!!

まずは今日の制作靴の紹介からです。SANTARI(燦たり)とは太陽を燦々と受け、明るく光り輝くさまを表しているそうです。僕らには全く考えられないネーミング・・・。今回はかかとがないタイプのサボシリーズです。オイルをたっぷり含んだ一枚革で出来ています。

アッパー(本体)を漉き、縫っていきます。今回WEB版では道具についてちょっと補足です。動画でも言っていますが、馬と呼ばれるものは、踵の縫い代を割って平らにする、縫い割を行うための道具です。その踵のカーブの曲線によって馬のコブの位置を決めます。なのでコブが2つあるんですね。

ぽんぽん(金槌みたいなの)は、鉄を打つなと僕は言っていますが、結構人によって違うようです。大体は2〜3個各自が持っていて、釘を打っても良いぽんぽんもあるようです。

表とライニングの革を貼り付けます。この時のノリは水溶性のものを使用しています。水溶性なので、硬くなり過ぎず足馴染みがいいです。世界的にも水溶性のノリにシフトしています。環境にも優しいんです。

サンタリではつり込みは手づりでつり込みます。靴の中心がよらないように左右、上下を確認しながらつり込んでいきます。これぞ職人の技!! という感じですね。思わず見入ってしまいました。段々と靴が立体的になってきました。

みなさん、靴にこんな部品があるのを知っていましたか?「シャンク」と言います。この部品、とっても大事なものです。靴の背骨と言われています。これがないとヒールがある靴は体重で沈んでしまい、歩き心地の悪い靴になります。近年の主流は金属ですが、一部、木や竹のシャンクなんかもヨーロッパを中心に使われています。

ソール(底)を貼る前の下準備です。コルクを貼り、平になるまでグライダーで削ります。凹凸がないように仕上げないと履きづらい靴になりますので、残し過ぎず、削り過ぎないように作業します。

アッパーとソールを接着します。現在はノリや機械の進化で圧着機を使えば、ほぼ底剥れが起こる事はありません。技術の進歩で靴の性能もかなり上がっているんですね。

ヒールをつけます。このヒールが舘さんのこだわりです。実はヒールの中をくり抜いて、軽量化しています・約50g(卵1個分)軽量化。サンダルタイプは楽ちんに履きたいので、少しでも軽量化しようとして発案されました。このこだわり・・・舘さんの思いが伝わって来ます。

完成です!! 欲しい!! この革はオイルをたっぷり含んだ起毛素材です。多少の水滴は弾くので、室内履きでもいいかもしれませんね。欲しい方はSANTARIのWEBページで詳細確認してください。

なんと今回、伊勢丹新宿店メンズ館地下1階で行われる「ISETAN靴博2022」に舘シューズ・SANTARIの出店が決定!! ここでオーダーを受け付けることができる!! 靴博用に新製品の発表もあるとのことです。靴好きのみならず今回動画、WEBマガジンでSANTARIを気になった人は是非、足を運んで欲しいです。


いかがでしたか? 舘さんのこだわりと思いやりが詰まった靴づくりに感動した一日でした。もっと詳しく商品を知りたい方はSANTARIのHP、Instagramをチェック!!
このWEBマガジンでは、工場見学ツアーなど動画配信したものをレザーソムリエ西牧が記事にしてお送りしています。裏話など動画では配信できない情報も提供していきたいと思います。ではまた読んでくださいね!!

西牧正晴(masaharu nishimaki)

1977年生まれのバリバリの氷河期世代。19歳から靴屋のバイトを初めて、そのまま靴、革にどっぷりハマる。靴メーカーやベルトメーカー、靴の組合など、とにかく革がある場所で革の知識だけでなく、売り方やマーケティングを学ぶ。レザークラフトの作家としても活動中。

現在はフリーランスで革、靴、バッグのライター・フォトグラファー、皮革アドバイザーなどをして、日々革について精進中。

関連記事一覧