モノマガも40周年
ベントレーのターボチャージャーも40周年


 今年は、ぬわんと! 我らがモノマガジン誌40周年のアニバーサリーイヤー (https://40th.monomagazine.com/)なのです!! 皆さま拍手でお迎えください、と結婚式の新郎新婦入場のように始まりましたが、クルマでも40周年記念モノがあります。え? 一番有名なのは1987年のフェラーリ社40周年記念モデル、F40だろう、だって?

仰せごもっともです。しかし今年、2022年に40周年を迎えるモノがあるのです。それは、英国の至宝、ベントレー。ヲイヲイ、ベントレーの創立は1919年、つまり100年以上前じゃないかい、それも仰せの通り。

 今年40周年を迎えるベントレーの逸品は、ターボチャージャー搭載のベントレーなのです。ではそのエンジンを最初に搭載したモデルは何かと、いうとミュルザンヌになります。ミュルザンヌという車名は世界3 大レースの一つ、ルマン24時間耐久レースが行われるフランスのサルテ・サーキットの名物、約6kmのストレート、ユーノディエールから飛び込むコーナーにちなんでいます(余談だが、同ブランドはこのストレートにちなんだネーミングのコンセプトカーを1999年に発表している)。ツウな方はお気づきかと思いますが、ベントレーは創業当初からモータースポーツを積極的に行っており、かのベントレーボーイズの逸話もあるほど。ベントレーボーイズはプロのレーサーではなく、それぞれが別の本業を持つアマチュアドライバー。自身の財力でベントレーを購入しレースに出場していたのです。今よりも「命がけ」の割合が天文学的に高い時代、ベントレーを駆る彼らの活躍は英国中を沸かしたといいます。

 そんなベントレーは1927年〜30年にかけてルマン4連覇を達成。特に1929年に至っては1位から4位まで表彰台どころか上位を独占しています。それほどベントレーの車名とモータースポーツは縁が深いのです。もう一つ余談ですが、ジツはベントレー、ボンドカーでもあるのです。なぬー!? と映画ファンからお叱りをいただきそうですが、イアン・フレミングの原作小説ではジェームズ・ボンドのプライベートな愛車はベントレーとされているのです。「どこかのお金持ちがぶつけたスクラップを買い取って改造した」設定になっており、存在しない車名も出てきますが、原作ではそうなっているようです。なお、創業者W.O.ベントレーはベントレーを創業した後、紆余曲折を経てアストンマーチンのエンジンを製作しています。

 さて、話はムーンサルトのごとくミュルザンヌに戻ります(編集部注:すがやみつる氏の「ゲームセンターあらし」の主人公の必殺技)。ル・マンのコースの名前を持つ、ミュルザンヌは1980年から92年まで生産されました。サーキット由来のネーミングながら当時のベントレーはロールスロイスの傘下にあり、ロールスロイスのショーファーに対してオーナーカーとしてのポジションにあり、「刺激的」と言うよりも「最上級」のドライバーズカーでした。デビュー当初のミュルザンヌはロールスロイス・シルバースピリット/スパーとほぼ同じ内容のクルマでした。

 そこで、82年により「らしさ」を追求したモデル、ターボがデビューしました。スペックはロールスロイス、ベントレーの伝統にのっとり、必要十分というだけの未公表。ただ排気量6747cc(以下6.75L)のV8にターボを組み合わせたというモノゆえ、推して知るべし、という感じでしょうか。ジツはこのエンジン1959年以来唯一のパワートレインだったのです。組み合わされたミッションは3AT。おそらくどのギアでも加速するに十分な排気量とトルクだったと推察されます。ターボの持つ驚異的な性能は「ブロワーベントレー※1が半世紀ぶりに復活した!」と拍手喝采。その加速は当時のフェラーリを凌ぐほどといいます。しかし、ベースがおとなしいサルーンという出自ということでブレーキを含む足回りには無理があったそうです。1985年には足回りを強化したターボRがデビュー。

このRはレーシングスペックとかレボリューションとかの頭文字ではなく、ローロホールディングのRになります。ジツはこのターボR、商用的にも大成功で、最高のドライバーズカーのイメージをより印象付け、ロールスロイス内のベントレー比率を大幅に上げることにもなりました。

 1995年にはターボRもロールスロイス同様に大幅なマイナーチェンジ。初めて公表されたそのスペックは404PS、81.6km-gという驚くべき数字でした。それでもエンジンは基本的に同じモノ。

現在のW12、V8、V6エンジンはすべてターボチャージャーの恩恵によって今も世界最高のドライバーズサルーンとして君臨しているのです。設計からR&D、エンジニアリング、製造まで一貫して本社で管理するクルマ作り。何世代も受け継がれてきた技を駆使するクラフトマンシップ、エンジニアの専門知識、最先端のテクノロジーを融合できるのは同ブランドのなせる技。このベントレーブランドのターボチャージャーが今年で40年を迎えました。

※1 ブロワーはヘンリー・ティム・バーキン卿のレースチームのために4台が製造されたのみ。2021年、90年ぶりに12台を復刻生産。価格は未公表、すでに完売。

ベントレー https://www.bentleymotors.jp/
問 ベントレーコール 0120-97-7797

  • 自動車ライター。専門誌を経て明日をも知れぬフリーランスに転身。華麗な転身のはずが気がつけば加齢な転身で絶えず背水の陣な日々を送る。国内A級ライセンスや1級小型船舶操縦士と遊び以外にほぼ使わない資格保持者。