MTはスポーツカーだけのモノではない!
マツダ2に試乗


 昨今、何かとMTの新車が話題になっている。例えばマイナーチェンジしたトヨタのGRスープラやポルシェのスポーツクラシックなどなど。そして今やMTモデルが欲しいとなると、本格的なスポーツカーだけしかないのかも、とお嘆きの皆様、もっと身近なクルマがあるのだ。それはマツダのコンパクトカー、マツダ2! なんといってもマツダはコンパクトモデルからSUV、セダンまで幅広いラインナップのほぼすべてのモデルにMTを設定しているのだからして。

 今回の試乗車はブラックトーンエディション。それは内外装に黒系のアクセントを施された特別仕様車でベースは15Sプロアクティブ。

ナヌ? マツダ2? デミオと違うの? そうなのだ。2019年にデミオから改名。と表現すると、まるでどこかのクラブのオネーサンみたいだが、だいぶ違う。例えばマツダのデザインアイデンティティ、シグネチャーウィングを大きく伸ばしたり、高輝度のメッキモールを採用したりと上質感を高めた。室内も同様に高級さを前面に出さないけれど品のいい空間に。

運転席に陣取ったら筆者、思わず頬が緩みもうした。それはメーターのデザイン。

なぜこれでニヤけるのか。それは大抵のコンパクトカーならば正面にデカデカと回転計を配置しないから。配置してもデカい速度計の場合が多いが、マツダ2はあえてエンジンの回転計を主役にしているのだ。これはまさにスポーツカーの手法。読者の皆様、デミオ時代と変わらないとか言わないように。クルマは気分の問題が大きいのだからして。そういえば最近「クルマ好きのポイントを抑えているのがマツダだよねぇ」と良く耳にするが、なるほど納得。マツダ2のコンセプトは「日常を豊かにする上質なパーソナルカー」だった。このちょっとした演出が気分を豊かにしてくれる。まあ、筆者が安っぽいといわれればそれまでだが。

 エンジンをスタートさせるとメーターナセルの上に半透明のパネルが立ち上がる。

「艦長! 波動砲発射準備整いました!!」と70年代生まれの筆者は思ってしまったが、もちろんガミラス軍を駆逐する装備ではなく、速度などを表示させるアクティブドライビングディスプレイ。便利なのだが、状況によっては縁(ふち)の部分が気になることもあった。

 さて。走り出せば自分の意思が余すことなく伝えられる快感がある。スポーツカーではない、コンパクトカーでも十二分に感じられるのだ。加減速のコントロール、クラッチのフィーリング、ステアリングの応答性、これぞマツダのこだわりだ。クネッた道も思い描いた通りに走れるなどいわゆる動的質感はかなり高い。もちろんG-ベクタリングコントロールプラスの恩恵もあるのは分かっているのだけれど、自分が主役になってクルマを操る楽しさは何物にも代え難い。

 エンジンは昨年のマイナーチェンジで改良されたモノ。

これは14という高圧縮比を実現。圧縮比が高いと熱効率が高いのだが、その反面ノッキングしやすくなるデメリットもあるがマツダはそれを克服、燃費と環境性能を高い次元で両立した。110PSの最高出力に142Nmのトルクを誇る。今の感覚だとたった110PSと思うかも知れないが、これがそうでもない。1060kgの車重には十分だし扱いやすいのだ。例えば、1500rpm付近を目安にシフトアップしていけば、40km/hで5速に入ってしまうし、50km/hで6速も可能。6速50km/hでエンジン回転は1500rpmを少しこえるくらいだが、そこから踏み込んでもノッキングの気配さえみせずにキチンと加速してくれる。つまり交通の流れを乱すことはない。そのあたりをうまく使って巡航すると街中の渋滞でも16.8km/Lくらいの燃費は稼げた。またグワーン! と加速したければ自分でギアを落とせばいいだけのこと。そのさじ加減もMTの魅力だと筆者は思う。

 さらにアイドリング時も意外にトルクがあるので発進も容易。未確認で恐縮だが発進時に若干エンジン回転数があがるのかもしれない。エンスト、坂道発進といったMT乗りの不吉なキーワードもマツダ2には縁遠いくらいイージーだった。エンジンの話でもうひとつ。ジツはマツダ2、エンジンカバーが付いていない。静粛性能を高めたことが理由のひとつという。なるほどコンパクトカーながらも室内がかなり静かだ。高級モデルなら当たり前な静粛性能だが、マツダ2もかなり高い。これはデミオに比べて35%ほど向上させた天井材の吸音性能のおかげ。吸音性能を向上させ、空間の中の無用な残響音を残らないようにしているという。それでいてエンジンの音はうまく聞こえる。最初スポーツマフラーかと思ったが違ったのだ。2500rpmあたりからなかなかにいい音を聞かせてくれる。その音量も不快ではない。

 マツダ2はディーゼルモデルもラインナップしているし、4WDも用意がある。モータースポーツのベース車両としての15MBもある。またグレードによってはメモリー付きのパワーシートやシートヒーター、ステアリングヒーターも装備されるなど快適性を高めたグレードもあるなど幅広いモデルバリエーションが魅力。

 デビューから年数が経過しそろそろモデルチェンジか、という車齢のマツダ2。海外ではヤリスのOEM供給車としてハイブリッドモデルもリリースしている。 

純内燃機関のエンジンにこだわったコンパクトカーで、しかもMTが欲しい方は急いだ方がいいのかも?

マツダ2
ブラックトーンエディション(6MT)


価格179万8000円から
全長×全幅×全高4065×1695×1525mm
エンジン1496cc直4
最高出力110PS/6000rpm
最大トルク142Nm/3500rpm
WLTCモード燃費20.2km/L

マツダ https://www.mazda.co.jp/
問 マツダコールセンター 0120-386-919 

  • 自動車ライター。専門誌を経て明日をも知れぬフリーランスに転身。華麗な転身のはずが気がつけば加齢な転身で絶えず背水の陣な日々を送る。国内A級ライセンスや1級小型船舶操縦士と遊び以外にほぼ使わない資格保持者。