お酒博士・橋口孝司の酒千夜
Vol.04 お酒のトリビア03:お酒を愉しむには“3つに分類”することから始めよう


★今回おすすめのお酒
「ヒーリング チェリー リキュール」

桜の季節になると思い出して飲みたくなる、サクランボを主原料としたリキュール。
オンザロックスで、少しずつゆっくりと甘さを愉しみましょう。
「シンガポールスリング」など、チェリーリキュールを使ったカクテルもたくさんあります。

※詳しい情報はこちら

すべてのお酒は3種類に分類できる

ひと口に「お酒」といっても、世界中には数えきれないくらいたくさんのお酒があります。
「全て理解するなんて無理。。。」と思っていませんか?
でも、少しお酒について知っていると、飲む相手との会話が弾んだり、お酒の選び方が増えて、愉しみが広がっていくのです。
今回はお酒を知るためのスタート地点として「お酒の3つの分類」についてご説明します。
世界中の全てのお酒は、3種類に分類することができます!
お酒について考える時は、まずはじめに「このお酒は3種類の内、どこに分類されるか」ということから考えていくことをおすすめしています。

【お酒の3分類】
①醸造酒
②蒸溜酒
③混成酒

※誕生した順序に①~③としています。

私がお酒の講座でお話をする時には、必ずこの説明から始めます。
まずこの3種類から始めて、そこから詳しくお酒を体系的に分類することできれば、どんなお酒でも理解できるので無敵です!
さらに詳しい分類については、今後順番にご紹介していく予定です。

人類最古の酒「醸造酒」

★醸造酒は、アルコール度数が低い(10%~20%程度)お酒です。
★主な醸造酒 ※()は原料
ミード(はちみつ)
ワイン(ぶどう)
ビール(麦) 日本酒(米)

★醸造酒とは?
「醸造」とは、発酵作用を利用してアルコール飲料や食品を製造すること。身近な食品では、醤油や味噌が「醸造」によって出来る物です。
原料に糖分が含まれていれば(ぶどうや蜂蜜など)、自然界にある野生酵母が作用することによって、自然にアルコール変化が起こり、お酒になることがあります。人類最古のお酒がワインやミードといわれているのはそのためです。日本酒やビールのように原料に糖分を含んでいない場合は、原料を糖に変化させる「糖化」という工程が必要です。

★醸造酒の歴史
人類が初めて出会ったお酒は「醸造酒」です。醸造酒は、人の手間を加えなくても自然に出来る「お酒」です。 詳しくは、以前の記事「人類とお酒が出会った瞬間」でご紹介していますのでぜひご覧ください。

お酒は、人々が生きていくための工夫の中で自然に(偶然に)出来たものといえます。

例えばビールの場合、人々が麦を美味しく食べるために、砕いたり水を加えたりしていました。そうすることで自然に「糖化」されたのです。そして食べていたものが余ったり保存している時に、そこに自然界にある、今でいう野生酵母が加わることで、発酵作用が起こりビール(のようなもの)が誕生したと考えられるのです。

人類の経験と技術から生まれた「蒸溜酒」

★蒸溜酒は、醸造酒を蒸溜したもので、アルコール度数が高い(40%前後)お酒です。
★主な蒸溜酒 ()は原料
ウイスキー(穀物)
ジン(穀物)
ウオッカ(穀物)
ラム(糖蜜)
アガベスピリッツ/テキーラ/メスカル(アガベ)
焼酎(米、麦、芋、そばなど)

★蒸溜酒とは?
醸造酒を蒸溜したものが「蒸溜酒」です。
私が蒸溜酒について分かりやすくおおまかに説明をする時には
【ぶどうから「ワイン」(醸造酒)→ワインを蒸溜・熟成すると「ブランデー」(蒸溜酒)になる】
【大麦麦芽から「ビール」(醸造酒)→ビールを蒸溜・熟成すると「モルトウイスキー」(蒸溜酒)になる】という例でお話しすることが多いです。※厳密には異なる点もあります。
「蒸溜」とは、混合物を一度蒸発させ、後で再び凝縮させることで、沸点の異なる成分を分離・濃縮する技術です。
身近な物だと、植物の香りを楽しむ「エッセンシャルオイル(精油)」を作る時にも蒸溜という方法が使われています。その他にも医薬品、農薬、香料、電子材料等の開発に蒸溜技術が活用されています。
お酒の場合には、醸造酒を蒸溜して沸点の低いアルコールを分離することで、アルコール度数の高いお酒(蒸溜酒)を造ります。
蒸溜酒はアルコール度数が高いため、長期保存が可能です。
蒸溜することでで、原材料由来の糖質等の成分が取り除かれるため、最近では『糖質の少ないヘルシーなお酒』としての人気が高まっています。

★蒸溜酒の歴史
人類はお酒(醸造酒)と出会い、栄養補給や気分を高揚させるためにお酒を飲み、造るようになりました。しかし、醸造酒には「長期保存ができない(腐りやすい)」という欠点がありました。そんな経験の中から登場したのが「蒸溜酒」です。
「蒸溜器」はメソポタミア文明の頃から存在していたことが分かっていますが、はじめは香水などを作るために使われていて、蒸溜酒を造る技術が確立されたのは、中世の錬金術師によるといわれています。
蒸溜酒は、最初は薬として飲まれることが多かったのですが、大航海時代になると、腐ってしまいやすい醸造酒に代わるお酒としても、広く飲まれるようになっていきました。

バリエーション豊かな「混成酒」

★混成酒は、アルコール度数が低いものから高いものまであります。


★混成酒とは?
醸造酒や蒸溜酒に、糖分やアルコール、果実、植物の皮、薬草、ハーブ、香辛料、香料などを加えたものが混成酒です。日本で身近なモノでは、「梅酒」があります。他には薬草を漬け込んだ「薬酒」や、カクテルによく使われる「カンパリ」「コアントロー」「アマレット」なども有名です。基本的に原料や製造方法は自由です。

★リキュールについて
「リキュール」という言葉が使われることもありますが、狭義では「リキュール」というと“蒸溜酒”に果実やハーブなどを加えたものを指しています。厳密な定義については、国によって異っているので商品を見る時には注意が必要です。ちなみに日本の酒税法でのリキュールの定義は、「酒類と糖類等を原料とした酒類で、エキス分が2%以上のもの」となっています。
リキュールは一般的に4つに分類されます。(ハーブ系、果実系、ナッツ・種子系、特殊系)

主な商品
・ハーブ系:ドランブイ 、アイリッシュミスト、シャルトリューズ ヴェール(グリーン)、ジョーヌ(イエロー)、カンパリ、ペルノ
・果実系:コアントロー、グランマルニエ、リモンチェロ、ヒーリングチェリーリキュール、スロージン
・ナッツ・種子系:ディサローノアマレット、フランジェリコ、ゴディバチョコレートリキュール、カルーアコーヒーリキュール
・特殊系:ベイリーズオリジナルアイリッシュクリーム、モーツァルトチョコレートクリームリキュール、ワニングスアドヴォカード

  • 株式会社ホスピタリティバンク代表取締役 ホテルバーテンダーから料飲支配人、新規ホテル開業準備室長、運営などをてがけ26年間ホテルに勤務。2008年より株式会社ホスピタリティバンク代表取締役に就任。バー開業コンサルティングなどを手がけ酒類関連団体の顧問、理事を歴任し国内外で講演、セミナーを行っている。ウイスキーバープロデュース・運営(2017-2019)を行う。 シャンパーニュ騎士団「シュバリエ」、ベルギービールプロフェッサー、日本伝統濁酒学博士などの称号を持つ。 2015年からは「橋口孝司 燻製料理とお酒の教室」にてセミナーの開催や、ウイスキーを愉しむイベント「ザ・シークレットバー」も銀座と西麻布にて定期的に開催している。 「ディスティラリーパッケージ1992」を皮切りに、「ウイスキーの教科書」「カクテル&スピリッツの教科書」「本格焼酎名酒事典」「ビジネスエリートが身につける教養 ウイスキーの愉しみ方」などを執筆、「世界のウイスキー図鑑」「世界のベストウイスキー」「ハリウッドカクテル日本語版」などを監修。ウイスキー、カクテル、スピリッツを中心に酒類に関する執筆・監修は26冊以上。 Webでは、「たべぷろ」にて執筆(https://tabepro.jp/author/hashiguchi) 「江崎グリコ お酒の話」を監修(https://jp.glico.com/osake/index.html)
  • https://www.hospitality-bank.com/