菊池雅之のミリタリーレポート
陸自最強部隊!第1空挺団とは?
降下訓練はじめ 前編


UH-1Jのスキッドに前身ギリースーツの隊員が銃をかまえて立つ。降着後は草むらに身を隠し狙撃手となる。

今年も一般公開中止…!

 自らを「精鋭無比」と自負する陸自最強部隊、それが第1空挺団です。この部隊の最大の戦術が“奇襲”です。航空機からパラシュート降下し、敵をせん滅、またはかく乱し、戦闘を優位します。

 そのため、第1空挺団へと配属されると、幹部、陸曹(いわゆる下士官)関係なく、必ず陸自で最も過酷と言われる空挺レンジャー課程教育を受けなくてはなりません。こうして、胸に空挺徽章、そしてレンジャー徽章を掲げる「空挺レンジャー」となります。

訓練を視察する陸上総隊司令官・前田忠男(写真中央)。その脇にいるのは第1空挺団長・堺一夫陸将補。空挺隊員たちはみなブラックベレーを被っている。

 第1空挺団は、陸上総隊直轄部隊です。団本部及ぶ団本部中隊、第1~第3普通科大隊、空挺特科大隊、空挺後方支援隊、通信中隊、施設中隊、空挺教育隊という編成となっており、空挺団長をトップに約1900名の隊員が所属しています。なお、空挺隊員は、黒いベレー帽をかぶることになりました。米軍の特殊部隊(1st FSC)が緑色のベレー帽をかぶっていることに因んで、“グリーンベレー”と呼ばれるように、今後、“ブラックベレー”とした略称を使うことになるかもしれませんね。

 戦闘のプロフェッショナルたる第1空挺団による訓練の一端を垣間見ることが出来るのが、毎年1月に実施している「降下訓練はじめ」です。これは、1年間の降下安全を祈願する部内の年始行事「開傘祈願祭」として、1969年から始まりました。これを1974年から一般公開することにしました。より国民に理解を深めてもらおうと、空挺降下訓練だけでなく、戦闘訓練展示も合わせて行われるようになりました。

例年多くの人を集める大人気イベントです。それこそ熱心な自衛隊ファンの方であれば、北海道や沖縄など全国からやってきます。

 …が、コロナ禍の今、感染予防の観点から、2021年の一般公開は中止となってしまいました。「次こそは是非!」と多くのミリタリーファンは熱望しました。

そして、2022年1月13日。今年こそは!と言いたかったところですが、やはり一般公開は中止。なんとも残念です…。

島嶼奪還作戦を展開!

 まずは、空挺団長をはじめ、各指揮官による降下から始まります。

その後は、訓練は島嶼奪還を目的とした一連のシナリオに沿って進んでいきます。敵の侵攻を察知し、海上自衛隊の哨戒機P-3C、陸自の連絡偵察機LR-2が偵察飛行を行いました。

日本の島嶼部に近づく敵艦艇等を発見する哨戒機P-3C。潜水艦捜索能力にすぐれている。

 先陣を切る隊員たちは、目立たぬように、高高度からフリーフォールで降下していきます。コントロールがしやすい四角いMC-4という落下傘を用いて、隠密裏に降下しました。引き続き、スナイパーや斥候が、多用途ヘリUH-1Jにて降下。ここから息をも付かせぬスピードで次々とヘリボン作戦が繰り広げられていきます。車両や120㎜重迫撃砲などは、大型輸送ヘリCH-47JAチヌークで運びます。こうした輸送ヘリは敵から狙われやすいので、対戦車ヘリAH-1Sコブラが敵を発見次第攻撃していきます。こうして、しっかりとコブラに守られる中、ヘリボン作戦が展開されていきます。

第1空挺団の人員や車両などを運ぶ大型輸送ヘリCH-47JAチヌーク。陸上総隊隷下の第1ヘリコプター団の所属機。

 偵察用オートバイや軽装甲機動車、中距離多目的誘導弾など車両や装備が次々と演習場へと展開していきます。120㎜重迫撃砲もしっかりと陣地を構築。このスピーディな流れから練度の高さを垣間見ることが出来ます。

上空から敵戦車や装甲車を攻撃していく対戦車ヘリAH-1Sコブラ。戦闘能力が低い輸送ヘリの頼もしい用心棒。
戦車から上陸用舟艇まで、海空様々な敵と戦うことができる中距離多目的誘導弾。通称“中多(ちゅうた)”。
2019年3月、多賀城駐屯地にあった第22普通科連隊を改編し、新たに誕生した第22即応機動連隊。その中の機動戦闘車隊に配備されている16式機動戦闘車。

 また、敵戦車や装甲車をせん滅するため、16式機動戦闘車も登場しました。初動対処部隊として、第1空挺団とともに、日本各地の即応機動連隊も迅速に展開します。今回は、多賀城駐屯地(宮城県)に拠点を置く第22即応機動連隊が第1空挺団を火力支援しました。

 そして第1空挺団と言えば、やはり航空機からの空挺降下です。その模様につきましては次回お伝えしましょう。

  • 軍事フォトジャーナリスト.。1975年東京生まれ。日本写真芸術専門学校卒業。講談社フライデー編集部専属カメラマンを経て軍事フォトジャーナリストとなる。主として自衛隊をはじめとして各国軍を取材。また最近では危機管理をテーマに警察や海保、消防等の取材もこなす。夕刊フジ「最新国防ファイル」(産経新聞社)、EX大衆「自衛隊最前線レポート」(双葉社)等、新聞や雑誌に連載を持つなど数多くの記事を執筆。そのほか、「ビートたけしのTVタックル」「週刊安全保障」「国際政治ch」等、TV・ラジオ・ネット放送・イベントへの出演も行う。アニメ「東京マグニチュード8.0」「エヴァンゲリオン」等監修も行う。写真集「陸自男子」(コスミック出版)、著書「なぜ自衛隊だけが人を救えるのか」(潮書房光人新社)「試練と感動の遠洋航海」(かや書房) 「がんばれ女性自衛官」 (イカロス出版)、カレンダー「真・陸海空自衛隊」、他出版物も多数手がける。YouTubeにて「KIKU CHANNEL」を開設し、軍事情報を発信中
  • https://twitter.com/kimatype75

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