燃料少食でも装備は太っ腹!ヤリスクロス HYBRID Z


 本誌879号(10月2日号)はハイエースの特集。走りよし、使い勝手よし、お値段よしと3拍子揃った無敵のワーキングビークルでもある。そしてそれはプレジャーやワーケーションベースとしても大ヒット中だ。大ヒット車といえば、そうヤリスである。なんせ今年上半期の新車販売ランキングでは首位を走り、派生モデルのヤリスクロスやGRヤリスを含めて11万台以上を売り上げている。特にコンパクトSUV市場はプレミアムブランドからもリリースされるほど熱い市場なれど、その中でもヤリスクロスは圧倒的だ。流行りモノを追うモノマガとしては、やはりヤリスクロスは外せない1台。なぜそんなにあなたは売れているの? という理由を探るため実際に乗って使ってみた。筆者、SUV人気で売れているモノだと斜め45度目線で見ていたが、ジツはコスパ抜群のいいクルマだったのだ! 何がそんなにいいのかをご紹介。

 ヤリスクロスは車名の通りヤリスをベースにしたコンパクトSUVだが、対面するとなかなかな大きさ。ヤリスと違い3ナンバーサイズのボディに樹脂製の前後フェンダーはSUVの力強さを表現している。昔の話で恐縮だが贅沢税と言われた物品税を知っている世代なら「3ナンバー」のクルマが新車で200万円しないのは超バーゲンプライス。同車のエントリーモデルはナント179万8000円からなのだ。3ナンバー=大きくて取り回しがメンドーかも、というイメージだがヤリスクロスは最小回転半径5.3m。数字だと伝わりにくいが、狭い路地やスーパーの駐車場で困ることは皆無。

ヤリスと同じデザインだが高いアイポイントの運転席は見晴らしもいいし、エントリーモデル以外に標準装備のインテリジェントクリアランスソナーは壁など静止物の接近を表示とブザーで警告、場合によってはブレーキの制御もしてくれる。要は取り回しがラクなのだ。もちろんオプションで高度駐車支援システム、トヨタアドバンストパークもハイブリッドモデルには用意されているから車庫入れに絶対的拒絶反応的苦手意識があるならそれを考えてもいいのかも。

 室内空間はヤリスに比べて240mm長い全長のおかげでヤリスより広く、狭いと言われているヤリスの後席よりも大人がキチント座れるようになっている。が、大人4人で本格的にキャンプやゴルフといった使い方、つまりは荷室満載で長距離ドライブのような使い方だと後席への気遣いをしたいところ。

ちなみに荷室の広さは9.5インチサイズのゴルフバッグは何の工夫なしに横向きに置ける広さだ。また荷室のデッキボードは意外に使い易く、リアシートを倒せばフロントタイヤを外す前提だが27インチサイズのMTBも積載可能。ゆえに趣味のトランポにも使える。後席背もたれはグレードにもよるが6:4か4:2:4で分割可倒式を採用。

 ではそろそろ試乗車のハイブリッドZ(FF)を走らせてみんべかな、とシート合わせをしようとしたらなんとパワーシートのスイッチがあるではないか!

 運転席のパワーシートはガソリン、ハイブリッドモデルのZグレードに「標準」装備。さらに前席にはシートヒーターまである。加えて試乗車にはZグレードに1万1000円でオプション設定のステアリングヒーターが装備されていた。このテの装備を持つ、あるいはオプションで設定されるのはもう1クラス、2クラス上のモデルになるのだが、ヤリスクロス侮れぬ。なんというバーゲンプライス。さらにホールド可能な電動パーキングブレーキも気前よく全グレードに標準装備。

またガソリンモデルの4WD車には路面状況に応じて駆動力や、4WD、ブレーキなどを制御する走行支援システム、マルチテレインセレクトも標準装備ときている。車両本体価格で300万円以下というのに豪華装備がてんこ盛り。まさに市場の海鮮丼状態で「奥さん、これもつけちゃうよー」ってな具合なのだ。先進安全装備のトヨタセーフティセンスはエントリーグレードのBパッケージ以外は標準装備。ほとんどのグレードに全速域追従制御やレーンキープもつく。繰り返しになるけど車両価格300万円以下なのに。それでいて購入後も維持費がかからないよう、高燃費だしエコカー減税やらもある。うーむ、侮れぬゾ。

 さて走り出すと、ヤリスのそれよりも明らかにオトナの印象だ。試乗車がハイブリッドモデルだったからではなく、同じハイブリッドのヤリスだとエンジンがかかっている状態は明らかな振動でわかる(エンジンを感じられる)のだが、ヤリスクロスは振動も音も少なくなっている気がする。つまりは高級っぽいのだ。それでいてヤリス譲りのキビキビしたハンドリングも健在。試乗車のパワーユニットは1.5リッターの直3にモーターを組み合わせたモノ。

1.5リッターの直3にモーターを組み合わせたモノ。でもこのサイズだとなぁ、とお思いの読者の皆様、ヤリスクロスは意外に車重が軽く、試乗車のハイブリッドZで1190kgしかないのだ。パワーモードを駆使すればよほどでない限りパワー不足は感じれらないハズ。高速道路の120km/h区間も難なく流れをリードできるが、オススメは80km/hくらいで流している方がキャラに合うと思う。特に燃費はその速度で流せばカタログ燃費に近い数値になる。ハイブリッドモデルなら燃料を満タンにしてもたった36L(ハイブリッドモデル)しか入らない少食志向なのだ。最近の高値安定傾向のレギュラーガソリンをリッター160円計算で入れても5760円で満タンに。お財布にも優しい。またクロスを名乗る以上、未舗装路だって最低地上高170mmとシティ派SUVと考えれば立派な値だ。前出の通りガソリンモデルの4WDもあるし、トヨタコンパクトSUVで初設定になったハイブリッドの電気式4WDも選択可能となっている。

 そしてハイブリッドモデルの特権でもあるAC100Vのオプションはアウトドアでの活躍どころか非常時にも頼りになる。1500W以下の家電、燃料満タン、消費電力400Wの条件ならば、なんと5日間もクルマが給電してくれるのだ。お洒落な独身貴族からヤングな夫婦やヤングハートを持つ子育て卒業世代の皆さん、ヤリスクロスが売れている理由は単にSUVが流行っているからではなかったのだ。ちなみにお値段は179万8000円からで、ハイブリッドモデルは228万4000円から。

ヤリスクロス HYBRID Z(2WD)

全長×全幅×全高4180×1765×1560(mm)
エンジン1490cc直列3気筒
最高出力91PS/5500rpm
最大トルク120Nm/3800-4800rpm
モーター最高出力80PS
モーター最大トルク141Nm
WLTCモード燃費27.8km/L
価格258万4000円〜

トヨタ https://toyota.jp/
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  • 自動車ライター。専門誌を経て明日をも知れぬフリーランスに転身。華麗な転身のはずが気がつけば加齢な転身で絶えず背水の陣な日々を送る。国内A級ライセンスや1級小型船舶操縦士と遊び以外にほぼ使わない資格保持者。

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