ランバラルが惚れた? 見目麗しの貴婦人

 実際のところ致し方ないと思うのだが今や絶滅危惧種に指定されてもいい雰囲気の大排気量NAで後輪を駆動するスポーツカー。その中でもデビューから10年超選手で次期型のプロトタイプも発表されたフェアレディZは国産スポーツの王道中の王道だ。これはZのラインナップでもとびきりのNISMOに乗ったある男の物語である。

 現行のZ34型フェアレディZのデビューは2008年。当時のスカイラインクーペのアーキテクチャーがベースになっているがホイールベースなどはZ専用でほぼ新設計だったという。月日は流れて2020年。次期型Zのプロトタイプが発表され、Zが続くことに安堵したファンは多いはず。しかし次期型も大排気量のNAが搭載されるかは未知数ゆえ、古典的(失礼)スポーツカーの王道を味わうならば、おそらく最後なのかもしれない。
 試乗車は日産の誇るスポーツカー、フェアレディZ。しかもNISMOである。

もうこの時点でアドレナリンが溢れ出し、ランバラル大尉(アニメ機動戦士ガンダムのキャラクター)のごとく「Zとは違うのだよ、Zとは!」とNISMOのエンブレムを見てにやけてしまう。あくまでもNISMOなのだ。それもエクステリアを見ればわかっていただけると思う。赤く塗られたひげ状のフロントスポイラーとデイライトが取り付けられたエアスクープ付きのバンパー、同様のリアバンパーやサイドシルプロテクターなど全てが専用装備品。そして控えめながらもリアスポイラーの存在。完全にサーキット専用的なギラギラ感がないのもカッコイイ(実際はサーキットユースも考慮されているが)。

フェアレディZ NISMO
フェアレディZ NISMO

 室内はレカロと共同開発したバケットシートがまずこのクルマの性能を物語る。

フェアレディZ NISMO

そこに体を預けると目の前にはタコメーターが見やすい位置にあり、Zのアイデンティティでもあるダッシュボードの3連メーターも鎮座する。

フェアレディZ NISMO

搭載されるエンジンは3.7リッターのV6DOHC。NISMOのそれは通常の336PS/365N・mよりも高出力の355PS/374N・mを発揮する。

フェアレディZ NISMO

スタートボタンを押してエンジンに火を入れるとV6のいい音がする。発進しようとシフトノブに手をかけると微かな振動が伝わってくる。「この音、この振動こそスポーツカーよ」と思わずにやけながら呟いてしまう。
 走ればそこはスポーツカーの王道中の王道、大排気量FRである。動きが全てスムーズ。アクセルを踏めば即座にギャン! と吹け上がり離した時の回転落ちも滑らか。旋回も同様だ。カーブのRを読んでステアリングを切り込むとフロントは間髪入れずにインに向かう。ありきたりな表現だけど切った分だけ曲がる。さらにFRの醍醐味でもある立ち上がりの加速もしっかりとトラクションがかかる。曲がることが楽しいと感じれる。またそんなに普段からいいコーナーがなくったって大丈夫。Zはストレートを加速していくのだって気分を高揚させてくれる。
 「見事だな。だが自分の力でできたのではないぞ、そのクルマの性能のおかげだということを忘れるな!」と言われるMTモデルに設定された絶妙なタイミングで回転を合わせてくれるシンクロレブコントロールも噂ほど悪くない。乗り手のその時の気分でオフに出来るのは大歓迎だ。
 乗り心地もそのイデタチが解き放つオーラほど悪くない。街乗りからたまにサーキットユースといった使い方のギリギリラインがZ NISMOなのだ。これ以上本気になったら街乗りは厳しい。筆者のような庶民のど底辺でも頑張れば買えそう、と夢を見られる価格もいい。見目麗しの貴婦人は体育会だった。

フェアレディZ NISMO(6MT)
価格640万9700円
●全長×全幅×全高:4330×1870×1315(mm)●エンジン:3.7リッターV型6気筒DOHC●最高出力:355PS/7400rpm●最大トルク:374N・m/5200rpm●WLTCモード燃費:8.4km/L

日産自動車 http://www.nissan.co.jp/
問日産自動車お客様相談室 0120-315-232

  • 自動車ライター。専門誌を経て明日をも知れぬフリーランスに転身。華麗な転身のはずが気がつけば加齢な転身で絶えず背水の陣な日々を送る。国内A級ライセンスや1級小型船舶操縦士と遊び以外にほぼ使わない資格保持者。