【自動運転の今を体験 SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)試乗会 1/2】スバル レヴォーグSTiスポーツEX


 内閣府が中心となって関係府省や機関が連携して推進する戦略的イノベーション創造プログラム、SIP。その試乗会が行われた。え? 何の試乗会だって? 乱暴に表現すると自動運転の実証実験プロジェクトなのだ。会場のお台場にはトヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業、スバルといった自動車メーカーの他にコンチネンタルやヴァレオ、自動運転のソフトウェアを開発するティアフォー、金沢大学が軒を連ねていた。

 自動運転といえばホンダ•レジェンドがレベル3を実現したことで話題になったが、このモデル、価格もさることながら販売台数も限られているのが残念な部分。そこで販売台数の限られていないメーカーのモノを体験すべく、スバルブースに突撃。なぜスバルブースなのか? ハンズオフ機能搭載のアダプティブクルーズコントロール(以下、ACC)といえば日産のスカイラインだけだと思っているユーザーに数日前に出会ってしまったから、という単に個人的な理由。大変申し訳ありません。(担当注:あとでキツく言っておきます)そうなのです、カーオブザイヤーに輝いた現行のレヴォーグにもEXのつくグレードにはハンズオフ機能を搭載したACCを増備しているのだ。

 というわけで試乗スタート。試乗コースは首都高湾岸線から横羽線に入り、大黒線を経由して湾岸線で都内に戻ってくるルート。高速の入り口までは自分で運転。法定速度でもRをクリアしていくレヴォーグってホント出来がいい。低重心のエンジン、高剛性のボディ、シンメトリカルAWDの安定感、良く出来たクルマは少し動かせばわかる、と言われる理由が分かる気がする。唯一の不満は多くのユーザーが燃費といわれているが。

 さて、無事に高速へ合流し、いよいよアイサイトXを試す時。試乗時の湾岸線は交通量が多く、おおよそ50km/h後半から80km/hくらいの速度域でで流れていた。ちなみにアイサイトXの自車位置を把握するのには準天頂衛星「みちびき」やGPSなどからの情報と3D高精度地図データを組み合わせたモノを使用。それにステレオカメラやレーダーがタッグを組んでいる先進安全装備なのだ。話を戻そう、無事高速に合流し、早速ACCのスイッチをオン。まずここでクルマのアクセルワーク(?)に感心するはず。筆者もそうだったから。それは先行車の加減速、特に湾岸線は合流や東京港トンネルの傾斜で車速が一定しないといった酷な条件でもキチンと車間を保つだけでなく、その加減速がスムーズなのだ! 頭が前後に揺さぶられない。しかも減速時はGに応じてブレーキランプを点灯させる、つまり無駄なブレーキランプの点灯をしないという! 無駄なブレーキで渋滞が誘発されるのは広く一般に知られるところ、さすがアイサイトX。加速もレッツ猛ダッシュ的なキックダウンにもならないのも違和感を覚えなくていい。

 次に試したのはアクティブレーンアシスト。自動車専用道路で高速走行中(70-120km/h)にドライバーが深くウィンカーを操作し、システムが可能と判断するとステアリングを制御して車線変更のアシストをしてくれるというモノだ。

 ステアリング操作は切り始めるタイミングなど必要だがほぼクルマが行ってくれる。これがまた巧いのだ。湾岸線は大型トラックが多く、路面のワダチが顕著な部分が多い。その中で車線変更すると上手なドライバーはステアリングワークの他に微妙なアクセルコントロールで極力クルマの揺れを抑えようとするが、このシステムも同様。むしろアクセルを踏んでいない(ACC作動中)分、そのスムーズさに違和感を感じるくらい。それに慣れると楽チンすぎて一般道に降りた時にアクセルを忘れそうな気配さえあるほど(笑)。またワダチのない路面でもスムーズ。

 筆者素直にこの感想を同乗してくれたメーカーの方に伝えたところ「クルマそのものの出来がいいから相性がいいんですよ」と。そうか、レヴォーグの素性の良さというところか。また「これが背の高いクルマでテストをすると違いますよ」と。そういえばスバルのフォレスターはまだこの車線変更機能は未装備だった気がする。こうして往路は終了、復路は後編へ。 

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  • 自動車ライター。専門誌を経て明日をも知れぬフリーランスに転身。華麗な転身のはずが気がつけば加齢な転身で絶えず背水の陣な日々を送る。国内A級ライセンスや1級小型船舶操縦士と遊び以外にほぼ使わない資格保持者。

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