[#034]SIHHで異彩を放ったロジェ・デュブイ

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文/香山知子/『世界の腕時計』編集長

エクスカリバー ターブル ロンド
「エクスカリバー ターブル ロンド」。裏蓋の中央にはラッカー仕上げの紋章を施し、周囲には伝説の誓約が刻まれている。予価1428万円。世界限定88個。


1月21日(月)から25日(金)まで、ジュネーブで第23回SIHH(国際高級時計サロン)が開催された。出展ブランドはカルティエ、オーデマ・ピゲ、ヴァシュロン・コンスタンタン、パネライ、リシャール・ミルなど16社。各社、複雑時計で技術開発力を競い、その一方で宝飾やエナメル、彫金などの伝統的工芸技法を生かしたモデルで美の競演を繰り広げ、いつもに増して華やかな新作発表会となった。

なかでもロジェ・デュブイはアーサー王の伝説からイメージした「エクスカリバー」の世界観を展開した。アーサー王は6世紀にブリトン人を率いてサクソン人の侵攻を撃退したと言われる伝説上の人物。エクスカリバーはアーサー王の聖剣を意味し、冒険心と大胆さにあふれた戦士の世界を時計で表現することを試みた。そして複雑時計では姿勢差が精度に及ぼす影響を解消するために4つのテンプを備えた「エクスカリバー クアトゥオール」を発表。7年の研究開発期間を経て完成したムーブメントは、ロジェ・デュブイの大胆な挑戦の表現でもある(この時計の詳細は、『世界の腕時計』No.114をご参照ください)。

そしてもうひとつ、多くの人の注目を集めたモデルがアーサー王の円卓の騎士を文字盤で表現した「エクスカリバー ターブル ロンド」だ。ゴールドで鋳造し、手作業で細かい細工を施した、剣を手にする12 人の騎士が、エナメルで作られた円卓を囲んでいる。騎士の高さは7mmにすぎない。ルーペを通して見ると、騎士も円卓も、その風合いは見事で、直径45mmのローズゴールド・ケースのなかの芸術作品にほかならない。もちろん時計としても機能し、ジュネーブ・シールを取得した自動巻きムーブメント、RD821を搭載する。

ロジェ・デュブイは1995年に創業した若いブランドながら、他と一線を画した大胆なデザインで評価されたきた。2008年にリシュモン グループ傘下となり、品質向上を含め、高級機械式時計の技術を高め、今日ではすべてのムーブメントにジュネーブ・シールを取得している。今年は技術面のみならず、伝統的な芸術美の点でも独自性を表現した年となった。

ロジェ・デュブイが描きだす「ウォリアー(戦士)」の世界
2013年のテーマとなった「エクスカリバー」はロジェ・デュブイが描きだす「ウォリアー(戦士)」の世界。騎士たちの高貴な精神に通じる創作意欲が革新的かつ高度な専門性をもつ高級時計を生み出したという。

エクスカリバー クァトオール
「エクスカリバー クァトオール」。手巻きムーブメント、RD101を直径48mmの18Kローズゴールド・ケースに搭載する。大胆にカットアウトした文字盤の9時位置にパワーリザーブ表示を備える。パワーリザーブ約40時間。ジュネーブ・シール取得。予価3717万円。世界限定88個。