
ERジャパンは広島県福山市にある、家電量販店エディオンの “循環型社会モデル” を実現する中核企業だ。社名は家電(Electronics)のリユースおよびリサイクル事業(Reuse・Recycle)を国内(Japan)で行う事から命名。エディオンの「買って安心 ずっと満足」というコーポレートメッセージのもと、販売した製品の “出口責任” を果たすために回収・再資源化を強化している。その実働部隊がERジャパンであり、エディオンの循環型社会構想を現場で具現化する専門企業である。



福山市は、江戸時代に水野勝成(みずのかつなり)が福山城を築いたことに伴って発展した城下町。福山駅から南へ車で約20分、瀬戸内海を前にしたERジャパン福山工場は、敷地面積 約19,700㎡(約6,000坪)、工場延床面積 約5,590㎡(約1,700坪)。地方都市のリサイクル工場としてはかなり大きく、月間約2000トンの小型家電を処理できる能力を持つことからも、敷地の広さと設備密度の高さがわかる。
エディオンがつなぐ『買って安心 ずっと満足』の循環
エディオンでは、商品性能テスト研究所で対象商品の安全性や操作性などを確認して、店舗で販売される。その後、買い替えや使用済みとなった大量の小型家電がグループ物流を通じてERジャパンへ集荷され、分解・選別されて資源として再び循環に戻される。この一連の流れが、エディオンの“販売から循環まで”を自社完結させる強みとなっている。
エディオン 商品性能テスト研究所


商品性能保証監査部 商品性能テスト研究所という他の大手量販店ではあまり見られない部署が兵庫県尼崎市にある。約40種類のテスト機器を備え、「安全性、耐久性、実用性」などの基本性能に加え、カスタマーの視点にたって「操作ボタンの押しやすさ」や「作動音の静かさ」などテストを行っている。店頭に製品が並ぶ前の製品チェックを行っている。
エディオン「e angle(イーアングル)」PBブランド開発


エディオンのPBシリーズ「e angle」。おしゃれで可愛らしく、新生活を始める部屋やキッチンのインテリアに自然と溶け込む家電だ。価格はすべて手に取りやすい設定で、まさに “お財布に優しい” シリーズといえる。時代のトレンドである “くすみカラー” を前面に押し出したビジュ家電で、見た目の可愛さだけでなく、機能面も十分に備えている。新商品を購入すれば必然的に廃棄される商品も生まれる。
エディオン全国1,180店舗の販売網


企画開発、製品化された何十万点の家電製品は、全国1,180店舗で販売されている。家電の技術進歩は新商品への買い替え需要を促し人の生活を豊かにする。その反面今使っている家電が買い替えとともに不要になってしまうのも事実だ。家電の “最終章” が始まる場所エディオンの店頭には、レジやサービスカウンターで係員に直接手渡す対面で不要家電のリサイクル回収を行なっている。役目を終えた機器たちが、ここで “廃棄物” から “資源” へと立場を変える。店頭スタッフは、回収された機器をバーコード管理し、種類・状態・危険物の有無を確認したうえで専用コンテナへ収納する。
ERジャパン全国の店舗から集まる製品リサイクル


エディオン店頭で回収した小型家電をERジャパンが再資源化。全国の店舗で小型家電の店頭回収を実施。その回収品をERジャパンが受け入れ、破砕・選別し、有用資源へ再生している。回収された小型家電は、10tトラックで毎日ERジャパンの工場に運び込まれる。
小型家電リサイクル法に基づいて、家電リサイクル法対象の4品目(テレビ、エアコン、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・乾燥機)を除くほぼ全ての電気機械器具を対象とし、国の認定を受けた業者(認定事業者)等が使用済小型家電を広域的に回収・処理することで、小型家電の再資源化を促進する制度だ。それを行っているのがERジャパン!さっそく工場内へ。

ERジャパンの現場に潜入


日本国内で排出される小型家電は年間約60万トン。その内部には、金・銀・銅・パラジウム・レアメタルなど、希少資源が眠っている。

これらは「都市鉱山」と呼ばれ、世界的に注目される資源だ。ERジャパンは、この “見えない資源” を再び社会へ戻すための拠点だ。その内部を歩くと、循環型社会のリアリティが立ち上がってくる。


保管エリアへ進むと、整然と積まれた家電が視界に広がる。専用ラックに収められたパソコン、タブレット、プリンター。それらはすべて、役目を終えた “都市鉱山” だ。ERジャパンが掲げる 「安心して任せられる保管施設」 の象徴的な空間であり、以下のような体制が敷かれている。
情報機器は専用区画で厳重管理


人の技術が素材を解きほぐす “都市鉱山の手仕事”。作業台が規則正しく並び、スタッフが小型家電をひとつずつ手作業で分解していく。ここは、機械化が進む現代の工場の中でも、人の技術が中心にある工程だ。






スタッフの手元を見ていると、分解は単なる “壊す” 行為ではないことが分かる。製品ごとに構造が異なるため、経験と判断力が求められる。ネジの種類を瞬時に見分ける、基板を取り外す、バッテリーを安全に分離する、樹脂・金属・ガラスを正確に分類する、ケーブルやコネクタの材質を見極める。PCは特に個人情報などが含まれる可能性があるため、ハードディスク(HDD)などのデータは、専用ソフトによる消去や物理的破壊で処理する。
※エディオン以外にも、法人向けにPC・タブレット・スマホのデータを専用ソフトや物理破壊で安全に消去し、情報漏洩を防止。周辺機器も回収し、リユース・リサイクルで環境に貢献。官公庁・企業・教育機関など幅広く対応している。



エアコンの配管リサイクルは、単なる廃材処理ではなく、素材を未来へつなぐ作業だ。写真に写る一瞬の手元にも、職人の技術と資源循環の思想が宿っている。こうした現場の積み重ねが、都市のサステナブルなインフラを静かに支えている。ただの廃棄配管ではない銅管だ!
破砕・選別ラインは巨大機械が素材の純度を取り戻す工程だ


大型のものは重機で破砕機へ直接投入され破砕される。その後、ベルトコンベアで2階へ運ばれ、専用の装置で鉄が選別される。巨大な破砕機が稼働するエリアは、工場内でもっとも迫力のある空間だ。


破砕機は、高トルクの刃がゆっくりと回転しながら家電を噛み砕く構造になっている。高速回転ではなく “低速高トルク” である理由は、素材を飛散させず、確実に破砕するためだ。粉砕されたものは人の目と手によってさらに分別される気が遠くなる作業だ。素材は見た目が似ていても “重さ” や “反射” が違う、ハイテクの機械は見逃しても人間は見逃さない。


手選別されたものはベルトコンベア横の投入口から下の集積場所へ落下させ、さらに近赤外線センサーによって樹脂の素材を識別し、プラスチックの精密な選別を行う。



選別された金属類は、再度、別の破砕機(竪型破砕機)に投入され、さらに細かく破砕される。破砕された後、磁力選別で鉄を引き寄せ、渦電流でアルミをはじき出す。そして、最終的に排出される電子基板類には、金、銀、銅、レアメタルが含まれている。

それらは、高度な抽出技術を備えた精錬会社へと出荷され、新たな素材として生まれ変わる。これこそが新しい資源の誕生である。
家電粉砕ラインの片隅で静かに潜む “混在電池” の火種

スタッフがもっとも神経を尖らせる瞬間がある。「内部に残ったリチウムイオン電池が、突然火を噴くとき」だ。近年、全国の破砕工程で発生している突発火災の多くは、モバイルバッテリーや電動工具、イヤホン、玩具など、小型家電に内蔵された電池が原因とされる。破砕時の衝撃で内部短絡が起こり、火花 → 発煙 → 熱暴走 → 周囲の可燃物へ延焼という “お決まりの事故パターン” を描く。こうしたリスクに対し、多くの工場が採用しているのが、破砕前に分離した電池を ドラム缶に水没させて保管するという運用だ。
PV※ リサイクル工場(廃太陽光パネルリサイクル施設)


太陽光パネル30年問題とは、 日本で2012年前後に大量導入された太陽光パネルが耐用年数(20〜30年)を迎える2030年代後半以降、使用済みパネルが一気に大量排出されることで、廃棄・リサイクル体制が逼迫することを指す社会課題となっている。ERジャパンは将来の太陽光パネルの大量廃棄に備え、マテリアル2号棟を新設した。エディオンは家電の販売だけではなく、住宅リフォーム事業にも力を入れているからだ。
※「Photovoltaics:フォトボルタイクス(太陽の光を電気に変える発電方式のこと)」の略称



太陽光パネルを構成するガラス、アルミ、セルシートなどの素材を 高精度に分離・回収する専用ラインを導入。従来は再資源化が難しかった、自然災害などによる破損パネルに ついても、ハンマー破砕や光学選別などの工程により、素材ごとに 分離し、資源として循環させることを可能にした。



パネル重量の大部分を占めるガラスについては、不純物の混入を 抑えた形で回収することで、ガラス原料としての再利用をめざす。埋立処理の削減と資源循環の高度化に寄与している。


試験的に、不純物が少ないガラスをブロックや園芸・道路設備製品など、加工 製品として再利用している。製品化までもう一歩のところにある。
エディオンはERジャパンと連携し、太陽光パネルの販売・施工から、交換・撤去に伴う回収、リサイクルまでをグループ内で一貫して行う体制を整えている。法人・パートナーと連携、住宅メーカー、工務店、解体業者に対し、適正処理と100%リサイクルの付加価値を提案し法人由来の排出量を段階的に拡大している。物流最適化をしグループの物流網を活用し、効率的な回収フローを構築することで、物流コストの抑制とCO2排出量の低減を両立する方向だ。
ERジャパン循環のリアリティを歩く

ERジャパンの工場は、これらの課題に対する “現場の解答” だ。ここで行われているのは、単なる廃棄物処理ではなく、資源を未来へつなぐための社会インフラの再構築である。

そして今日も全国から大切な資源が持ちこまれる。ERジャパンの技術で製品は新しいものに生まれ変わっていく。「使い終わったものを再び資源として輝かせる」という循環型社会のリアリティを、目の前で体感できる場所だ。
未来を変えていく福山の四天王

最新設備が整う工場を歩き終えると、「廃棄物」という語の印象は書き換えられる。解体された基板、選別された金属、破砕されたガラス。それらはすべて、次の社会を支える素材であり、最後まで人の手がかかわることの大切さを学んだぞ。
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小型家電編
ソーラーパネル編


















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