
パイロットコーポレーションは2022年に、筆記具を通じて「人と、創造力をつなぐ。」ことを企業パーパスとして掲げた。その思想を、より広い生活領域へと拡張するために設立されたのが、未来創造実験室PILABOTだ。PILABOTは、既存事業の延長ではなく「創造ってなんだっけ?」という根源的な問いを起点に、生活者の創造性を支える新規事業を思索するチームだ。

パイロットコーポレーション
未来創造室
右)井口 幸子さん
左)岩﨑 由紀子さん
「仕事の時間も•••オフの時間も•••オンオフを切り替えられる、でも•••シームレスに、これさえあれば油断できる」服として、「心地よい油断」を届け、「素敵な豊かな時間」を実現するというところから生まれました!
“創造は、心地よい油断から生まれる” をコンセプトにした「YUDANGI」

「オンとオフが混ざる日常をシームレスにつなぎ、油断してしまうくらい着心地がいい衣服がつくれたら」。YUDANGIは、ペンという身近な道具と向き合ってきたPILOTならではの視点で誕生したプロダクトだ。創造の瞬間に必要なのは、緊張ではなく、ふっと力が抜ける “やさしい油断”。その状態を衣服でつくるという発想が、YUDANGIの核になっている。


ウール100%という選択。生活と地球へのやさしさ。YUDANGIの素材はすべてウール100%。SUPER120の極細メリノウールを高密度に編んだオリジナルスムース生地は、体温調整・湿度調整・防臭性・防汚性・防シワ性を備え、通年着用を可能にしてくれる。
初のキッズライン「YUDANGI KIDs」

2026年6月、ブランド初のキッズライン「YUDANGI KIDs」が登場した。「子どもたちの毎日にも、心地よい油断を届けたい」学校、家、習い事、週末の外出。子どもの生活は、大人以上に “場面の切り替え” が多い。そのすべてに馴染むようゆとりあるサイズ設計・可動域を確保するタック・締め付け感の少ないデザイン。SUPER120ウールの通年快適性と扱いやすさは、子どもの創造的な日常に適している。そして衣服が土に還るという事実を、生活の中で自然に学ぶ、未来の生活者への “知識の種まき” としての設計仕様だ。
価格:9350円(税込)
カラー(5色):Kinari・Black・Navy・Moss gray・Mocha
素材:ウール100% オリジナルスムース生地
サイズ展開 :120/130/140
ウールは生分解する繊維

ウールは、人間の髪の毛の成分に似た天然のタンパク質で構成されているため、土に混ぜて埋めるとゆっくりと分解され土に還る “生分解する繊維”。着るときだけでなく、役目を終えた後まで設計する•••その循環思想が、YUDANGIの素材選択を支えているぞ。
※入り口にある鉢で本当に土に還している!
YUDANGI GATHER SHIRT



首元はモダンでスタイリッシュな印象のバンドカラー(スタンドカラーの一種で襟の形状が首元に沿うような形状になっているもの)を採用。薄手ながらの張りがありシワになりにくい生地の特性を生かし、肩と背中のギャザーで、全体的に綺麗なドレープが出るようになっているデザインだ。

当製品は生地の生産・加工を織物産地「尾州」で行い日本国内で縫製加工しています。SUPER100は、メリノウールの品質を示す指標の一つで、羊毛繊維の直径が18.5ミクロン( 1ミクロンは1/1000ミリメートル)前後の繊維を使用した生地を指します。前述の岩﨑さん。
価格:2万7500円(税込)
本体:ウール100%(SUPER100)
リブ:ウール82% ナイロン17% ポリウレタン1%
パイロット未来創造室が挑む、衣服とサステナブルの新しい関係

YUDANGI。ウール100%で「普段着」を再定義する。未来創造室の井口さん、岩﨑さんに聞いてみた。
オンとオフの “油断” を受け止める服を作りたかった

YUDANGIの起点は、企画チームが日常の中で感じた「人はどんな時に創造的になるのか」という問いだった。ぼーっとしている時、散歩している時、ふと緩んだ瞬間にアイデアが降りてくる。その “油断” こそ創造の源泉ではないか。「心地よい油断を届けられたら、人はもっと豊かな時間を過ごせるはず」。仕事、家事、子育て、趣味、友人との時間。人は一日の中で何度も役割を切り替える。そのすべてを受け止める “シームレスな普段着” を作るため、素材から向き合うことを選んだ。
なぜウール100%なのか? 「着るエアコン」としての機能性

ウールは「冬のニット」という固定観念が強い。しかし、学んだウールの本質はまったく違う。体温・湿度を調整する汗を吸っても冷えにくい自浄作用で、匂いが残りにくい、シワが戻りやすい、汚れがつきにくい。「ウールは髪の毛と同じタンパク質。だから体に寄り添う素材。夏は涼しく、冬は暖かい。“着るエアコン” と呼ばれるほど、ウールは一年を通して快適性を保つ。しかしウール100%は扱いが難しく、一般的には敬遠される。そこで産地と何度も試作を重ね、お手入れしやすく、肌着のような滑らかさを持つ オリジナルスムース生地 を開発した。この生地は、SUPER120(17.5ミクロン)の極細メリノウールを使用して「スムース編み」で密度を高めることにより、チクチク感を感じにくく、洗っても形が崩れにくい。「素肌に触れられるほど滑らかでなければ、ウールの良さは伝わらない」という結論にたどり着いた。
生活の “わがまま” を受け止めるディテール設計

YUDANGIの代表作「ギャザーシャツ」は、企画者井口さんの生活から生まれた。「一日で腕まくり43回。普通のシャツは袖口がぐしゃぐしゃになる」。そこで、シャツに “リブ” をつけて腕まくりをしても袖口を綺麗に保つことができる。さらに、快適に、そして、くりかえし腕まくりしても背中のギャザーで猫背でも美しく見えるシルエット。生地を通常の1.5倍使い、体のむくみや変化を自然にカバー。ウール生地のほどよい重みで広がりすぎず、品よく落ちる「油断している姿も美しい」。そんなデザイン思想が貫かれている。
“土に還る服” という選択。サステナブルの本質へ

YUDANGIのもう一つの大きなテーマが 環境配慮 だ。ウールは天然素材であり、最終的に土へ還る。しかも分解過程で様々な栄養を放出し、土壌を豊かにする。「ウールは土を元気にするアミノ酸を豊富に含む肥料になる」。井口さん達は、実際に製肥所と連携し、YUDANGIの生地を肥料化する実験を行っている。さらにキッズラインでは、あえて 染めない “Kinari(キナリ)” を採用。染色工程で発生する排水の環境負荷を減らすためだ。染めた方が綺麗。でも “未来の生活者” である子どもに向けて、あえて染めない選択をした。タグまでコットン100%。洗濯時にマイクロプラスチックを出さない徹底ぶりだ。
日本の産地と向き合う。顔の見えるものづくり

YUDANGIはすべて国内生産。生地、染色、縫製、検品まで、必ず現地に足を運び、工程を確認する。岐阜の染色工場では、バイオマスボイラーによる環境配慮やGOTS認証レベルの排水処理周辺環境への配慮を徹底。「真っ黒な排水が、川に流せるほど透明になるまで処理されていく工程をすべて見た」。ものづくりの背景まで伝えるポップアップは、アパレル業界からも高い評価を得ている。
“服を捨てない未来” をつくるため

YUDANGIは、単なるアパレルブランドではない。筆記具メーカーが衣食住へ踏み出した理由は、「創造的な生活を支える」という企業理念にある。「創造は衣食住の中にある。そこが豊かでなければ、人の生活は豊かにならない」。ウールと向き合い、産地と向き合い、環境と向き合い、生活者と向き合う。その姿勢は、ファストファッションとは対極にある “新しい普段着の価値” を提示している。

YUDANGIの話を聞いていると、服というより「生活のインフラ」を作っているように感じてしまう。一年中快適で生活の動きに寄り添い体型の変化を受け止め洗わなくても清潔で最後は土に還り、次の命を育てる普段着とは「ただ着るもの」ではなく、人の生活と未来を支える “選択” なのだと気づかされた。
PILABOTから目が離せない!















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