元祖ペッパーミルパフォーマンサーのワゴン
フランスのプジョーといえば1810年創業(当初は金属加工がメーンだった)の世界最古の自動車メーカーである。今もプジョー社が手がけているペッパーミルの刃は切れ味がライオンの爪のよう、といわれブランドロゴにはライオンを採用。2023年のWBCで流行ったペッパーミルパフォーマンスだがコチラは100年以上前からだったのだ。
プジョーといえば代々3ケタ数字の車名が定番。十の位は「0」になっていて、その昔ポルシェが901を使おうとしたところ、プジョーが「チョット待ったぁ〜!」となり、急遽911になった話は有名。その前に先走り生産(?)された82台のポルシェは901を名乗っているというレア車だ。じゃあフェラーリの308はなぜ? という疑問があるがこちらの方は公式な記録がないため自動車の七不思議にエントリーしてもいいのかもしれない。
話はライオンの跳躍のように飛んで現代の308になる。同車は307の後継モデルとして2007年にデビュー。今でこそ208や408があるけれど、3桁数字車名の末尾が8になった最初のモデルが308でもある。そして現行型となるP5型が登場したのは2021年。試乗車は80台の限定車、GT ハイブリッド(以下308SW)。


308SWはデザインに定評のあるハッチバックの308にステーションワゴンならではの高い実用性と拡張性を融合したモデル。そのイデタチは優雅さの中にある躍動感と申しましょうか、まさにトレビヤーンなのです。今やステーションワゴンも絶滅危惧種的な立ち位置になり、プジョーも例外ではなく現行のラインナップでは唯一のワゴンモデルになる。唯一とか聞いちゃうと気になってしまう方、必見です!
エクステリアは「獅子の牙」でもあった縦型のライトがなくなり、テールランプ同様のライオンの爪をモチーフにしたライト形状になったのが進化のポイント。
実用的だけどスパイスの効いた車内
運転席は個性を主張するフラ車でもスポーティなベクトルに振ったプジョーらしいモノ。最近のブランドアイコンにもなったi-Cockpit(アイコクピット)は近未来的。多くのクルマはステアリングホイールの隙間からメーターを見ることが多いのだけれど、プジョーのそれはステアリングホイールの上から見るのだ! メーターを見やすくするにはステアリングの位置を下に下げる必要がある。そうするとスポーツカー的な運転ポジションに。加えて小径のステアリングで、街中でもハンドルを切る量が少ないから余計のその感が強い。

スタートボタンを押すと電動シートが自動で前に動く。コレって乗降性を高める、いわゆるイージーエントリーってやつではないですかい。試しにエンジンをオフにするとシートが後方に下がる。スゴイ! このクラスでこの装備はやるでなーいと芸人さんのように呟いてしまった。しかも前席だけだけれどマッサージ機能までついている。シート表皮も「chic(シック)」という言葉が言い得て妙なテップレザー・アルカンタラでコレまたトレビヤーン(2度目)!

後席は4:2:4の分割可倒式シート。ホイールベースはワゴン化にあたり、ハッチバックモデルに対して50mm延長されていて、その分後席の足元スペースも広くなっている。後席も前席同様にテップレザーとアルカンタラで統一。

荷室の広さはリアシート使用時で608リッター、後席を倒した状態ならば1634リッターの容量を誇る。ホイールベース同様にワゴン化のため全長は308に比べて445mmも延長されている。そのためラゲッジルームはかなり広い印象だ。

実用的なエンジンはフラ車の流儀
308SWに搭載されるパワーユニットは、オトナの事情でいうところのステランティスでお馴染み(共通)のマイルドハイブリッドシステムが組み合わされた1.2リッターの直3ターボエンジン。これを6速DCTで操る。このサイズで1.2リッター? と思ってしまいそうだがこのエンジンは可変ジオメトリーターボを採用したり、ミラーサイクル化したりとかなり気合いの入ったモノ。そして低排気量を補うのがマイルドハイブリッドシステムに採用されるモーターでもある。それはミッションの内部に配され20PS、51Nmのスペックを持つ。エンジンとモーターでのシステム最高出力は145PSを誇る。なんだ、たった145PSと思うなかれ。モーター由来のトルクの立ち上がりは待ちがなく、このボディサイズでもベタ踏み推奨、ということは1度もなかった。
なおこのシステムは同じプジョーでは408にも採用される。もちろんステランティス系のシトロエン・C4やアルファロメオ・ジュニア、フィアット・600、ジープ・レネゲードにも載っている。

さらに「こだわる」のはこのモーター用のリチウムイオンバッテリー。総電力量は0.9kWhと一般的なハイブリッド車に近い容量で、マイルドハイブリッドながらもモーターの担当する領域の広さに貢献。またバッテリーは重量物であるため床下に搭載され、水冷式になっているのだ。
任意でモーターのみの走行は選択できないけれど、発進時はスロットルの開け方やバッテリー残量にもよるが大抵はモーターのみでも可能だった。筆者の体験した範囲では25km/hくらいまではモーターのみで走れた。
ツマミ式のシフトセレクターでDレンジを選択。308SWは動き出しからムムムっ、このスポーツカーチックなフィーリングはナンダナンダとなる。おそらくタイヤ由来の入力と思うが、タウンスピード域では硬めな乗り心地。速度を上げていき大体70km/h以上だとクルマがフラットになる。アクセルオフでの回生ブレーキはかなり強く、またナンダナンダとなる。ワンペダルとまではいかないけれどワンペダルふうな印象だ。そういえば同じステランティスのアルファロメオ・ジュニアも似たようなフィーリングで、その強さに違いはあるけれど、同じグループのモノだなぁ、と頷いてしまった。もちろんブランドによっての味付けは多少異なるし、ブレーキランプの点灯具合も異なる(メーターで確認できた範囲)。またエンジン本体も3気筒の雑味的な「らしさ」が露呈(?)しやすい中間加速時の振動はうまく処理されていて、1.2リッター、3気筒という響きから受けるような安っぽさや騒々しさはない。

背伸びしない走りはカ・イ・カ・ン
ドライブモードはデフォルトのノーマル、エコ、スポーツの3つ。ノーマルで走っていると、定速巡航時には瞬間的にエンジンが切れるコースティング機能になる。その介入は意外に頻繁。特にアクセルを戻す操作をするとクルマが「お、コレはパワーはいらないのかも」となり、即座にエンジンが切れる。その状態は長くは続かない。街中でも高速でもコースティング機能からのエンジン復帰は振動もなくスムーズだった。
また走行中に上記のエンジン待機状態で「ステアリングのパドルを使って車間距離の調整でもしようか」な時はシフトダウンの操作は取り敢えず受けておいて、まずエンジン始動、実際のシフトダウンとタイムラグが若干ある場合も。すると強力な回生ブレーキの方が合理的なのだと思う。これはクネッた道でも同じで、下り坂でもエンジンが切れてしまうこともあった。
しかしながらドライブモードをスポーツにして、シフトはMTモードを選べばエンジンが止まることはなかった。このときモーターはターボチャージャーやスーパーチャージャーならぬ黒子チャージャーとしてエンジンパワーを補ってくれる。特に旋回後の立ち上がりなどは抜群のトルクレスポンスだった。縁の下の力持ちは控える時も知っているバイプレーヤーなのだ。
308SWはプジョーとしては意外に硬めな乗り心地だけれど、構えることもなく硬さの割に快適。高速ではこの硬めベクトル印象のサスがしなやかサンになり、抜群の直進安定性を誇る。実用的な速度域で高速を快適に移動するのはフラ車の得意分野だ。なお6速での回転数は80km/hで1700rpm、100km/hならば2100rpm。もっと速度の高い120km/hならば2500rpmだった。高速を一定の速度で流していると1日で500kmは疲れ知らずで走れてしまいそうな印象。抜群の直進安定性、シートの出来、燃費の良さなどなど。
また以前からフラ車の遅れている点としていわれていたADAS(先進運転支援システム)の分野も308SWは車間距離制御、同一車線運転支援、車線逸脱防止支援、死角モニタリングなどは今や標準装備。ライバルブランドにも引けを取らないのだ。
クネッた道ではしっかりとしたステアリングの操舵感が気持ちいい。さらにフラ車としては硬めだな、と感じた足回りもゆっくり深くロールするのは猫脚の異名を持つプジョーらしいモノだった。実用的なワゴンながら山越えも「オタノシミ」の一つにもなる。

元来、欧州で高級ブランドといわれるモノ以外は多くのモデルが実用一辺倒に重きを置いているけれど、308SWは想像の数歩どころか三段跳び級の先を行く。そこに華美な高級感ではない雰囲気もフランス車っぽく、かといってチープでもなく。上質という言葉の方がピッタリな気がするベストリーズナブリストなクルマだ。
そしてプジョーをはじめとするステランティスが展開する、プジョー、シトロエン、DSオートモビル、フィアット、アバルト、アルファロメオ、ジープ、フィアットプロフェッショナルの全8ブランドが一堂に会する合同イベント「STELLANTIS ALL BRANDS DAY-JAPAN 2026-」が11月3日(祝)に富士スピードウェイで開催される。イベントでは試乗会やアクセサリー販売。キッズ向けアトラクションなど盛りだくさん。気になったら行ってみては?

308SW GTハイブリッド
| 価格 | 539万円から |
| 全長 × 全幅 × 全高 | 4655 × 1850 × 1485(mm) |
| エンジン | 1199cc直列3気筒ターボ |
| 最高出力 | 136PS/5500rpm |
| 最大トルク | 230Nm/1750rpm |
| WLTCモード燃費 | 20.4km/L |
プジョー
308/308SW
問 プジョーコール 0120-840-240
STELLANTIS ALL BRANDS DAY-JAPAN 2026-





















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