乗って楽しいシティコミューター
ホンダe に試乗しました!


 ホンダのEVがガンガンに攻めている。4月に発表された電動化戦略ではフラッグシップとしてのEVスポーツモデル(噂では次期型NSX)を開発中というし、2024年前半には商用の軽EVを投入する予定というし、また同社の大ヒットモデル、NシリーズをベースとしてEV化を実現し、コストを下げる計画もある。そんなホンダの先陣を切って市場に「市販車」として登場したのが、ホンダe。今回、その上級グレードのアドバンスを拝借、その使い勝手をご報告。

クルマのデザインは円を基調としたシンプルなモノ。内燃機関のクルマにあるはずの「穴」も見当たらず、ドアノブも見当たらない(格納されている)し、おまけにあるあずのドアミラーまでもない。まったくクルマに興味のない知人に写真を送ったら、「売ってるの? 未来のコンセプトカー?」というリアクションが返ってきた。コレって興味を持った反応だと筆者は解釈、余は満足ぢゃ。またこのキュートなスタイルにクルマ離れしているはずのヤングマン(死語)や子連れのファミリーから信号待ちなどでも意外に視線を感じる。すごいゾ、ホンダe!

 ホンダeはCピラーに後席のドアノブが隠れており、パッと見だと3ドアに見える。前席のそれは最近の高級車の主流になりつつある収納型で、使う時に飛び出てくるタイプ。

ドアミラーはカメラになり、インパネの左右に配された6インチモニターに映し出される。

一般的なドアミラーがないので、車幅などの把握に最初は違和感を感じることも。車内モニター自体、筆者は接近車の距離感などに最初は慣れが必要だった。夜間や雨天の見え方はどうだろう、と思っていたが、雨天の夜間時も

問題ないどころか、夜間は後続車のライトをまぶしく感じることもなく快適だった。

 運転席に陣取ってみる。

インテリアは上質なモダンリビングを演出というが、なるほど納得。コンクリートむき出しのデザイナーズマンションとかのシンプルなリビングっぽい感じがする。シートはアコードのフレームを使っているのでコンパクトカーながらも座り心地は広々だし、シートベルトもブラウンでシャレオツ!

特に室内で目をひくのが横長(2連)の12.3インチディスプレイ。

これは地図から音楽、映像はもちろんのこと、車両情報や取扱説明書まで表示できるし、画面の左右を任意で入れ替えることも可能。

USBポートも乗車定員分用意されるほか、HDMI端子、AC100V電源(アドバンス専用装備)されている。

スマホに専用のアプリを入れれば、ドアの施錠解錠などいろいろできるのも便利。

もちろん家庭用電源のV2H(ビークル・トゥ・ホーム)にも対応。

 走り出すとこれまた好印象。一言でいうなれば運転しやすくて楽しい。まず加減速と旋回がアテネ五輪の金メダリスト、北島康介選手の名セリフっぽく「チョー気持ちいい!」のだ。その走りを支えるメカニズムの話の前にホンダeのグレード構成を簡単に。同車はベースグレードとアドバンスの2つが用意されており、バッテリー容量やトルクは同じだが最高出力が違う。前者が136PS、後者が154PS。ホイールのサイズも異なりそれぞれ16インチと17インチに。馬力が違えば航続距離も異なり、283kmのベースグレードに対してアドバンスは259km。お値段の差は44万円。

 上記のようなグレード体系のホンダeはリアモーターの後輪駆動。いわゆるRRレイアウト採用。前後重量バランスも50:50。バッテリーと制御系統を一体化したIPU(インテリジェント・パワー・ユニット)は床下に。ビックリしたのは左右の重量配分も50:50ということ。その響きからするとスポーツカーのような雰囲気だが、実際に乗るとやはりハンドリングマシンな印象。街中でもキビキビ走る。気分は早瀬佐近や隼人ピーターソンを追い詰める風吹裕矢(編集部注:名作「サーキットの狼」の登場人物です)なのだ。加速も勢いよく走ってくれる。スポーツモードにすればそれに磨きがかかる。

 余談だがクルマの開発にはホンダ第2期や第3期のF1でエンジンエンジニアを務めた生粋のエンジン畑のエンジニアがEVのパワートレーンに携わっていることもユニークな逸話だ。

 重量バランス50:50の何が素晴らしいのかというと、クルマの姿勢変化が少なくなる点。乱暴な例えだとフロントが重いとそれを支えるためにフロントのサスを固めにする。すると最初の入力が硬くなって、ゴツンとした乗り心地になる。それがないのだ。またホンダeの乗り心地がしなやかでかなりいいと感じるのは、主要マーケットが欧州だからかもしれない。ヨーロッパの石畳や荒い舗装面を不安なくスムーズに走れるようサスは4輪独立のストラット採用。

 一方、EVとして真っ先にきになるのが航続距離。ホンダeのスゴイところは「あえて」航続距離を伸ばさなかった点だ。アドバンスの航続距離はカタログ値で259km。専門誌にもあるように実際に近い使い方ではおそらく170~200kmくらいだと思う。充電時間も30分の急速充電でバッテリーは80%になる。

 ボディサイズもコンパクトにしたことで(ボディが小さくなれば当然バッテリーも小さくせざるをえない)取り回しの良さやハンドリングに重きを置いている。4mを切る全長もさることながら、フロントにエンジンやミッションといった大きな臓物がないため小回りは抜群。最小回転半径は軽自動車もビックリの4.3m。同社のN-BOXよりも小回りがきく。こう考えるとホンダeは街中を楽しむスペシャルマシンなのだ。モータースポーツの最高峰、F1は

ラップタイムを削るためのスペシャルマシン。パーツだって専用部品しかない。ホンダeも同様だ。そのパーツもほぼ専用設計といわれている。無論、そのためお値段は少々張るが。長距離は電車に限る! 特に485系(編集部注:もう引退してしまいましたが、JRの特急の型式です)なんか素敵! という遠出鉄道派や維持費のかからないセカンドカー候補を探している方にはベストバイかも。ホンダeは451万円から。

ホンダe アドバンス


価格495万円〜
全長×全幅×全高:3895×1750×1510(mm)
モーター最高出力:154PS/3497-10000rpm
モーター最大トルク:315Nm/0-2000rpm
WLTCモード電費:138Wh/km

Honda https://www.honda.co.jp/auto/
問 Hondaお客様相談センター 0120-112010

  • 自動車ライター。専門誌を経て明日をも知れぬフリーランスに転身。華麗な転身のはずが気がつけば加齢な転身で絶えず背水の陣な日々を送る。国内A級ライセンスや1級小型船舶操縦士と遊び以外にほぼ使わない資格保持者。

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