オトナに似合いまくるフォルクスワーゲン
アルテオンシューティングブレークに試乗


 世のSUVブームに飽きたオトナのみなさま、使い勝手の良さはSUV並なステーションワゴンっていうのもオツですぜ。というわけで今回はそんなオトナのワゴンをご紹介。モデルはフォルクスワーゲンのフラッグシップ、アルテオンに昨年加わったシューティングブレーク。2017年に登場したアルテオンは4ドアクーペというジャンルでサッシュレスドア、いわゆるピラードハードトップの流麗なシルエットが特徴だが、シューティングブレークはそれに輪をかけたオシャレさんなのだ。

現在のそのラインナップは3つ。R-LINE、R-LINE Advance(以下アドバンス)、Elegance(以下エレガンス)となっており、R-LINEがベースグレード(といって十分豪華装備満載だが)で、アドバンスとエレガンスが同価格ながらも装備のベクトルが異なるモデル。スポーティなアドバンスに対して快適志向の強いエレガンスになる。例えばアドバンスのインパネはアルミの加飾が施されているのに対しエレガンスは木目調のそれになっている。

写真上がアドバンス、下がエレガンス

また、サンルーフ

やプレミアムオーディオ

などをつけたラグジュアリーパッケージはアドバンスとエレガンスにオプション設定される。

 筆者が借り出したモデルはアドバンス。エクステリアでは専用のバンパーを持つモデル。これがお世辞抜きで本当にスタイリッシュなのだ。特に少し上からクルマを見ると、

 

リアフェンダーの膨らみが、スポーツカーみたいでカッコイイ。ちなみにリアバンパーにあるマフラー「状」のモノはデザインで、ジツはマフラーではないのだ。マフラーはその内側に下を向いてついている。スタイリッシュよりも質実剛健な機能美のイメージがあるフォルクスワーゲンだが、アドバンスはデザイン優先感が強い。もともとシューティングブレークは2ドアモデルをワゴンスタイルにしたのが王道といわれているのでさもありなん。

 余談だがこの手のモデルはステーションワゴンが一般的な名称かもしれないが、ステーションワゴンは名の通り駅馬車が起源になっているのに対して、コチラ(シューティングブレーク)はちと違う。ブレークはもともとはフレームだけの馬車を意味し、貴族が狩り(シューティング)に出かけるためにしつらえた馬車。なるほどシューティングのブレークなのだ。似たようなボディ形状のエステートは貴族が自分の領地を視察するときに使われた馬車で若干の豪華装備になっていた、というのがこの手のワゴンモデルの生い立ちだ。

 さて専用のナパレザーのスポーツシートに

体を収め、走り出すと、すこぶる乗り心地がいいのが第一印象。乗り心地に関するドイツ車のイメージってタウンスピードでは固めで高速を走ると乗り心地が良くなる、こんな感じではないでしょうか。しかしアドバンス、タウンスピードでも十分乗り心地がいい。この乗り心地は結構驚くと思う。さらに驚愕の事実はアドバンスには20インチサイズのホイールが標準装備されていた! 20インチっすよ、20インチ。このサイズってかなり本気なスポーツモデルが履くサイズっすよ。かなり本気イコールかなり乗り心地を我慢の公式があるので多少硬くても不平はでないけれど、この乗り心地はびっくり。アダプティブシャシーコントロール、DCCの恩恵だ。この舌を噛みそうな名前のシステムはパワステやサスの特性を瞬時にコントロールするモノで、ノーマルでも十分快適だったのだ。

 快適を支えるのは足回りだけではない。搭載されるパワーユニットも同様だ。エンジンは最高出力272PS、最大トルク350Nmを誇る2リッターの直4ターボ

に7速DSGが組み合わされる。

エンジンパワーは最近は驚くほどの数値ではなくなってしまったが、実際に乗ると数値以上に感じられる。なぜこのエンジンが快適かというと、街中で最も多用するであろう2000rpm以下でもトルクがあるので踏み込む必要がない、すなわちアクセルのオンオフが少なくて済む、そうするとクルマの姿勢が変わりにくくなるから。最大トルクの350Nmは2000rpmから5400rpmまであるのでドライバーがギュイーンと加速しなければ静かで扱いやすいのだ。じゃあ高回転は面白くないのか、となるがまったく違う。高回転の方が楽しい。マイナーチェンジでアクセルレスポンスが高まったこともあるが、今や貴重なマイルドハイブリッド未採用の純ガソリンエンジンはかなりパワフルな印象だ。しかもリッター100PS(実際はリッター136PS)を超える高性能ユニット、面白くないわけがない。お楽しみの山越えでDCCをスポーツモードにすればジェントルなワゴンからスポーツカーに豹変する。このギャップも魅力の一つだと思う。サスのセッティングも芯が入った感じになり、エンジンサウンドも当社比3割り増し! 的にいい音を聞かせてくれる。ステアリングのパドルで2、3速落としてコーナーに進入すル時の音といったら、頬がにやけるはず。旋回も終始安定しているので筆者のようなド下手でも気分だけ速いドライバーにも安心。これは4モーションと呼ばれるフルタイム4WDの恩恵もある。この4モーションは通常はFWDで走るが、前後トルク配分を100:0から50:50の範囲で制御するジツに賢いヤツなのだ。もちろん普段はエンジンをぶん回すこともなく余裕のドライブが可能。高速でのエンジン回転は80km/hで約1500rpmであるからして。慣れが必要なのはシフトダウンでエンジンブレーキをかけ、車間距離を調整する時は2速くらい落とすクセを持つことくらい。

 シューティングブレークはスタイリッシュだけれど、ルーフの傾斜とかで使い勝手や居住性は……といわれがちだが、アルテオンは違う。声を大にして言いたい。特に後席の乗り降りに関しては、さすがに1BOXと比べれば別だが、セダンと変わらない。無理に頭を下げて乗る姿勢を作ってから、ということは必要ないのだ。後席は広いし、

3ゾーンのオートエアコンは全モデルに標準装備だし、アドバンスやエレガンスはシートヒーターもついている。シャレオツなショーファーユースにも使えそうなくらい。荷室スペースは

通常の565リッター容量から分割可倒式の後席を倒せば最大で1632リッターに。大人2人ならこのスペースで車中泊が可能、というレベルの広さだ。唯一気になる点は開口部と荷室の床面の差が筆者の想像よりあったこと。実写を見た場合は確認いただきたいところ。

 セダンはオヤジっぽい、SUVはみんな乗ってるし、クーペは使い勝手が、かといってステーションワゴンだと商用車みたいだし、と悩む人には最適解と思われるのがシューティングブレーク。タキシードからGパンでも似合う筆者のようなオトナのワゴンなのだ。

(編集部注:あくまでも主催者側発表ですのでお許しください)

そんなアルテオンのシューティングブレークは608万9900円から。

アルテオン シューティングブレーク
TSI 4MOTION R-Line Advance


価格667万6000円〜
全長×全幅×全高4870×1875×1445(mm)
エンジン1984cc直列4気筒ターボ
最高出力272PS/5500-6500rpm
最大トルク350Nm/2000-5400rpm
WLTCモード燃費11.5km/L

フォルクスワーゲン https://www.volkswagen.co.jp/ja.html
問 フォルクスワーゲンカスタマーセンター 0120-993-199

  • 自動車ライター。専門誌を経て明日をも知れぬフリーランスに転身。華麗な転身のはずが気がつけば加齢な転身で絶えず背水の陣な日々を送る。国内A級ライセンスや1級小型船舶操縦士と遊び以外にほぼ使わない資格保持者。

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